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差別、偏見、先入観について

選挙があった。
外国人なのに選挙権あるんかい、という質問が飛んできそうだ。わたしも驚いたが、ある。
とはいっても、外国人には、簡単に言えばその代表を選ぶ選挙に参加する権利のみあるようだった。
ぼんやりとしか把握していなかった有名政党の特性や、小政党について調べるうちに、自分の中でどんどん中東移民に対する差別意識が育っていることに気がついた。
中東、主にトルコあたりは、この国では差別の対象である。断言していいのだろうか。まあイスラム排斥政党みたいなものもあるのだし、していいだろう。ちょうど一年前にはシーシャバーで銃乱射事件があった。犯人はアラブ人を敵対視する思想を持っていた。だから、まあ、断言していい、と思う。歴史的にはドイツが自分で「お願いします来てください」としたはずなのに、今ではシャイセと追い払われる。なんという侮辱。ひどいと思う。思うが、そういった概念ーー日本にいたときには持っていなかったーーをどんどん取り入れることで、まるで自分の思想かのように「はあ、これだから中東は」と考えることなく落ちてくるようになっていた。それに気がついた。すごく悲しいことだと思う。トルコ人にもイラン人にもいい人はいる。たしかにカルチャーが違うから、簡単には受け入れられない部分はたくさんあるだろう。当たり前だ。けど彼らのこと、パーソナルなこと、歴史的背景、その他諸々、何も知らずにシャイセって排除するなんて、そんな人間にはなりたくない。なのにそうなりつつある自分がこわい。Ausländer hassen Ausländer. そんなよくある話に自分が巻き込まれるなんて。
差別の文脈では、以前にインスタにも書いたが、在外邦人に対する違和感もどんどん溜まる。一部の日本人は、日本人であるというだけで受けられる恩恵にあぐらをかいている。わたしが例外だと主張したいわけではない、いやそうかもしれない。ただ「日本国籍でよかった〜日本人ってわかれば優しくされるし家を借りるにも不利にならないしビザでも酷い扱い受けないじゃん。クロアチア人だったら……」などと平気でのたまう勢。悲しくなる。たしかに我々は優遇されている。コロナが始まったときも、「中国人!コロナ!」という差別は多々あったが、わたしが日本人だとわかると態度を豹変させる人に何度も出会った。「日本!素晴らしい!」みたいな。その度に悲しい気持ちになった。「わたしが素晴らしいか素晴らしくないかは、国籍によって決まるわけじゃないよ」って。そしてその裏では何も悪くないのに国籍で差別される人がいる。中国人とか、ロシア人とか、トルコ人、イラン人、みんな。すごく悲しいこと。そう考えを巡らせず「日本国籍でよかった」と平気で言う人たち。なんでだろう。わたしたちが優しくされるのは、先代の優秀な日本人が真面目にがんばったからであって、それとわたしたち自身が素晴らしいというのはイコールにはならないのに。

もう一つ悲しいこと、偏見と戦わねばと思うことがある。前述のような発言をするのが、いわゆる社会的にあまり学がない/勉強ができないとされる層の人たちだということ。わたしもそこに属している二つのカテゴリの人たち。
カテゴリ1の人たちは、プロである。仕事に対する知識も熱量もすごいと思う。わたしなんかよりよっぽど偉いと思っていた。偉いと今でも思う。それでも、どうしても我慢ならないほど、モラルの低い部分がある。あまり詳しいことは書かないが、わたしに実害のある低モラルな行動をとっていることがわかった。他のコミュニティの人たちもしていることかもしれない。受け流せればいいのかもしれない。が、わたしの中の真面目な部分がそうはさせてくれない。だからせめてはやく彼らの中から出なければ、そればかり思う。
カテゴリ2からは、わたしは一生抜け出せない。塗り替えることもできない。昔からそのカテゴリに属すのが嫌だった。「勉強とかしないんでしょ、本とか読んでないでしょう」って思われるから。たしかに周りにはそういう子が多かった。だからそのカテゴリから出ればみんな勉強してるんだと思ってた。微分とかできて隔靴掻痒とかもちゃんと読めて書けて、いろんなことに詳しいんだと思ってた。だから学校に通ってない自分がコンプレックスだった。けどそこから出てみて、みんながみんな水上置換法を説明できるわけじゃないし百人一首言えるわけじゃないって知って、なのにわたしがそのカテゴリにいる/いたからって何も知らない人という扱いを受けることに納得がいかなかった。(だから勉強していろんな裏付けになる学歴を手に入れようかなと思ったんだけど、世の中には男とかいう生物がいていろいろ狂っちゃった。レイプとかされるし。Scheiße)
両カテゴリとも、偏見の基盤はあると思う。たしかにモラルが低かったりものを知らなかったりする。しかし、もちろん、両カテゴリとも悪い人ばかりではない。いい人もいる。わたしより立派な人だってもちろんいる。圧倒的少数だから目立たないだけ。ただ大多数は流される。わたしもそうならないように気をつけなくてはと思うし、なんとかしてそれらの固定観念を払拭しなければと思う。わたしが強くなるしかないのだ。他に方法があれば教えて下さい。

差別や偏見について、考えるフリをしたリベラル気取りの偽善者にはなりたくない。しかし少なくともずっとテーマとして持っておきたい。嫌味になったとしても落ち着いて中立的な態度をとっていたい。例えそれが高みの見物だとか安全なところにいるからできることだとか言われようと。
そう「わたしは(みんなと違って)倫理観しっかりしてます」みたいなことを書いたが、やっぱりわたしの中には中東や東アジア、東南アジア、いろんな地域に対する偏見がある。せめて自覚的でなければ、という自戒を込めてここに書き留める。
勉強しよ。本を読もう。

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