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ESG投資は終わったのか?

最近よく聞かれる質問が「ESG投資は終わったのか」というものです。これを考え読み解く視点を5つほど挙げます。

ESG 投資と謳ってもアプローチは様々

1)ESG 投資と謳った投資のアプローチは様々です。特定の業種、武器とかあるいは酒タバコ、ギャンブル、これらを除外するという典型的な社会的責任投資については、有事の時、武器の輸出が儲かるような時期にはファンドの投資パフォーマンスが下がるのは従前からの事実です。特にウクライナ侵攻があるからESG投資が終わったという簡単な結論にはつながらないと考えています。

ESG 投資はいつも儲かるとは限らない

2)ESG 投資は意外と儲かるって言ったじゃないか、という話です。しかし、成長株投資は儲かる、というのと同じで、ある一定の投資手法がいつも儲かるのではなく、短期的に儲かるということはあっても、浮き沈みがあるというのが常です。ESG 投資とは中長期的に投資パフォーマンスにポジティブな影響を及ぼすものというのがこれまでの研究結果ですので、この3ヶ月ぐらいのタイミングで13%ぐらい時価総額減ったからといって、機能しない、ということではないと思います。

運用者の腕次第、ケースバイケース

3)金融商品においてはファンドのパフォーマンス、投資成果というのはそれを運用してる運用者(ファンドマネージャーやチーム運用であればファンド)の腕次第ですから 、ESG 投資と一括りに言っても、良い運用者もいれば、あまり上手じゃない、その時、成績が上がらないファンドもあるということです。

ESG ウォッシングの恐れ

4)ESG 投資という話だが、この名前がふさわしくない、 ESG ウォッシングにつながってるんじゃないか、ということです。つまりESG投資になっていないものが混ざっている。これは、アメリカでも欧州でも、そして日本でも言われています。金融庁もかなり気にしていますので、内容と表示の関係について規制が厳しくなっていくかもしれません。おそらくこれまではマーケティングとしてのESG投資が盛んだったが、揺り戻しが起きているという側面もあると思います。

サステナブル経営追求への脱皮の時

5)企業における ESG(非財務と呼んだりサステナビリティ課題と呼んだりする)の視点を盛り込んだ経営が評価されるステージに来てるんじゃないかと思います。いわゆるSDGsあるいは ESG もマーケティング側面から捉えるというのではなくなり、企業としてサステナブルな形、私はMOTでの研究で謳っているのですが、サステナブル経営を目指すべきではないかと思います。

進化を期待されるフェーズへ

結論としては、ESG投資は終わったのではなく、いわゆるブームを超えて、進化を期待されるフェーズに入ってると見ていますし、株式投資家だけではなく金融全体として持続可能性に取り組む流れ(サステナブルファイナンス)が出てきているというのが足元の状況だと考えています。


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