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【脳波解析】パワーベースコネクティビティ

 本ページでは「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter27をベースに、パワーベースのコネクティビティ解析について、説明をしていきます。

前回のnoteはこちら↓

また、パワーベースのコネクティビティを理解する上で、スピアマンとピアソンの相関係数について理解しておく必要があります。分からない方は是非こちらを参照してみてください。

時間方向のパワーの相関

 パワーの相関についても、前回紹介したISPC同様、時間方向とトライアル方向に分けることができます。時間方向のパワーの相関について、1回の試行に対する連続時点にわたるパワーから計算します。これは、タスク/resting-stateのデータに使用可能で、複数の周波数帯において、相関はcross-frequency couplingの影響を受ける可能性があります(詳細はchap. 30)。計算方法としては、はじめに電極を二つ選び、時系列に沿ってパワーを抽出し、その後ピアソンまたはスピアマンを用いて相関係数を計算します。
 メインのパラメーターは時間の長さであり、まずタスクについて、最低でも2~4サイクルくらいの時間を確保します。少ないと単純にデータが足りなくなり、長すぎると一過性のコネクティビティを見落とすかもしれません。ただし、高周波数帯に着目したいとき、及びタスクデザインが長めなときは少し長めにしましょう。つぎに、Resting-stating-dataについて、数秒のセグメントにカットし、それぞれのセグメントについて相関係数を計算し、その平均を出します。これによりS/N比を上げることができます。

トライアル方向のパワーの相関

 やり方は3つあり、選び方は目的と仮説に合わせてください。
1)先験的に使用する各電極ごとに時間*周波数窓を決める
 2電極の時間周波数窓を選んだあと、各トライアルのパワー抽出します。その後、相関係数を抽出しマッピングします。
2)相関係数の時間連続性を見る
 複数のトライアル間での各時間でのパワーの相関をとります。同じ周波数帯からパワーを得たり、複数の周波数帯に対しての相関が取ることができます。
3)時間周波数マップに対するパワーの相関
 1電極に対する時間周波数窓を決め("A"とします)、全トライアルでのパワー変動の相関をAと、A窓を除いた全時間周波数ポイント(電極の数は幾つでもok)で計算します。同周波数でのコネクティビティ/時間の正確性を必要としないため、位相ベースのコネクティビティより良いです。

偏相関

 相関がありそうな変数があった時、その相関が本当かどうか疑う必要があります。偏相関を用いて、2変数の変形/単調な本当の関係がわかります。計算方法は以下の通りです。

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ここで、r_(xy)はxとyの相関係数、r_(xz)はxとzの相関係数、r_(yz)はyとzの相関係数を示しています。例えば、ゲームする(x)と成績下がる(y)ぞ!という仮定に対し、勉強時間が足りない(z)からでは?という新たな変数を導入し、r_(xy)=0.62、r_(yz)=0.98、r_(xz)=0.85とすると、r_{(xz)•z}は-0.13となり、ゲームと成績低下は関係がない、ということが言えます(これらの数は適当です)。また、偏相関を求める時の相関係数は、ピアソンでもスピアマンでもどっちでも大丈夫です。
 脳波解析において偏相関が便利な理由は2つあり、1)3つ以上の電極で構成されるネットワークを仮説できること、2)パワー相関ではボリュームコンダクション(z)を最小化できること、があげられます。

MATLABを動かすときのポイント

 パワーベースのコネクティビティをMATLABを用いて解析したいときに、着目すべき点が2つあります。
1)ダウンサンプリング
 ダウンサンプリングは、いい感じにデータ量を減らしたい時に使えます。ただし、時間分解能が下がるため、周波数情報に着目したい時はあまりよくないです。一般的に低周波数の方がダウンサンプリングされます。
2)corr/corrcoef を使うより早く相関を計算する方法がある!
 corr/corrcoefは確かに便利で、例外/欠損データ処理を行ったりp値を計算したりなど、いろんな種類の情報処理に使えます。一方、データに問題がない場合でも処理されてしまう場合など、結果相関計算に時間がかかる可能性があります。そんなときは、自分でスピアマンの相関係数カキカキしちゃえば解決です。


最後に、このノートにスキを押してくれると、とても嬉しい&更新のモチベが爆上がりします!ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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