声
そっと優しくて、落ち着く声。
どこからでも響く声。
ちゃんとお腹の底から出せる声。
「いいなぁ。」
いつも人の声を聞いて思う。
✳︎
私の声は、
自分で思っているよりも、ものすごく高くて、
どこか震えてるようなピロピロしていて、
大きな声を出さなきゃと思うと、
無理やり地声スイッチに切り替えるもんだから、
頑張って低く平らに出そうとしたがすがすな声で、
それを続けると、途端に喉を壊す。悲しい。
録音した声を聞くときが一番恥ずかしい。
なんでこんなへろへろしてるんだ。
薄っぺらいんだ。
歌も、歌うのは好きだけど、
「なんか裏声で響かないよね」
そう言われたこともある。
人前で話すときも、大きな声が出せない。
居酒屋で目の前の人にも届かないくらい、
高くてへろへろな声。
✳︎
小さくても、大きくても、
ちゃんと響いて、
うるさいんじゃなくて、あたたかい。
そんな声が羨ましい。
自分の声があまり好きじゃないけど、
その分、周りの人の声が好きに感じられる。
でも、そういえば、
「ちょっとお姉さんぽい声だったよ。」
そう突然言われたときは嬉しかったな。
自分が話してる声と、
聞かれている自分の声は違う。
こんな声で話したいと思っても、
そう、うまく実現できるものじゃない。
声。
一生、自分のものだし、
失ったら悲しい。
ちょっと好きになれるように
がんばりたい。
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