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ジャケ買いニーチェ

超訳で読んだ気になるなとも言いますが、入口の一つとして許してください。超訳どころかエッセンシャル版です。朱に金が可愛い。

超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版 (ディスカヴァークラシック文庫シリーズ)
1100円(税込)
発売日:2015年11月
著者:フリードリヒ・ニーチェ
編集:白取 春彦
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発行形態:単行本
注記:『超訳ニーチェの言葉』再編集・改題書

父の本棚にあるニーチェの分厚い本を眺め、たまに開いては、大人はこういう難しいものを読むんだと思っていました。大人になれば結婚して子どもを産んでどこにでも行けて、と言った類の空想。恥ずかしながら成人してもニーチェに触れることなく過ごしていたのですが、教養として知っておきたいなとは思っていました。

書店でフラフラしている時に朱赤に金字のビジュアルに惹かれ、手に取りました。こちらは自己啓発のディスカヴァークラシック文庫シリーズで人気だそう。この赤い表紙はプレミアムカバーで、通常版は焦げ茶色です。ニーチェの他に、ブッダやアインシュタイン、論語など様々ありました。文庫サイズにカラフルな表紙と帯の合わせが可愛らしく、お堅いタイトルのハードルを下げてくれます。

ポップなニーチェ、手を出していいのだろうかと一瞬思いました。おそらくこれを読んでしまえば改めて著書や思想を学ぶこともないかもしれないと。簡略化された物を知識とすることが愚かだと何かで読んで以来、読むなら読む、見るなら見るべきなのだと植え付けられています。クックパッドを頼りに料理しても、料理を学んだことにはならないような感覚。ただ料理教室に通おうがクックパッドを見ようが料理したことは一つの事実だと思うので、そういった手段はナシと切り捨てているわけではないです。話がそれましたが、とにかく入口は自由だということで、漫画(ニーチェ先生)もあるしドラマ化もされていたし、知らないままよりいいかとレジへ向かいました。

ちなみに私が紙の書籍を買うのは、ぱらぱらとページを捲って読みたい物、書籍のデザインに重きを置いている物がほとんどです。このニーチェは両者で、繰り返し手に取るであろうこと、そして部屋に置いておきたい見た目だったことから購入しました。さらっと読みたい物や雑誌、漫画は電子が多いです。一読後は、ネガティブな出来事があった日やふとした時に開いています。

10章190項目で綴られているニーチェの言葉。己についての章から始まり、喜、生、心、友、世、人、愛、知、美、と纏められています。今や自己啓発書は巷に溢れているのでどこかで聞いた言葉が多かったのですが、その元になっているのが彼の言葉だったのでしょうか。神は死んだ、と言われてもというイメージでしたが普通に仕事とか恋愛、家族に友人のような身近な悩みにもスパスパ答えてくれています。それは違うでしょと思うこともありつつ、スッと読める内容でした。

強く短い言葉で綴られているので、メッセージの力があるなと思います。私が好きなのはこのあたりです。読むたびに新しく響く言葉があるのだろうなとも思います。

「始めるから始まる」
「清潔好きの感覚は、やがて他の精神的な面にも広まっていく」
「良い物事、悪い物事が初めからあるのではない。(略)解釈するのは結局は自分なのだ。」

ところで、ニーチェや思想家達の本が自己啓発に区分されていることに違和感を感じます。自己啓発と言われると、成長!向上!のような熱さを連想するからです。スキルアップするために読むというより、慰めの意味合いが強いことも理由の一つです。気持ちの切り替えや立て直しのヒントにしたい、という気持ちが自己啓発ならばなんだか白黒ハッキリしすぎな世界だなあと思います。ヒーリングと言われてもしっくり来ないので何なら良いのか、という感じではあるのですが。

エッセンシャル版のニーチェを気に入ったので引用元の一つの『ツァラトゥストラはかく語りき』を読んでいるのですが、まあ進みが遅いです。検索ワードに意味不明と出てくるだけあります。『人間的な、あまりに人間的な』から載せられている言葉も印象的だったので読みたいのに、いつになることか。ゆっくり読み進めたいと思います。

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