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脳波解析における下処理や解析方法/計算論的神経科学

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  • 計算論的神経科学

    田中宏和「計算論的神経科学 脳の運動制御・感覚処理機構の理論的理解へ」についてのメモ書きです。

  • 脳波解析の基礎まとめ

    Mike X. Cohen and Jordan Grafmanの「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」をベースに、そもそも脳波とは?下処理や解析はどうやってすればいいの?について、噛み砕いて解説します! #脳科学 #脳波 #脳波解析 #神経科学 #サイエンス

最近の記事

計算論的神経科学 第5章-1

 「計算論的神経科学」(田中宏和)の第5章(〜p134)についてメモ書きする。第五章では確率論的な系を扱った信号依存性ノイズを用いた最適制御について説明されている。 制御則(フィードフォワード/フィードバック) 制御則には大きく分けてフィードフォワード制御及びフィードバック制御がある。フィードフォワード制御は、制御信号が時間tの関数u=u(t)として与えられるのに対し、フィードバック制御では、制御信号は状態変数xの関数u=u(x)として与えられる。決定論的な形では、ある時刻

    • 計算論的神経科学 第4章-3

       「計算論的神経科学」(田中宏和)の第4章(p109〜)についてメモ書きする。第四章では観測を理論を用いて外界を最適に推定するための評価関数について説明されている。 確率密度を用いたカルマンフィルタの導出 p109までに導出されたカルマンフィルタは誤差項の線形補正(K_{k+1}(z_{k+1}-H^x_{k+1|k}))を仮定した。この仮定抜きに導出を行う。ガウス分布を仮定すると状態変数及び確率変数の同時分布は確率密度関数を用いて式(4.53)となる(Σ_{xx} = m

      • 計算論的神経科学 第4章-2

         「計算論的神経科学」(田中宏和)の第4章(p103〜p109)についてメモ書きする。第四章では観測を理論を用いて外界を最適に推定するための評価関数について説明されている。 因果推定と情報統合 因果推定とは、複数の感覚入力が単一もしくは複数の信号源から出ているのかを推定することで、著者は因果推定問題にベイズ推定を適応した研究を紹介している。(4.27)式にてσ^2_Vは視覚、σ^2_Aは聴覚位置の分散を示しており、視覚位置から聴覚位置を引いていることから-1/2は(4.11

        • 計算論的神経科学 第4章-1

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第4章(〜p103)についてメモ書きする。第四章では観測を理論を用いて外界を最適に推定するための評価関数について説明されている。 推定問題での推定法 データより推定したい量を仮定するため、何らかのモデルを導入する必要がある。推定法には大きく古典推定とベイズ推定の2通りあげられ、古典推定は点推定であり特定の推定値が真の値に近似するよう関数が決定される。一方ベイズは推定値の値ではなく確率分布に基づいた条件付き確率を求める。一概にどちらが良いとい

        計算論的神経科学 第5章-1

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        • 計算論的神経科学
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          計算論的神経科学 第3章-2

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第3章(p67〜)についてメモ書きする。他の動物に対しヒトは新たな環境に対する適応能力が非常に高い。本noteでは運動適応の過程を記述する状態空間モデルの柔軟性からまとめを行う。 状態空間モデルの柔軟性 状態空間モデルは物理過程と観測過程を含み、状態変数を自由に定義できる点から様々な現象に適用可能である。さらに、異なる時間ステップを含めることで過去の状態まで次元を拡張した状態変数を導入し、観測変数が遅れを含める場合でも記述が可能となる(式(

          計算論的神経科学 第3章-2

          計算論的神経科学 第3章-1

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第3章(〜p66)についてメモ書きする。他の動物に対しヒトは新たな環境に対する適応能力が非常に高い。本章では運動適応の過程を記述する状態空間モデル及びその応用について記述されている。 状態空間モデル 状態空間モデルとは、時間発達過程と観測過程をモデル化したもので、時間発達過程は運動方程式が記述する運動(i.e., 現在の状態/エンジンなどの制御信号より次の時間の状態を計算)にあたり、一方観測過程は観測装置や方法に依存(i.e., センサーを

          計算論的神経科学 第3章-1

          計算論的神経科学 第2章-3

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第2章についてメモ書きする(part3, p52〜)。身体運動は目的に対し最適化がなされ、規則性が生じている。本章では身体運動における規則性を説明する最適化モデルについて議論している。 リンク系のモデル化躍度とは加速度の一階時間微分で、躍度最小モデルは外力の滑らかな変化を想定し軌道をモデリングしている、すなわちキネマティクスにおける滑らかさの指標となっている。一方、上腕などリンク系の運動方程式を考慮しておらず、キネマティクスだけで説明できな

          計算論的神経科学 第2章-3

          計算論的神経科学 第2章-2(ドライブ/ポントリャーギンの最小原理)

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第2章に出てくるドライブ/ポントリャーギンの最小原理(p51〜)の導出をAppendixC & 元論(Dongsung Huh et al., 2016)から理解し直そうの巻。 ドライブとはドライブとは躍度最小モデルにおける保存量のこと(2.22)。ラグランジアン=運動E-ポテンシャルEであり、ドライブはラグランジアンが時間に陽に依存しない場合だと考えれば良い。以下論文(Dongsung Huh et al., 2016)のまとめです。

          計算論的神経科学 第2章-2(ドライブ/ポントリャーギンの最小原理)

          計算論的神経科学 第2章-1

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第2章についてメモ書きする(part1, 〜p51)。身体運動は目的に対し最適化がなされ、規則性が生じている。本章では身体運動における規則性を説明する最適化モデルについて議論している。 到達運動の制御本来始点と終点のみが定まった二点間到達運動において軌道は定まらない(不定性)。しかし、実際には手先を動かす随意運動において一定の軌道を描くことが示されており、これより空間的には外部座標系での運動制御が示唆される。一方時間的にはフィッツの法則(ス

          計算論的神経科学 第2章-1

          計算論的神経科学 第1章

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第1章についてメモ書きする。身体運動の基礎とその脳内表現について議論している。 キネマティクスとダイナミクスキネマティクス(運動学)とは身体の位置(外部/内部座標)を記述すること。順(逆)キネマティクスは内(外)部座標の外(内)部座標への転換を指す。 一方、ダイナミクス(動力学)とは外力を受けた系の運動方程式(時間発展)のこと。 オイラーラグランジュ内部座標系の関節角を変数としたリンク系の運動方程式。簡潔な関節表現と複雑な運動方程式で記述

          計算論的神経科学 第1章

          計算論的神経科学 第0章

          「計算論的神経科学」(田中宏和)の第0章についてメモ書きする。 マーの計算レベル神経科学の理論的理解の枠組みは①計算理論、②表現とアルゴリズム、③実装、の3レベルある。 ①計算理論:目的のために必要な計算 (i.e., 目的=報酬:報酬最大化問題、キネマティクスのダイナミクス変換) ②表現とアルゴリズム:計算遂行のための具体的なアルゴリズム (i.e., 予測誤差の導入、ベクトル外積のトルクへの変換) ③実装:ハードウェアでの実現 (i.e., 神経回路での実装、神経活動と

          計算論的神経科学 第0章

          【脳波解析】Cross Frequency Coupling

           本ページでは「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter30をベースに、Cross frequency coupling(CFC)について、説明をします。 前回のnoteはこちら↓ Cross frequency couplingとは Cross frequency coupling(CFC)とは、異なる周波数帯域での同期

          【脳波解析】Cross Frequency Coupling

          【脳波解析】相互情報量

           「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)をまとめるシリーズももうすぐ終わりです。今回は、Chapter29をベースに、相互情報量について、説明をしていきます。 前回のnoteはこちら↓ また、今回のnoteをまとめる上で、弊ラボの先輩の坂本嵩さんの以下のスライドを超絶参考にしています!そちらのチェックも是非!! エントロピー 相互情報

          【脳波解析】相互情報量

          【脳波解析】グレンジャー予測(Granger Prediction)

           本ページでは「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter28をベースに、グレンジャー予測(Granger Prediction)について、説明をしていきます。 前回のnoteはこちら↓ グレンジャー予測(Granger Prediction)とは Granger Predictionとは、「グレンジャー因果」を求めることです

          【脳波解析】グレンジャー予測(Granger Prediction)

          【脳波解析】パワーベースコネクティビティ

           本ページでは「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter27をベースに、パワーベースのコネクティビティ解析について、説明をしていきます。 前回のnoteはこちら↓ また、パワーベースのコネクティビティを理解する上で、スピアマンとピアソンの相関係数について理解しておく必要があります。分からない方は是非こちらを参照してみてくだ

          【脳波解析】パワーベースコネクティビティ

          【脳波解析】位相ベースのコネクティビティ(ISPC)

           本ページでは「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter26をベースに、位相ベースのコネクティビティについて、説明をしていきます。 前回のnoteはこちら↓ ISPC(時間/トライアル方向) ISPCはintersite phase clusteringの略で、電極/ボクセル/ニューロン間の位相角差の極空間でのクラスタリン

          【脳波解析】位相ベースのコネクティビティ(ISPC)