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2023年にみてよかった映画 新作編

あけましておめでとうございます。2024年になってしまいました。2023年は人生の中でも習慣的に映画をみることができた良い年でした。約80本ほどみたので、その中でも2023年公開の「みてよかったな~」と思った映画を紹介していきます。ランキングとかでもなく、本数も適当です。
各月の感想記事に詳しい感想?や他作品の感想もあります。こちらから👇👇👇

ホアキン・ドス・サントス&ケンプ・パワーズ&ジャスティン・トンプソン『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

ほとんど2023年ベストでしょう。さすがに面白すぎる。一応3部作のうちの2作目ということなので、「エッここで終わるの!?」ってところで終わります。なので単体としてみると(別に完結しているわけではないので)アレですが、実際第1作目と比較して普通に面白さも凄みも増してるので無問題でした。
字幕も吹き替えもみましたが、どちらも(特に今作フィーチャーされていたグウェンが)素晴らしく、命たすかりました。スパイダーマンがいっぱいいて嬉しかった。早く次のがみたい。でも作り手のみなさんの労働環境を先に改善してほしい。作り手もキャラクターたちも、みんなでいっしょに幸せになろう。ちなみに、スパイダーバースみない人生は嘘です。よろしくお願いします。
以前書いた感想はこちらそしてこちらから。「2023年上半期に観て面白かった映画」でも取り上げていました。

パク・チャヌク『別れる決心』

2023年は、それ以前の年に比べると韓国映画をよくみた年になりました。
パク・チャヌクの監督作品はこれと『お嬢さん』の2本しかまだみられていませんが、どちらもかなり良かったです。
味の濃いものを美味しいと思ってしまうように、エログロなどに代表される画面強度の強い、いわゆる「刺激的な」ものを面白いと思ってしまうのではと考えているふしが私にはあるのですが、そういう意味でこの映画はすごかった。エロ(グロ)マシマシだった前作からは一転して直接的な描写はほとんどなく(あってもかなり無機質に撮られていました)、そのことで言い逃れできないキモさが浮き彫りになっていました。おかしいし怖いし美しい。
2023年にみたサイコーの韓国ドラマ『怪物』主演俳優のひとりである好き俳優のシン・ハギュンはパク・チャヌク作品に結構出演しているみたいなので、早くほかの作品もみたいです。発狂するかも。

ヴァディム・パールマン『ペルシャン・レッスン』

自分をペルシャ人と偽り、ナチの将校に偽のペルシャ語を教えることでどうにかして生き延びようとするユダヤ人を描いた映画。
ホロコーストに限らずメッセージ性の重要度が高い作品は中々お話として面白くするのが難しそうだったり、いろんなものを取りこぼしたくないと情報過多になってしまうこともままあると思うのですが、そういう意味でも良い映画でした。シンボルもテーマも一本筋が通っていてかなりみやすいですし、だからこそつらい。変な設定で始まっても(実話みたいですが)そのうしろに待ち構えているのは残酷な普遍性です。なぜならスタートが間違っているので。「1人1人名前を持った個々人として生きた人々(ユダヤ人と、ユダヤ人じゃない人々)が、それをかえりみられることなく殺されていったのがホロコーストである」というテーマが、残酷な意味をもってナチスの末端兵士たちにまで向けられている良作です。
ホロコーストを描いた作品、そして戦争映画として個人的なベスト映画は『戦場のピアニスト』なのですが、それに匹敵するくらい好きな映画になりました。
月の感想はこちら2023年上半期ベストでも。

ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

キー・ホイ・クァン、というか、ウェイモンドに出会えたことに感謝して。わたしも彼のようにsweetでkindでありたい。

グレタ・ガーウィグ『バービー』

「同じ名前を持つが、全く別々のアイデンティティを持つやつらが大量にいる」という設定の上でおこる実存の危機を描いた映画。美術も美麗で、お人形遊びをしたことがある人はきっとときめくんじゃないかな。
主演のマーゴット・ロビーだけでなく、ケン(のうちの1人)役をつとめたライアン・ゴズリングも超素敵だった。まだ観てなかったらぜひ。
詳しい感想は以下から:

八鍬新之介『窓ぎわのトットちゃん』

『スパイダーバース』以来、「アニメ映画をみる喜びってこうだよな!!」をぶつけてくれた作品。
日常に戦争の影が忍び寄ってきているのがみえて「なんか嫌だなあ」と思ったりしながらも普通に生活していて、ふと気がついたら完全に戦時下になっているさまを見事に描いています。怖かったし、ご時世的にもリアリティがありすぎて恐ろしかった。
声優陣も素敵で、とくにトットちゃんの通う小学校・トモエ学園の校長役の役所広司さん、担任の先生役の滝沢カレンさんが本当に素晴らしかった。役所広司さんに至っては凄みがありすぎてひっくり返った。トイレ掃除おじさんもいいかもしれんが、こっちの役所広司もいいぞ。
あととにかく演出がかっこいいです。予告みてもそそられんでしょうが、一旦飲み込んで映画館に行ってください。スパイダーバースは映画館でみたほうがいいでしょ、それと一緒。あとで配信でみたらきっと後悔します。

ロブ・マーシャル『リトル・マーメイド』

これは実写のほう。
アニメ映画として出したものを実写にしてもう一度、という試みの正解の1つだと思いました。ちなみに別方向だと実写『アラジン』が素晴らしかった。
前の作品に込めたメッセージを持ち続けて、さらにあのときやり残したことを実写化でやる。『アラジン』とは違って大きな改変が目につかないという点で不満があった人が一定数いたであろうことは予想できますが、むしろ話を変えずにアニメ版の粗を綺麗にしていて、説得力のある物語になっていたことに感銘を受けました。『アラジン』がパラレルな実写化作品なら、『リトル・マーメイド』は増補改訂版です。

ルーカス・ドン『CLOSE/クロース』

親密な関係性の少年ふたりが周囲の人間からセクシュアルな目を向けられるようになり、最終的にはお互いの関係を完全に破壊し・破壊される映画。
「見る者/見られる者」としてどうあるべきかかなり考えさせられたし、安易に他人の関係性に名前を付けたり、当事者が名前を付けて発信しなければいけない状況を作り出すことの嫌さを思い知らされました。
美術や衣装が凝っていてとても美しい映画です。


旧作編はそのうち出します!

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