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心理学紹介-2

このnoteを書いたのは西田さん

心理学は「心」を扱う学問である


心理学で行われていること

心理学の下位分類(○○心理学という名前のつくもの)で、思いつくものはありますか? 発達心理学、認知心理学、社会心理学といった名前は、心理学を学んだことがない人でも聞いたことがあるかもしれません。一方で、犯罪心理学や色彩心理学はどうでしょうか? もしかしたら、犯罪や色彩などの具体的なトピックがついている方がその分野で行われていることを想像しやすいかもしれませんね。

こうしていくつかの下位分類を挙げただけで心理学に含まれる研究内容の多種多様さが察せられますが、大雑把には次のような分類ができると思います。まず、前半に挙げた心理学の下位分類は、「心」の仕組みについての一般的な理論を明らかにすることを目指しています。

つまり、人間の発達、記憶や言語、視覚や聴覚からの認知、そして社会性といったものを研究対象として、人間の「心」の性質とは何かということを明らかにしようとしています。そしてその知見は、後半に挙げたような犯罪学、色彩学といった個別の領域で応用されています。例えば、犯罪を行う人の社会性などのパーソナリティの特徴は何か、あるいは人は色彩という視覚情報からどのような印象を持つのかといったことが明らかにされています。

いずれにしても、心理学が解き明かそうとするのは人の「心」についてであるといえます。そしてこの記事で言及する心理学とは、このあと述べるような手法を用いて「心」を研究する学問のことを指しています。
ちなみに、日本の大学だと心理学部を置いている大学もありますし、文学部や人間学部、社会学部といった名前の学部に心理学科が入っていることもあります。


「心」をどうやって捉えるのか

こうした「心」は、当たり前ですが目で見ることができないし、直接触ることもできません。それなら「心」と周囲の環境との関係や、ある現象全体のなかの「心」の働きを記述したりするためには、どうしたら良いのでしょうか。

満足とはどういう状態か

ここで例として、人間の「満足」という状態を考えてみましょう。研究としてある人が満足しているかどうかを知りたいときには、大雑把に分けて3つの異なるやり方が考えられます。

まず、その人の身体に生じている生理的現象を測定するというやり方があります。唾液や血液から神経内分泌を測定したり、心拍数や血圧から自律神経活動を測定したりすることで、満足を身体の状態として捉えようとしているということです。次に、その人のふるまいや行動を観察してみるというやり方があります。ある人が目を細めて微笑んでいたり、その場でゆったりと寛いでいたりすれば、それが満足した状態に見えることがあるでしょう。最後に、直接「あなたは今満たされていますか?」などと尋ねて、本人に答えてもらうやり方があります。

ここまで私はあえて「満足」という言葉を、それがいったいどんな状態を指しているのかを定義せずに使ってきました。でも少し考えてみると、生理的現象から、行動から、あるいは本人による報告から捉えた「満足」という状態は、その意味がまったく異なっていることがわかりますね。特に、客観的な指標から満足している状態を同定することと、主観的に「満足を感じていること」のあいだには、かなり大きな隔たりがあるように思います。つまり、どのような方法で「心」にアプローチするかによって、「心」についてのどんなことが明らかになるのかが違うのです。

では、心理学では「心」をどのように捉えようとしているのでしょうか。次回からは、心理学が依拠している「心」の具体的な研究法を紹介していきます。さらに、それらの研究方法を評価する基準について言及することで、心理学の「学問らしさ」を見出してみたいと思います。

次回▶
心理学の「学問らしさ」


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