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子どもたちが職員会議で企画提案をする日~目線のずれ~

誰かに何かを「伝える」ことはできる。でも「伝わる」のは難しい。
そこには相手の納得や、感動を引き起こすことが必要になるから。
まずは”目線を合わせて”想いに寄り添うことからスタートを。


以前は、こちら↓の話をしました。

こちらの内容を受けて、一部の方から直接、生徒指導についての話をしてほしいというご依頼もいただきました。ありがとうございます!

他にも「指導の引き出し」として、過去の記事も参照ください。


前回の内容の話の続きです。

「高校生活の想い出になる、全員参加できるイベント」

を目的としたイベントを、子どもたち主体で企画書を作り上げ、今回の内容をいよいよ「職員会議」という場面にて、プレゼンをするに至るまでの軌跡を追いかけます。


誰に伝える?から、伝わる?を問う


「enya先生、一旦企画書が出来上がったので、少し見てもらっていいですか?」
さて、どんな書式で、どういうメッセージが込められてくるか。

………
………
………
…(うん、これかなりレベル高いな。)
…(さて、このままOKにするか、もう少し時間があるからブラッシュアップを期待するか…)
…(あ!でも、ここは”目線のずれ”が起きてる!)

総合型選抜入試の際の、志望理由書などは、私に添削をお願いしてきた生徒は卒業生から「最低5回は、添削はいるから、覚悟した方がいいよ」という前情報をもらっているので、よほどチャレンジ精神を持っている子達ではないと来ません(笑)。

そして今回、この企画書を考えた子たちはよくよく考えると、ほぼその添削を通過してきた子たち…。おそらく傾向と対策を知っているわけです。

しかしやはり大事にしてほしいのは「想い」と「目的
これをしっかりと伝えてもらうために、フィードバックポイントを一つに絞りました。

ここからは『クエスチョン指導』を展開させます。

『とてもよく出来ている企画書だね!全体を見て、確認なんだけど、この内容は今回のメンバーからはどんな感想が出てきた?』

●目的に沿った形で作れた!
●このイメージで実施することはできると、全員で認識できた!
●集める人数目標や役割分担も出来てるので、後は動くだけ!
●企画書っていう形でまとめる作業が大変だった
●上手く言葉が出てこないので、メンバー同士で指摘をしあった

非常に良い気づき。そこに肉付けです。
この企画書は、誰に対して見せるものとして、意識して作ったかな?

実はここがポイントだと思いました。
とても想いも情熱もある企画書、そして議論を重ねてきた足跡が見て取れる内容ではあるのですが、それはその経緯を知っている「私」だからわかるのです。

”職員会議に参加する先生たち全員の想定です”

『じゃあ、その時に先生たちからどんな質問がありそうか想定してみようか』

やはり”伝える”意識はとても強く、説明することを意識し、かなり綿密に準備はしていたものの、その説明を超えた先の”質問”までは想定できていなかったようで、考え込みます。

今回の資料の中で

ピア主催!〇〇生、誰でも参加できるスポレク開催!!

という気になる文言がありました。

※”ピア”というのは、英語”peer”のことで、仲間、対等、同輩を意味します。ピアサポートという仲間同士の支えあいをするという働きかけから、通称"ピア"という組織名になっています。いわゆる隠語のようなものです。

この”ピア”や”スポレク”(※スポーツレクリエーションの省略)という文言は、職員や長く在籍している生徒や登校を定期的に行えている生徒には伝わる言葉でも、新入生や長期欠席となっている生徒には伝わらないでしょう。

今回の発起人たちは、
職員会議で先生たちに伝えることを主軸に置いている

説明を受けた先生たちは、
今回のイベントを更に他の生徒たちにどう伝えるかを考える。

大事なのは、”伝える”から”伝わる”は、どれだけ相手の目線に立てるかということなのです。


気づき、そして修正へ


”たしかにこのままだと、たくさん質問を受けそうですね…”
”この言葉も新入生には伝わらないかもしれないですね…”
”他に色々な質問も出てきそうですね…”

多くの気づきがあった生徒たちは、改めてまた打ち合わせをすることになりました。

これは高校生に限らずですが、面接時でも、あるいはプレゼンをするタイミングでも、多くの情報を”伝える”ことに注力をし過ぎて、聞く側の立場やその後の行動を踏まえない発表を行ってしまうことがかなりあります。

良い意味で必死に”伝える”努力をしているということになるのですが、
逆にこれが”伝わらない”。
情報量が多すぎて、ポイントがわからない。
その後の質問を想定できていない。
など、「ここまで準備したのに・・・」という結果になってしまいます。

これを私は『目線のずれ』と言っています。
この後、この生徒たちは、聞く側の立場ということを意識して、更に企画書と職員会議用の資料を作成して、当日を迎えることとなりました。

当日は、本人たちの発表の環境を整えてあげることが私の最後の仕事です。
次回はこの当日の様子やその後の振り返りについて、記載していきます。

ご覧いただきありがとうございました。

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