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映画『レジェンド アンド バタフライ』を観てきたよ

今月の始め、映画『レジェンド アンド バタフライ』を観た。


『レジェンド アンド バタフライ』と言えば、昨年の11月、岐阜市で開催された「ぎふ信長まつり」が記憶に新しい。

懐かしい~2022年ぎふ信長まつりのポスター

3年ぶりの開催となるこのまつりに、信長に扮したキムタクが急遽参加することとなり、岐阜県民は大いに盛り上がった。まつり当日には、全国から多くの人々が岐阜へ見物に訪れ、大フィーバーとなった。

今年1月の岐阜市柳ケ瀬にて。公開日直前、至る所にこのポスターが貼られていた。


あの熱狂から3ヶ月。

「さて、どんな映画なんだろう?」
観た人の話を聞くと「面白かったよ」「キムタクもだけど綾瀬はるかがすごくカッコよかった」という声が多い。

興味がそそられた私と夫は、2月のある日、お隣・富山県へと出かけた。

2月の始め。沿道に雪が積もってる道を走った。

飛騨の山々を越えて、富山県に入る。

今、飛騨には映画館がないため、映画を観たい時は、こうして遠くまで車を飛ばさなくてはいけない。

下道を走って約1時間。富山平野に辿り着いた。
ここから、いつもなら映画館がある郊外の大型ショッピングセンターへ行くのだけど、今回は、富山市の中心部&繁華街にある映画館へ向かった。

市街地に入ると、コインパーキングに車を停めて、映画館まで少し歩いた。

富山市街地の歩道。

今にも雨がこぼれそうなお天気。
念のために…と、夫が傘を持ってきてくれた。

今回はこちらの映画館へ。

お目当ての映画館は、アーケード商店街の一角にあった。

初めて訪れたこの場所は、こじんまりした小さな映画館だった。自販機でチケットを購入してから、待ち時間を利用して飲み物とポテトを買い込む。

チケット

少し待っていたら開場時間になり、私たちはシアター内に入った。

開演前に場内をぐるりと見回す。時代劇ということもあり、客層はご年配の方が多かった。


以下、ネタバレ注意



物語は、信長と濃姫の婚礼の儀から始まる。
信長の生涯を見てみると、彼が斎藤道三の娘・濃姫(帰蝶)と結婚したのは、数えで16歳くらいの頃である。

少年時代の信長を演じるキムタクが、「こういう感じの10代マイルドヤンキーいるよね〜」と思わせるほどの超自然体で、これを御年50歳のキムタクが違和感なく演じていることにビックリ。その凄さにまずは圧倒された。

そして、これに対抗する濃姫は、当時数えで15歳。信長より一つ年下である。
この綾瀬はるか演じる濃姫も、なかなかすごい御仁であった。

婚礼で信長と面した濃姫は、少女らしい素朴な雰囲気を醸し出しつつ、一方で、「まむしの道三」の娘らしい豪傑さを秘めている。美濃国を背負って嫁いできたという覚悟を持ち、武術に秀でていて気も強い。
ヤンチャで空っぽの信長を、自らの腕力と知力で屈服させて、圧倒的な強さを見せつけるのである。そんな誇り高い少女を、30代後半の綾瀬はるかがナチュラルに美しく演じているのである。私はここでも度肝を抜かれた。

そんな衝撃的な出会いから始まる夫婦の物語は、信長の成長物語であり、また、濃姫の愛の物語でもあった。

父の死後、家督を継いだとはいえ、信長はまだまだ精神的に幼く、未熟さを残していた。しかし、濃姫から影響を受け、また様々な経験を得て、強くたくましく成長していく。ふとした折に、濃姫から「海を渡って異国に行ってみたい」という夢を聞かされ、更には、父斎藤道三と抱いた「天下統一」の願望を聞き、妻の思いを自分自身の夢へと重ねていくのである。

映画には、合戦シーンが出てこないが、血なまぐさいシーンや手に汗握る闘いシーンが所々で登場する。

特に、濃姫の殺陣シーンは必見。弓矢や刀を巧みに扱い、馬に乗って疾走する綾瀬はるかのカッコよさに惚れ惚れする。

普通の女性では、信長の正妻の座は務まらなかったであろう…と思うほど、強くて個性的で魅力にあふれている濃姫。キムタク信長も、独特のカリスマ性を放っていて、どんどん凄みが増していくのだけど、そんな信長に引けを取らないほど、濃姫も潔くて強い。そして美しい。


互いに「尾張」と「美濃」で小競り合いを仕掛け、いつもすれ違ってばかりの二人の関係も、天下統一の夢に向かって二人で突き進んでいくに従い、その形を変えていく。

大うつけ時代に信長の下で一緒にヤンチャしていた家臣たちは、皆、織田勢の重鎮となり、信長を支え、その力は全国規模へと強大に広がっていくのである。

しかし、富と権力を手に入れれば入れるほど、大切なものが指の隙間からサラサラと零れ落ちていく。

強くたくましい男へと成長していく信長。濃姫と心を通わせるようになったが、ある時期から、信長から純真さや無邪気さが消えて、残忍な男の顔へと変貌していく。

やがて信長は自らを「第六天の魔王」を呼び、天下統一のために容赦なく人を殺める人間になっていった。かつての夢を叶えるために、自分に歯向かうものは全て殺すという修羅の道を突き進んでいた。

家臣も恐れを抱くほど殺戮に手を染めていく信長。そんな信長に心を痛め、もう共に生きていけないと覚悟を決めた濃姫は、信長に離縁を申し立てて、岐阜城を出ていくのだった。

その後から信長が亡くなるまでの顛末は、今まで散々ドラマ化され、映画にも描かれてるので、皆がよく知っているストーリーだけど、この映画では、歴史も人物像も今までとは違う描かれ方がされていて、とても新鮮だった。

あと、各シーンに出てくる建物や室内は、全国の国宝&国重文に指定されている神社仏閣や城だそうで、歴史的建造物ファンにはたまらないシーンが多い。

私がこの映画で心に残った場所は、京の都の街中のシーン。都の民たちがたくさん往来する賑やかな町のシーンだけど、沿道の紅葉が美しい石段の場面が、なんと!京都の神護寺で撮影されたものだと、映画を観た後で知り「おおー!」と思わず声が出た。
以前、参拝してその清廉さに心打たれた神護寺のあの長い石段を、京の都のあのシーンで使ったのか!…と、その斬新なアイディアに驚かされた。
こんな感動が味わえるのも、この映画の魅力だと思う。

岐阜城のセットも、岐阜歴史博物館で復元されたVRの信長公居館を見たことがある人なら、「えっ!あれを本当に作ったの!すごいー!」と驚くような出来栄えで、本当に感動ものだ。

脇を固める役者陣も良かった。福富平太郎貞家役の伊藤英明と、各務野役の中谷美紀。この二人の演技が、またすごくいい。濃姫の侍従として美濃国から付き添ってきたこの二人が、あるじの濃姫を御側付おそばつきで最後まで守り抜こうとする姿とその健気さ・実直さに心打たれた。

人間らしく描かれた信長と濃姫。

この二人の物語は、信長が、もう一つの夫婦の人生を夢で思い浮かべるシーンで幕を閉じる。

人生五十年…。
最後を「敦盛」の舞で〆るのではなく、違う形で一生を締めくくった信長。

新しい信長と濃姫、夫婦のかたちを描いた、心に残る映画だった。



富山市街地の総曲輪を歩く。

映画を観た後、外をブラブラ歩いた。

ごはんを食べるには中途半端な時間だったので、おやつを食べることに…。

目についたこのお店に立ち寄ってみよう。

喫茶チェリオ

満席だったので、外で待つこと数十分。

ようやく順番が来て呼ばれたので、中に入る。

抹茶クリームあんみつ。器にたっぷり入っていて、結構ボリューミーだった。
コーヒーと一緒にいただいた。

最後の回想シーンは、賛否両論いろいろあるみたいだけど、どうなんだろうね。

同じ戦国物でも、以前観た『関ケ原』よりは、うんといいよ。
夫婦の物語として観ると、なかなか奥深いものがあったね。

キムタクがカッコいいのは勿論だけど、綾瀬はるかのカッコよさにビックリした。

…なんてことを夫と語り合った。

この映画を観た直後は、確かにあの最後の回想シーンについて「あちゃー」と思ったけど、今こうして時間が経ってから振り返ると、あのシーンは不思議と深く印象に残っている。それも好印象で…。

夫婦の物語として紐解けば、あれは必要なシーンだったのだよ、きっと。

さて、どんな結末だったかは、是非、劇場で観てほしい。

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