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双極症の体調管理にヨガを活用する【双極症とセルフケア】


はじめに:ヨガのもつ意味とは?

「ヨガ」とはサンスクリット語で「つながり」を意味しています。
心と体、魂が繋がっている状態のことを表します。呼吸、姿勢、瞑想を組み合わせて、心身の緊張をほぐし、心の安定とやすらぎを得るものです。

ヨガの目的と効果|認定NP O法人日本ヨガ連盟

このように、ヨガでは心と身体のつながりを重視し、全体が調和した状態を目的としています。この記事では、ヨガがどのようにして双極症の体調管理に役立つのか、私の体験談をご紹介します。

なお、私はヨガを7年やっていますが、動き方や知識はアプリや書籍などから独学しています。この記事はあくまでも個人の体験談です。双極症の体調管理やヨガは、個人の感じ方や身体の違いを大切にした上でゆっくりやっていくのがよいと、私自身は思っています。

ヨガの基本:心と身体の調和とは?

ヨガは特定の姿勢やポーズを通じて、自身の身体と心に気づきを向けるよう促します。

このプロセスは心身のバランスを整えるだけでなく、日常生活における自己調整能力を高めることにつながります。これは、筋肉の緊張や伸展に気づいたり、身体を動かす際に痛めないよう自分で調節したりすることです。また、特定の部位の痛みが気分や感情に影響していると気づくこともあるでしょう。

定期的にヨガを続けていると、自身の身体と心への気づきを育むことにつながります。この気づきと共存することが、穏やかさや調和といった感覚の源です。

なぜ双極症の体調管理にヨガを活用するのか?

調和や穏やかさを与えてくれるヨガですが、双極症の体調管理に活用するメリットはなんでしょうか?

ここでは私がヨガを継続する中で、体調管理に役立ったと感じているポイントをご紹介します。

ヨガでマインドフルネスを養い、双極症のサインをキャッチする

マインドフルネスとは、物事をあるがままに受け容れ、現在の瞬間に、価値判断をせずに注意を向けることによって現れる意識=気づきのことです。

『うつのためのマインドフルネス実践 慢性的な不幸感からの解放』

マインドフルネス認知療法は、うつ病の再発予防が実証されているプログラムとして知られています。呼吸法や瞑想と並んで、ヨガなどの身体に注目するエクササイズを取り入れているのが特徴です。

ヨガは動きながら現在の瞬間(今ここ)に集中し、自身の身体や心の感覚に注意を払います。したがってヨガはマインドフルネスを養うのに最適です。マインドフルネスを育てる方法でよく知られているのは瞑想ですが、じっと座っているのが苦手という場合にもヨガが向いているかもしれません。

また、マインドフルネスを養うことは、双極症の体調管理において非常に有効だと私は思っています。自身の身体や心の変化に敏感になり、気分の変動サインを早期にキャッチできるようになるからです。加えて、気分が少し上がり気味で落ち着かないときには、ヨガでリフレッシュしながら鎮静を試みることもできます。

大切なのは、より早くサインに気づけた分だけ対処するための隙間ができるということです。マインドフルネスの気づきを適切な対処につなげれば、生活に悪影響をおよぼすようなエピソードに発展することを、防げる可能性が高くなります。

ストレスを発散してリラックスでき、不眠症の対策にもなる

ヨガの深い呼吸やゆったりとした動きはリラックス効果をもたらし、ストレスの解消に役立つことはよく知られているのではないでしょうか。

科学的研究により、ヨガをすることでセロトニンのレベルが上がり、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが下がることが示されています。なかなか寝つけないときや、ストレスが溜まっているときに効果的です。

寝つきが悪いときのアイデアとしてYoga Nidra(ヨガニドラ)があります。Nidraとはサンスクリット語で「眠り」という意味です。これは身体を積極的に動かすのではなく、横になって、眠る一歩手前の意識状態のままする瞑想技法として知られています。

私の場合は、軽躁になりかけていて睡眠不足が続いているようなときに即効性を感じます。睡眠欲求がない場合でも身体は睡眠不足であることが多いため、プログラム中に寝入ってしまうことも多いです(本当は起きたまま行う瞑想)。ヨガニドラは疲労感が強いときにも適しており、プログラム中眠らずに済んだ場合も深いリラックス状態によって身体が軽くなったと感じます。

ほかにも、とにかくムシャクシャするようなとき、とりあえずヨガをしてみると治まったこともありました。うつ気味でストレスが溜まっているときは、動きが速く、リズム感のあるフローエクササイズをやると気持ちよく感じます。

このようにヨガはリラックス効果が高いので、うまく活用できると双極症の体調管理にとても役立つのではないでしょうか。

ヨガを双極症の体調管理に活用するためのアイデア

では、実際にヨガを双極症の体調管理に活用するために何をしたらよいでしょうか?

私が効果的だと感じるのは、ヨガをする時間を毎日の生活に組み込むことです。もちろん、身体の具合には個人差がありますので、自分のペースで定期的にやるのがよいと思います。

定期的にヨガをするメリットは、体調の微妙な変化に気づきやすくなることです。人間の身体は日々変化していますが、普段は気づかないような小さな変化が気分変動のサインということもあります。

さらに、ヨガを続けているとストレスが溜まったときに身体のどこに緊張や痛みが現れるのか、身体のクセがわかるようになります。双極症の気分変動をモニタリングする際は、このような身体のクセを目安にするとわかりやすいです。

私の経験では、気分が上がっているときは不思議なほど痛みがありません。おそらく軽躁エピソードではドーパミンが増えるからだと思います。気分が落ち着いたときにドッと疲労感や痛みが出ますが、エピソード中に緊張が続いていた反動なのでしょう。

このように、ヨガを定期的にやることで身体と心のクセを知ることができます。変化が小さいうちに対策を取れば、エピソードの再発を防げる可能性が高くなるでしょう。

私のヨガ体験:身体における喪失感を見つけること

最後に、私自身のヨガ体験を振り返りたいと思います。私はヨガを始めて7年経ちますが、印象に残っているのは身体の喪失感です。

始めたばかりの頃は身体に注意を払っても何も感じられず、身体の一部が無いような、そこで信号が止まっているような感じでした。まさか自分自身の身体をこんなふうに感じるとは思わなかったので、とてもびっくりしたことを覚えています。

当時はうつ状態だったこともあり、感情もほとんど動かないような時期でした。しかしヨガとマインドフルネス認知療法を続けていくうちに、自分の中の喪失感を受け入れられた瞬間を覚えています。このときは涙が止まらなくなりました。

ヨガもマインドフルネスも、深めていくには時間が必要です。普段の活動と違ってノルマや時間制限などはないため、自分の心地よいペースでゆっくり実践していくとよいでしょう。

まとめ

ヨガは双極症の体調管理において、心と身体の調和を取り戻し内なる平和を見つける強力なツールです。日々の実践を通じて自分自身の変化に敏感になり、ストレスや気分変動のサインに気づけるようになります。ポイントは自分自身の身体や感じ方を大切にしていくことです。この記事が皆さんの役に立つことを願っています。


参考資料

『うつのためのマインドフルネス実践 慢性的な不幸感からの解放』 
マーク・ウィリアムズ、ジョン・ティーズデール、ジンデル・シーガル、ジョン・カバットジン、星和書店

YOGA STUDIO(ヨガアプリ、英語のみ)

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