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北欧子育てパパの話⑤ー子供が生まれてもキャリアアップを継続する秘訣

高福祉国家で世界一男女平等と言われる北欧フィンランド。
特に、父親の子育てに対するコミットメントが高く、ドイツ人の知人も北欧の人と結婚したいというほど。

実際に、男女で子育てをする頻度についての調査でも、フィンランドでは、父親が一緒に遊んだり、寝かしつけをしたりする割合が非常に高いです。

父親の育児頻度の国ごとの違い(ベネッセ教育総合研究所)

北欧子育てパパでは、日本ではまだまだ焦点が当たりにくい子育てにおける「父親」に焦点を当て、その背後に潜む一人ひとりの物語や価値観を紐解きます。

世界で1番パパが育児をする国フィンランドで受けた衝撃
共働きでも余白を生む
子育ての悩みと工夫
私たちにとっての「非常識」に触れること

第5回では、フィンランド出身の子育てパパのLさんにお話を伺いました。3歳と6歳の子どもの子育てをしながら大手企業でデジタルプロダクト開発のお仕事をしており、子供が生まれてから2度の転職を経験しキャリアアップを続けているその秘訣に迫ります。

海辺でのインタビューに心地よく応じてくれました

子供が生まれてから「初」の転職

キャリア志向はそれほど強くないというLさん。
子供が生まれるまでは通信会社で10年近く働いていました。

子供が生まれたからこそ、安定したキャリアや経済性について考えることが増えたと言います。

一般的に1日7−8時間働き、あとは自由時間として過ごすフィンランドの働き方。独身時代には、仕事時間外でキャリアップのための時間を多くとっていたわけではなかったLさんですが、子供が生まれてから社内の中でまずできることを探り始めたそうです。

すぐに転職してキャリアップという方針ではなくて、今の仕事を続けながらより自分として価値が発揮できる、やりたい仕事に着くために、いくつかのことを試したそうです。

① 周りの人と話すこと
② 会社の戦略を理解すること
③ より安定したり、経済性が高い仕事を見つけること

まずは、自社の中で働いている従業員の人とどんな仕事をしていて、他にはどんな仕事があるのかということを積極的に話し始めたそうです。その話のなかで、自分がしたいことやこれから価値が高まる職種についての知識を仕入れていきました。

次に、会社としてどんな方向に進んでいくのかについての戦略を理解しようとしたようです。自分のやりたいこととこれから会社が向かっていく方向性が一致しない場合には、評価されにくいため、自分の周囲の意見だけでなく会社としての方針をよく学んだと言います。

そのうえで、当時は、コンテンツ(動画・画像・記事などの情報を伝えるもの)を制作するエンジニアから、よりデジタルプロダクトに近い領域で仕事をすることに決めたようです。

この過程を経て、社内でのポジションの変更・異動をしながら、より市場の価値が高く、自分のしたい仕事へとキャリアをシフトさせていきました。

社内でのキャリアップを通して、デジタルプロダクトの開発をマネージする仕事を軸として、転職をしていったようです。

気軽に海に行ける街エスポー

家事は最小限に、子供の時間を最大限に

そんなキャリアアップも育児もしているLさんに典型的な平日の1日についてお伺いしました。

・6時45分:起床
・7時30分頃:保育園へ送っていく(週3ほど担当)
ー子供たちは保育園で朝食をとる
ー自身の朝食は、バナナなど軽く家で食べたり、会社で食べる
・8時頃:勤務開始
・16時頃:勤務終了
・家族との時間
(出社時には家に戻ったり、習いごとに送ったり、食事を用意したり)

子供が生まれる前は、朝7時から昼過ぎの15時まで働いていたそうですが子供が生まれてからは1時間ずらしたそうです。独自時代は、起きてすぐに働き始めることができていましたが、子供が生まれてからは子供達の着替えや送りなどがあるからだそうです。

シンプルなスケジュールですが、朝食をしっかり作り食べるとかかる1時間を節約している分、夜の時間にゆとりをもって過ごせている様子が分かるように思います。

特に印象的だったのは子どもとの時間に集中したいからという言葉でした。確かに忙しい日常のなかで、時間を意図的に作る意思をもっていなければ、なんとなくマルチタスクの中で、1つのことに集中できていない時間が多く生まれてしまいます。

時間の使い方に関する割り切りをはっきりとさせて、夕方以降の子どもとの時間を大切にするための時短や働き方を大切にしているそうです。

透き通った空気での夕日

ストレスフリーで過ごせる日常が1番

こうした家族との時間、キャリアの両方にそれぞれの時間で集中して過ごすことができている背景には、2つの考え方・思想があると感じました。

まず、1つには、「家族全員がストレスフリーで過ごせることが1番大事」という考え方です。

子供が生まれると、ただでさえ、家事や育児の時間が多く、親が自由となる時間が限られています。ある意味「頑張りすぎると」ストレスがかかり過ぎ母親も父親も感情的になり、子供は敏感に感じとります。

こうした負の感情の連鎖とならないためにも、まず、父親・母親がストレスフリーでいることが最も大切だと感じているそうです。

そのために、コンディション管理として
・好きな場所にいくこと(海や森、公園など)
・居心地の良いコミュニティをもつこと(友人など)
・趣味に没頭する時間をもつこと(囲碁や運動など)

を生活のなかに組み込むようにしているそうです。

これは、父親だけではなく、母親もこうした時間をもつことができるように工夫したり、話し合ったりしながら、生活をしているといいます。

船を趣味にする人も多い

ゆっくりでも中長期できっと夢は叶う

もう1つの育児とキャリアを両立する秘訣としては、「時間軸を長くして、キャリアと向き合うこと」だと言います。

ご自身も、キャリアップについて真剣に考え始めてから、焦りやバーンアウトかもと感じることがあったそうです。

その時に立ち止まって、今すぐキャリアアップや夢を実現しなくても、続けていれば必ず叶うというふうに、短期的な考え方から中長期的な考え方へとマインドシフトさせたとおっしゃっていました。

子どもが小さくて手のかかる時間は、逆に言えば、子供たちが親を必要とし可愛い時期でもあります。こうした子どもとの時間が大切な時期に焦って、キャリア、キャリアとアクセルを踏み続けるよりも、一歩ずつ着実に進んでいくことを大切にしているのだと感じました。

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「ゆっくりでもキャリアはあきらめない。」

「一度に多くのことをやろうとしすぎないこと。」

「家族全員がストレスフリーで過ごせるように。」

子供が生まれてから家族との生活・キャリア、そのどちらも大切にしながら幸せに生きるヒントがたくさん詰まったインタビューでした。

せっかちな私は、同時にいろんなことをやろうと躍起になることが多々ありそこからくるストレスが家族へも影響してしまう、ということがあるので、私自身も考えさせられる内容でした。

フィンランドの子育てやキャリアの考え方も本当に人それぞれだと思いますが、ゆっくりと落ち着いて「大きな未来目線」で考える価値観は共通点かもしれません。

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では、次回もお楽しみに!

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