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かをりのよろこび

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日本の伝統的な香りについていろいろコラムを書いています。
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#博物館に行こう

日本初の推し活

日本初の推し活

「源氏物語が読みたい」と1000年前に等身大の薬師仏を作らせて、一日中一心不乱に祈っていた女の子がいます。菅原孝標娘です。

沼にはまった女の子父親の仕事の都合により東国で暮らすことになった菅原孝標娘さんは、義母から聞く宮仕えのキラキラした話、とりわけ当時大人気だった『源氏物語』の話を聞いて即のめりこみました。日本史上初の沼にはまった、という人で有名です。寝ても覚めても源氏物語のことばかり。当時は

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さざれ石の香りが忘れられないとそのひとは言った

さざれ石の香りが忘れられないとそのひとは言った

「さざれ石の香りが忘れられない」と初めて香を聞いた男性は言いました。
パリのとある美術館にしつらえられた香席でのことです。私たちはここで香道をするために招かれて来ていました。ちなみにさざれ石というのは当日行われた渚香、という組香で使用した香木の銘(名前)のことです。

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源氏香の仕組みを知ると街歩きが楽しくなります

源氏香の仕組みを知ると街歩きが楽しくなります

根津にある、弥生美術館をご存じでしょうか。

弥生美術館の源氏香柄弥生美術館は、東京都文京区にある私立美術館で、高畠華宵と竹久夢二の作品を収蔵、展示しています。併設に竹久夢二美術館があります。この美術館を設立したのは鹿野琢見さんという弁護士さんです。鹿野さんは、9歳の時に高畠華宵が描く「さらば故郷」というイラストを見て大変影響を受けて出征するまで部屋に大切に保管していました。その絵は失われてしまっ

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