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犬を安楽死させることについて。

我が家のワンコが、数日前に他界した。数年間、いつ体調を崩すか心配しながら、ずっと看病してきた。

それでも、最初は餌が療法食だけしか食べられず、一日に10回くらいに小分けすること、三か月ごとに血液検査すること以外は、生活は普通だった。

ダイエットもしたから、24時間空腹で、夜中も餌をもらいたがるし、拾い食いが酷くて、時々それで体調を崩していたから、家の中でも散歩中でも目が離せなかった。でも、中年期の8歳くらいだったし、まだ元気いっぱい。

それが、平均寿命と言われていた13歳に向かって次第に、心臓の弁が閉じなくなっているから、薬を飲まなきゃいけない、背骨がずれたりしているから、運動しすぎてはいけない、筋力が落ちたからジャンプさせたり階段の上り下りは抱かなくてはいけない、歯周病が何度も再発して、どんどん抗生剤を飲ませないといけない、、、と生活から楽しみが減っていき、

暑さ寒さにも弱くなって、膝の脱臼も高齢で手術をしなかったので、少し足がよれたりして。

アレルギーの薬、心臓の薬、痛み止め、下痢止め、吐き気止め、整腸剤、膵臓の薬、、、沢山の薬を(症状が出た時だけのものもあったけど)飲み続けた。

そして、三回目の歯周病の悪化で頬に穴が開き、口の中も痛そうになって治療して、抗生剤が効いてきて元気いっぱいになった日をピークに、だんだん元気がなくなっていった。

ほんの三日くらいで、どう見てもおかしい状態になったので、病院でレントゲン撮ったら、肺が真っ白で全部水だという。空気の隙間が見当たらない。

大人しく、浅い息をして、頑張っていたのを、そーっと抱いて帰り、利尿剤を飲ませだした。その日の夕方は更につらそうで、もうダメかと思ったけど、三日くらいはだんだん元気になっていき、「ああ、また元気になった」と思ったのをまたピークに、また元気がなくなった。

もう、心臓や、他のどこかが、限界なんだな、と私は感じて、薬や注射でやっと生きている状態になったと思った。

私は、混んでいる病院で、口ではとても伝えられないと思い、獣医さんに手紙を書いて、診察券と一緒に渡した。「苦しませて寿命を長引かせる必要はないと思っているので、安楽死も考えています」という内容の手紙を。

でも、まだステロイドの注射で食欲戻るかも、と獣医さんは言い、実際ステロイドを二日打ったら、またうそのように食欲が出て、無くなる数時間前まで食事が取れて、薬も全部飲めた。

最初に肺水腫になっていた時よりも、利尿剤で呼吸が楽になっていたし、安楽死はまだ請け負ってもらえる時期ではない、というのは私にもわかっていた。でも、内心は、もう回復はしないだろうと感じていた。それは、何年も毎日観察してきた私にとっては、確信だった。体のどこかが、もう働けなくなって、完全に壊れようとしている。多分心臓が。

心臓がダメになって、肺に水が溜まって死ぬのは、耐えがたい苦しみだと聞いていたので、どうしてもそれを避けたかった。避けられなければ短い苦しみで終わらせてやりたかった。

心臓発作で急死した方が、息が詰まって死ぬよりも楽だろうと願った。

丁度病院がやっている時間に苦しくなったら、安楽死させると家族には宣言して、なんとか利尿剤を飲ませて、どんどんオシッコを出させて、息が苦しくならないように看病して二週間弱。

やっぱり最後は息が苦しくなってきて、病院もやっていない正月の明け方に、亡くなってしまったのだけど。。

苦しくなる直前にも少しササミを食べて、自分でトイレでうんちをして、苦しみだした最初から、私はすぐ気がつくことが出来て、三時間弱の苦しみの中、家族全員で見守ることが出来て、、、安楽死できなかったけど、もらすことも、吐くこともなく、立派な最期を看取れてよかったのかもしれない。亡くなったのは私の布団だったけど、全く汚すこともなくて、私はそのまま数日寝ていたくらい。

これ以上やる事を思いつかないくらい可愛がって、丁寧に看病できたし、やり足りない事があったか探しても、思いつかない。(少なくとも私には)あれ以上にワンコを幸せにする方法は無かったと思う。(思いたい)

遺体も可愛いし、骨になっても可愛いし、あの重さ、柔らかさ、毛の感触、暖かさ、、、もう一度触りたいけど、今まで十分に触り放題にさせてくれた記憶があるし、もう苦しみから解放されて、若いころのように、身軽にジャンプして、沢山走って、ぐっすり眠れて、食べたいものを食べたいだけ食べているのかと思ったら、私の寂しさは我慢しようと思う。。飼い主が亡くなったときに、愛犬は待っていてくれると聞くと、いつか死ぬのもちょっと楽しみになってくるし。

最期まで、私からササミを沢山もらうために、どういう態度を取ったらいいのか工夫して、より食べようとする気力があって、ワンコとしてはまだ生きたかったかもしれないけど、入院させずに家で息があまり苦しくない状態で暮らせるのは限界だったと思う。

三時間弱というのは、最期の苦しみとしては短い方だったと思いたいし、人間だって数十年前までは、同じように臨終を迎えたのかもしれないと思うと、一つの命が終わるには、仕方のない苦痛だったのかもしれないし、ワンコ自身は、途中から朦朧としたりぼんやりできていたんじゃないかと、、そう思いたいです。

可愛がった犬を、家で素人が最後まで看取るというのは、辛いものですね。安楽死や緩和ケアのような治療が、希望したら受けれられるようになっていきますように。。

#ワンコ #看取り #肺水腫 #心不全 #安楽死 #緩和ケア

#エッセイ






疲れる毎日を誰かの文章で癒されたい。そして、私も誰かを癒したいです。いつかできたらいいな。