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みそづくり

味噌って買うものだと思っていました。作れるみたいです。

料理のさしすせそってありますよね。
「さ」砂糖「し」塩「す」酢「せ」醤油「そ」味噌
この順番に入れると美味しく調理できますよ、の語呂合わせ。

つまり味噌は立派な調味料であって、買って調達してくるものだという認識でした。料理するものではなくて、料理に使うもの。

数年前カルチャースクールで作ってきた母製の味噌を初めて食べたとき、上記のように味噌って作れるんだ!と衝撃を受けました。それ以来何度か自家製味噌を食べてきたけれど、市販品より手間暇かかっているせいかシンプルで美味しい印象。でも一緒に作るのは初めてです。
うわ~手前味噌だ!

大豆がコロコロの小さな「まる」で驚きます。普段口にしているのは茹でたり蒸したり調理済みだったので。ご存じなければぜひ検索してみてください(写真は載せない方向性、不親切)。言われてみれば納得ですが、大豆って加工食品だったのかとしみじみ思います。今の小学生はパックの肉や魚が元々どんな形をしていたのか知らない、というトンデモニュースが話題になるけれど、大差ないなと反省です。

このコロコロの丸い豆が味噌になるなんて。

以下レシピまじりの感想。これを読みながら味噌を作る人はいないはずなので詳細は書きません。

①まず洗って水に一晩つける。
私は、レシピで「1時間つける/寝かせる」がさらっと出てくると目を疑うタイプの人間です。しかしさすが調味料、味噌には一晩(最低10時間)必要。とりかかるまでに一晩なんて、丁寧な暮らしにもほどがあります。つけている間に水を足す人は足すようですが、私は寝ました。

②大豆をゆでる。
一晩つけると水を吸って見慣れた形になります。いわゆるお豆の形です、ティファニーのビーンデザインみたいな。ちなみにあのデザインは「官能的な曲線」で「命の始まり」を表現しているらしいです。すごく可愛いのでいつか欲しい。ところでたしかにお豆は命の始まりですよね。遠い昔の理科の授業を思い出します。豆といえば、ジャックと豆まきの話も生命力を感じるよなあ〜など、大量の大豆をゆでるのに時間がかかるので妄想が広がります。
2時間と書いてあるサイトもあるけれど我が家では倍以上かかりました。圧力鍋を捨ててしまったことを後悔。ゆでている間に大豆の皮がむけてツルっとしてきます。このあたりで大豆への愛情が生まれてきました。指で簡単に潰せるくらいになるまで、ゆで続けます。硬さを確かめながら豆をつまみ食い、ダイエットに良さそうな感じ。ゆで汁は豆乳のような甘い豆の味がして私は苦手でしたが、好きな人は好きそうです。

③大豆を潰す。
今度は力仕事。圧力鍋に続き、フードプロセッサーを手放したことを後悔。すり鉢やめん棒、マッシャーで無心に潰します。母とやっているので楽しめました。一人でやるなら少ない量がおすすめですが、この手間で少ない量しか作れないなら、私はどこかの手前味噌体験教室に行きます。とにかく音楽をかけて日頃の鬱憤を晴らすかのように豆を潰します。先ほど生まれた大豆への愛情はいったん忘れましょう。

④潰したら冷ます。
洗い物でもしながら人肌程度になるのを待ちます。特になし。

⑤麹と塩と混ぜる。
さくさくサラサラした麹と塩を混ぜておきます。麹を見ると、かつてのSK-Ⅱの小雪さんのCMを思い出します。ピテラって不思議な響きですよね。そこに潰してなめらかになった大豆を混ぜます。大きなボウルや盥に入れて混ぜていると、本当に味噌を作っているんだなと実感が湧いてきます。冷たい麹たちとしっとり温かい大豆の感覚が奇妙で面白いです。混ざったら団子状に丸めます。

⑥味噌を詰める。
団子にしたものを保存容器に詰めます。ホーローとかおしゃれな物でできるはずなのに、ここで樽の登場。すり鉢、盥ときてついに樽。日本昔話の背景をかなり弱めに再現できました。味噌を詰める時は、空気が入ってカビてしまうのを防ぐために投げ入れます。ボンっと低い音。母が投げ入れるとさらに重い音がします。顔色をうかがうと怒っておらず、楽しそうで一安心です。投げ入れているとしっかり玉になっていなかったのか、あるいは投げる力が強すぎたのか一部飛び散ります。味噌づくり、ダイナミック。大豆を潰したとき同様ストレス発散の要領で詰める。あとは塩をかけたりラップをしたりして蓋と重石をします。重石ってオモシと最初読めなかったな。

⑦発酵を待つ。
冷暗所で保存、半年から一年待ちます。やはり調味料、しかも発酵食品ですもんね。カビずに美味しい味噌ができることを願います。終わり。

味噌を作っていると母が楽しそうでとてつもなく嬉しかったです。食文化、伝統の継承の温かさを知ることができたので、(二日がかりの)味噌づくりはおすすめ。

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