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あなた自身によるリスキリング

スキルや思考プロセスのアップデートが必要

私にとってリスキリングという言葉の意味は、「その時代に合わせてスキルをアップデートすること」です。実際、私も経営層に抜擢された際に、自身のスキルや思考プロセスをアップデートする必要に迫られ、「技術経営修士(MOT)」に挑戦しました。その体験を共有します。

従業員へというより自分自身のために

リスキリングというと企業の従業員が真っ先に思い浮かびますが、ここから先行き不透明な時代には、経営層こそ自身のスキルや思考プロセスをアップデートすることが必要だと思います。

私は1998年に、新卒で外資系金融のJPモルガンに入社しました。最初に配属されたのは、マーケットリスクを管理する部署で、マーケット(市場)の動きが現在の持ち高に与える影響を測定、報告するという使命がありました。その時に、リスクというものは、測れないから怖いのであって、見える化すれば、その大きさに対して適切な策(例えばリスクを小さくしたければ持ち高を減らす)を打てばいいのだ、ということを学びました。

その後転職しゴールドマン・サックスで20年以上資産運用に携わり、2020年に私は初めて日本の会社法に基づく株式会社の取締役副社長職に転じました。大変名誉だと感じると同時に、自身が経営に関するスキルを持ち合わせていないことも認識し、大学院で経営の勉強をすることを決意、周囲の理解を得ることができました。

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仕事しながら勉強は大変でした・・・

MOTを選んだ理由

その際、金融業界からは多くの方が挑戦するMBA(経営管理修士)を目指すことも考えましたが、これからさらに求められる知識は、イノベーションや社会課題解決を基点とした発想や技術であると考え、それには技術の社会実装が不可欠であると思い、あえてMOT(技術経営)を専攻することにし、東京理科大学大学院へ進学しました。

実際に修士課程を進めていくと、イノベーションの起こし方、最先端科学技術、技術の社会実装の課題など、事業を営む企業にも、そこへ資金を提供する金融機関にも大変有益な視点が見えてきました。

また同期の方々は製造業で長らく研究開発、モノづくりの中枢にいらした方が多く、そこで目指す技術レベルの高さを実感し、日本にはこれまで以上に社会に価値をもたらすことのできる分野や技術がある事も理解できました。

東京理科大MOTとはこんなところ:卒業前のインタビュー

今、求められるリスキリング

今必要とされるリスキリングの分野には、こういった科学・技術と経営を融合して考える経営レベルでの発想、そこへ資金を循環させる金融業界における科学に対する更なる理解だと考えます。持続可能な社会を創造するサステナブル金融に関しても政府を核として議論が進んでいます。直近では金融庁の有識者会議による報告書も公表になりました。

人文科学、自然科学という枠を超えた発想、特に経営レベルでの両分野の融合が益々重要になっていくなかで、経営層のリスキリング、金融人のリスキリングを進めていくと社会全体にとっても有意義ではないかと思っています。

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