マガジンのカバー画像

遠藤良二の短編小説集

77
短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

【短編小説】病気と人間関係

【短編小説】病気と人間関係

#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門  

あらすじ
 母は胃がんで他界した。僕の身内は父と妹だけ。僕は30代後半の頃統合失調症という病気にかかって今は無職。幻聴は今でも聞こえてくる。完治はしないと医者にも専門書にも書いてある。それから数日後、僕は友達と居酒屋に行った。友達はいつも満足のいくまで呑むのに、今日に至ってはお酒を呑まなかった。珍しい。理由を訊いても、時間が遅いからとか、明日も仕事だし

もっとみる
【ショートショート】義父の意外性

【ショートショート】義父の意外性

#短編小説 #一次創作 #義父 #意外性 #病気

 僕は死にたいと常日頃から思っている。理由は生きていてもつまらないから。いじめには合うし、電車のなかで、痴漢と間違わられて警察署に行くハメになるし。もちろん、僕は痴漢などはしていない、していたのは別の男だということになったが。

 でも、生きることより死ぬことを選ぶほうが大変かもしれないと思う。例えば、首吊りをしても後始末が大変でまわりの人に迷惑

もっとみる
【短編小説】性(さが)

【短編小説】性(さが)

#短編小説 #一次創作 #ゲイ #性

 僕はあいつのことが好きだ。あいつと言っても女性じゃなく、男性だ。あたしはゲイだ。でも、それを認めたくない。普通に女性を好きになりたい。でも、それはあくまで理想であって現実は違う。

 自分がゲイだと気付いたのは20歳の頃だと思う。僕は奥手なタイプで自身の性に気付くのが遅いと思う。

 あたしの名前は長谷川未知留、25歳。職業はゲイバーで働いている。毎日、筋

もっとみる