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私の就活日記(続編)「もう一度」


私は、9月末に妥協という形で就活に終止符を打った。これ以上続けてもどんどん自分が見えなくなって辛くなってしまうだろう。そんな思いから、納得しきれない自分をいったん無理やり納得させた。

就活の終わりと同時に実家に戻ってから、あっという間に月日は流れて気づけば12月になっていた。



一人暮らしの孤独感と就活の疲労感で弾力を失っていた心に弾力が戻った。

卒論も山場を超えたところで、私は再び就活を始めた。やっぱりどうしても納得できなかった。もう一度やってみて、だめだったらそこでまた考えよう、そうやって気楽にいくことにした。


とは言っても、12月にまだ新卒を募集している企業はごくわずかで、3つだけ説明会に参加した。そのうち2つの選考に進むことにして、1つは一次面接で落ちた。別に落ち込まなかった。

残りの1つは、夏の就活中、挑戦し続けたけれど1つも受からなかった人材業界の企業だった。これまでダメだったから自信はなかったけれど、間違いなくこれが最後のチャンスだと分かっていたから頑張りたかった。



Webでの一次面接とSPIは無事に通過し、二次面接は就活を始めて以来初の対面での面接だった。本社まで行くのは遠くて面倒くさいし余計に緊張するから全部Webでいいのに、なんて思いながらオフィスに向かった。


オフィスに着いてからエントリーシートみたいなものを書かされたけれど、案の定緊張して字が上手く書けなかった。見たこともないような下手くそな字に自分でも笑ってしまった。そしたらなんだか緊張がほぐれて、約40分の面接はかなり自然体で話せた気がする。

そのあと、先輩の女性社員2人と一緒にお弁当を食べながらいろいろと話す時間をもらった。ああ、ここで働きたいな、漠然とそう思った。お昼ごはんを食べ終わってから、人事の人に合格を告げられた。すごく嬉しかった。



1週間後、最終面接のために私は再びオフィスに向かった。午前中に少しだけ先輩社員の営業に同行し、お昼は外で前回とは違う先輩2人とランチをしてから、午後から社長とオーナーとの最終面接だった。

会社のトップの威圧感。もちろん緊張はしていたけれど、一周回って冷静な自分がいた。幼少期から時系列で私がどんなことをしてきたか、どんな人間だったかを聞かれるような感じだった。以前にも何度かこのタイプの面接を経験したことがあったから、それなりに話すことはできたけれどかなりつっこまれた。


つっこみに苦戦しながらも必死に答えていたら、あっという間に2時間近く経っていた。1時間の予定がこんなにも長引くなんて、正直怖かった。良いことなのか悪いことなのか、多分どっちでもない。私に掴みきれない曖昧な部分があったのだと思う。



何とも言えない気持ちのままオフィスを後にした。落ちるのかな、そんな不安が懐かしかった。

何日か経ってから、着信があった。合格だった。突然サラッと言われたから驚いてまともにお礼も言えなかったけれど、一度面談をしようと言われた。



先週、面談のためにまたオフィスを訪れた。社長と40分くらい最終面接の時の話も含めていろいろな話をしながら、改めて内定を出すと伝えられた。冷静にありがとうございますとだけ伝えた自分がなんだか嫌だった。もっと喜びを伝えたかったのに、それができない自分が恨めしい。


そのあと、内定通知書をもらい、部長と先輩社員と話す時間をもらった。話し始めて1分も経っていないくらいの時に、部長から「何考えてるのかわかんないって言われるでしょ?」と聞かれた。図星だった。

そうだよねと言いながら、「自己開示を身に付けていこうね」と言われた。社会人として人と関わっていく以上、自分の考えや感情をきちんとオープンにすることはコミュニケーションにおける必須条件だ。夏の就活中もこれが最大の課題で自分の一番の弱点だと認識していた。


さんざん言われて自覚していたことだったけれど、改めてそれを指摘され、今回はなんだか今までとは違う気持ちになった。これまでは、克服するのがとてつもなく大きな壁を越えなければいけない感じがして嫌だったけれど、この時はそれが楽しみだと感じた。

私の考え方が変化したからなのか、この会社で働くことへの期待からなのか、それとも特に理由はないのかはわからない。



ちなみに、今年の新卒は私1人だけらしい。去年は0。募集はしているし、選考もそれなりにしているらしいけれど、採用になる人はなかなか多くはないと言っていた。

そんな中で採用をもらえたことは嬉しいけれど、同期がいないのはなんだか少し不安ではある。それでも今のところはワクワクが勝っているから、もう一度就活をしてよかったと思う。




私自信、もう一度就活をしながら、時期も時期だしかなり厳しいだろうなと思っていたし、それほど期待もしていなかった。それでももう一度挑戦したのは、何もやらないまま掴めるチャンスを逃すのが嫌だったから。行動すれば大きかれ小さかれ何かしらの結果がついてくるものだ。




諦めない。一度諦めてももう一度やってみる。納得するまで辞めない。


もうすぐ就活を始める後輩たちに伝えたい。

頑張れ。


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