日本の今あるイノベーション問題と、明治維新や戦後の復興との相違点( 前編)

私が、ある人に対して、
「今の日本は、イノベーションにおいて問題を抱えている」
と説明したところ、
「たしかにイノベーションで問題を抱えているかも知れないが、
日本の明治維新の改革、戦後復興の成果もあるし、日本が特に改革嫌いというわけでもないのではないか?」
という指摘を受けました。

そこで、今回は、日本の今あるイノベーション問題と、明治維新や戦後復興との相違点を説明してみたいと思います。

長くなるので、前編後編に分けました。

日本は、エニアグラムのタイプ6の国民性と言われています。
エニアグラムのタイプ6は、安心・安全・安定を大切にする性格タイプです。
これを前提に、これからの話にお付き合いください。

では始めて見たいと思います。

今の日本でイノベーションが起きないのは、安心・安全・安定が損なわれる未知に繰り出す必要があるからです。
では、なぜ、明治維新や戦後の復興が可能であったのかと言えば、現在と異なる2点があったからです。

一点目は、
明治維新や戦後の復興が「変化が終わった後」だったということです。
このシンプルな説明で理解できない人に、これ以上説明をするのは困難なのですが、
タイプ6は、
「注射を刺される前までの不安感や不安定感が、恐怖なのであって、
注射を刺されてしまえば、意外と平気」
なタイプなのです。
これが、分かるか分からないかで、タイプ6への理解度が変わります。
タイプ6は、不安定な状態が嫌いなのです。
ですから、それが、たとえ不幸であったとしても、その状態で安定していれば、そこまで騒がないものなのです。
たとえ不幸でも、安定しているほうが、タイプ6的には楽なのです。

タイプ6は急激な変化を嫌います。一方で、ゆっくりとした動きや一定な動きや停滞を好みます。

変化が嫌いなタイプ6日本は、
「「変える」より「創る」方が圧倒的に楽 (最所あさみ)」
と感じます。

「変える」とは、タイプ6が嫌いな安心・安全・安定が損なわれる状態です。
一方「創る」は、ある意味において、安心・安全・安定を創るとも取れますし、安心・安全・安定を固める作業とも取れます。
決められたゴールに向かって「創る」のであれば、それは安心・安全・安定なので、タイプ6は、こちらのほうを好むことになります。

明治維新や戦後は、それが終わった後であれば、たとえ焼け野原であってもタイプ6的には安定なのです。
後は、より安心・安全・安定な世の中を「創る」だけなのですから。

繰り返しますが、このタイプ6的な感覚が分かるかどうかが、今の日本の苦しさが分かるかどうかの分岐点となります。

現在は、「進行形」で不安や混沌や未知が渦巻いています。
原発事故も、リストラも、イノベーションへの道も、高齢化社会への動きも、韓国との摩擦、北朝鮮問題、尖閣を狙う中国、高いものを買わせようとするアメリカ、など など など など・・・、

変化は、まだ、底を打っていません。この未知や混沌が渦巻く状態は、タイプ6社会のレベルを下げ続けさせます。

この状態で、タイプ6が前向きになることは有り得ません。

戦後は、「失う恐怖から解放された」中で、ベンチャーが起こり、マイナスから振り子が戻る動きの中で、戦後復興が勢いをつけられました(朝鮮景気があるにしても)。
これが、今は、進行形で失われつつある状況です。タイプ6社会の不安は止みません。

そのような状況の中で、今のタイプ6日本は、今ある状態を過小評価して「大丈夫」と言うのが精一杯なのです。
テレビ番組で日本を誉めた番組が見られるのも、自分に「大丈夫」と言っているタイプ6の姿だと見ることができます。

ですから、「“いざなぎ景気”超える戦後2番目の景気拡大」というニュースが流れることがあってもタイプ6日本社会には、それほどの活気はありません。
2018年の日本の現状は、株価乱高下があるにせよ、戦後復興時よりは、はるかに恵まれています。にも関わらず、底を打たない混沌に疲弊しているのが現代の日本なのです。

こうなってしまうのは「タイプ6日本が未知が嫌いで混沌に弱い」からです。
まだ底を打っていないこんな状態では、新しいことに飛び出すなんてとてもできはしません。

この話は後編へ、続きます。

参考
日本のレベルが落ちている原因
レベル6社会
フラグが立ったなと思うとき
その他のタイプ6日本人論はこちら


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