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毎日読書メモ(242)市谷の杜 本と活字館

しばらく前に、夕刊のコラムで、大日本印刷本社の敷地内に、昔の本社の建物を保存して、活版印刷の機械等を展示している、と紹介されていた。ほしおさなえ『活版印刷三日月堂』シリーズ(ポプラ社)を読み進め、内容もさることながら、各章の扉に使われた活字などの写真に心惹かれていたので、実物が見てみたくなって、見学の申し込みをした。

完全予約制。見学人数は絞っているとのことだが、そんなに申し込みは多くない感じ。現在、ワークショップ企画を中止しているのもあるかも。指定時間に行くと、入り口で予約番号を確認され、中は自由見学。コインロッカー(無料)あり。入り口脇に喫茶あり。職員の方皆さんとても親切で、機械の説明とか色々して下さった。面白くて、2時間近く見学してしまった。記念に活版印刷の葉書とか、手キンでプリントしたしおりをくれた。購買があるので活版印刷の小物とか、製本道具なども買える。

活版印刷は英語でLetterpress printingなのね。
1926年竣工の市谷工場営業所、通称時計台。2016年までオフィスとして使用されていたものを竣工当時のかたちに近いものに復元。


分離派(セセッション)の作風だそうだ。土居松市、宮内初太郎建築。
床のタイルも素敵だ。
活字風の受付。いや、活字なら本来反転文字の筈ですが。
階段から、立ち入り禁止区域の写真を撮ってみた。
活字を模したベンチ


ピクトグラムまでみな活字風
手書きのパターンを金属の原図に彫り込む
この機械で、原図から様々なポイントの母型を彫る。


これが母型。
母型から鉛合金を溶かして活字を作る。左側の木箱に、活字の調整のための道具も入っていた。
文選のための活字の棚(ウマというらしい)。この辺から『活版印刷三日月堂』に通じる世界。


作業棚の中心にひらがな。
その左にカタカナ。
大出張がひらがなの上。
文選の様子を再現した画像がウマの前に出る。自分でも文字を探して、そのスピードが再現されるが、当然職人の何倍も時間がかかる。
ウマの右上の端にあった、直彫り活字
直彫り活字がなんだか印象的だった。


植字の作業台。
植字台の上に、ルビ用の小さい活字とか、ページ数を枠外に入れる小さい数字とか色々な込め物が置いてある。


小学〇年生、は雑誌のページの端に入れるロゴですね。


植字されたページはタコ糸で縛って固定してある。
タコ糸で縛ったページ版は数千枚程度しか刷れないので、ページの型をとるために特殊な紙にぎゅっと押す。
その紙に鉛合金を流し込んで、ページ全体の型をとる。


植字画像で使われてる「坊ちゃん」の冒頭部。
写真図版を出版社に送る棚。


これは、『活版印刷三日月堂』にもよく出てくる手キン! 残念ながら今は操作させて貰えない。
名刺の版。
2階では、大日本印刷の前身の秀英舎で開発した秀英体というフォントについての展示をしていた。
真剣に秀英体さがしをやって、粗品のしおりを貰った。


だから活字は反転文字のはずでしょ、って。
地階からの眺め。

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