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エモスタの研究開発パートナーを紹介します

株式会社エモスタの研究開発パートナーの酒井智弘です。私は、現在、筑波大学大学院の人間総合科学研究科で、心理学を専攻する博士学生です。普段は大学で、博士論文のための研究を行ったり、都内の大学で非常勤講師として授業を行ったりしています。私の専門分野は、心理学の中でも、「対人社会心理学」や「教育社会心理学」がメインです。

この記事は、株式会社エモスタの研究開発パートナーである、酒井智弘について紹介した記事です。多くの方に、エモスタの活動や私の研究について知っていただけますと幸いです。

エモスタの事業に関心を持っていただけた方は、ホームページをご覧ください!
ホームページのURLはこちら→https://emosta.com/ja/


以下には、私の主な研究テーマについて説明します。

【研究テーマ(1)】

1つ目の研究テーマは「ソーシャルスキル」です。ここでのソーシャルとは、「人間関係」を意味します。そしてスキルとは、「学習可能な技術」を意味します。このため、ソーシャルスキルで人間関係を捉えると、相手とのコミュニケーションを改善することができます。ソーシャルスキルという考え方は、人間関係はトレーニングによって後天的に改善することができるという発想です。

ある人が人間関係に悩んでいる時、その悩みは当人の「性格」や「遺伝」という先天的なものが原因で起きていると考えてしまえば、原因は特定できますが、解決策は出せないです。しかし、ソーシャルスキルという考え方を身につければ、当人が悩んでいる対人的な問題は特定のスキルを身につけることによって解決することができます。

私は、人間関係をわずらわしく思うことが多く、コミュニケーションが苦手であるため、ソーシャルスキルを研究し始めました。自分にとって一番嫌いで苦手なことを研究テーマにすることで、コミュニケーションに対する苦手意識を克服し、日常生活に活かそうとしたのです。そのような経緯から、ソーシャルスキルという概念を使って、誰かの人間関係における問題を解決できるのであれば、その人のソーシャルスキルをアセスメントしたり、トレーニングしたりすることが、私の研究テーマの一つです。


【研究テーマ(2)】

2つ目の研究テーマは「感謝」です。この研究テーマは、大学院で研究しています。「感謝」という概念は、人間の強みやポジティブな機能を明らかにするというポジティブ心理学が世界中で広まった結果、注目された概念の一つです。

「感謝」は、みなさんからすれば、日常生活で経験するもので当たり前のことのように思うかもしれませんが、心理学において研究し始められたのは、まだ最近のことです。「感謝」に関する研究は、欧米を中心に行われていますが、感謝すれば、他者から助けてもらえるようになったり、幸福感を感じたり、孤独感を癒したりすることができることがわかっています。

私が読んで興味深かった論文の一つは、人は日常生活において他者に感謝することを過小評価しているという論文でした。

【出典】
Kumar, A., & Epley, N. (2018). Undervaluing gratitude: Expressers misunderstand the consequences of showing appreciation. Psychological science, 29, 1423-1435.

Kumar & Epley(2018)の知見を踏まえると、感謝の気持ちを伝えることは、私たちが思っている以上に、感謝する方と感謝される方の双方に利益をもたらすそうです。誰かに感謝した時は、感謝の気持ちを伝えた方が、感謝される方の存在価値を高め、感謝された方から支援を受け取る可能性を高めます。その際に求められるのが「伝え方」(Skills)です。つまり、「ソーシャルスキル」です。感謝の気持ちを伝える方法を学習し、他者との関係に効果な方法で、思いを伝えるためには、ソーシャルスキルの考え方を身につけることが必要です。このように考えて、大学院では「感謝」の研究をし始めました。


【研究テーマ(3)】

3つ目の研究テーマは「アセスメント&トレーニング・プログラムの開発」です。先ほどご紹介したように、私は、ソーシャルスキルという概念を研究テーマにしています。ソーシャルスキルは学習可能な概念であるため、アセスメントした結果を踏まえた上で、特定のスキルを身につけたり、改善したりするトレーニングを行うことが多いです。

私は特定のソーシャルスキルをアセスメントできるテストや、特定のスキルを向上させるトレーニング・プログラムを開発・提案することを目指しています。下記のNPO法人では、研究員として、ソーシャルスキルの測定法に関する研究を行っています。

以上が私の主な研究テーマになります。これらの研究テーマで得た知識や経験を活かして、エモスタでは以下のような活動を行っています。


エモスタでの研究活動

私は、エモスタの研究開発パートナーとして、心理学の知見を社会実装することで世の中の問題を解決することを目指して、さまざまな企業に対して文献調査を行ったり、サーベイを設計してデータを収集したりしています。

また、エモスタ独自の研究も行っております。最近の研究では、「SNSの誹謗中傷」について調査をしました。その調査結果は、以下の記事に書いていますので、良かったらご覧ください。私自身は、今後、SNSにおける人間関係や対人心理について研究を行っていきたいと考えています。

エモスタ独自の研究結果は、一般読者向けにnoteで発信したり、アカデミックな場である学会で発表したりしています。学会で発表した内容は、一般読者向けにnoteでお伝えすることもありますので、ぜひご覧ください!

エモスタは、「心理学×AI」の融合分野で、様々な研究活動を行っております。
協力してくださる仲間を募集していますので、志を共にしてくれる方がいらっしいましたら、ぜひ当社にご連絡ください!


記事執筆者:エモスタ・研究開発パートナー 酒井智弘

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