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【藤原定家の字】本気とオフの落差 明月記の人間味 「かづらき」フォントは定家の書にヒント

東京国立博物館の特集展示(藤原定家「明月記とその書」2023/6/27 (火) ~8/6(日))へ行き、「ヘタウマ」と呼ばれていることを初めて知った。たまたま今まで、藤原定家の比較…

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9か月前
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国宝【絵因果経】1300年前のお経 絵巻物原点‥フェノロサと岡倉天心 藝大最初の購入物

振りかぶりポーズに見えてなんだか面白いこの絵は、釈迦の前世と生涯を分かりやすく伝えるために文字と絵で描いた絵因果経という奈良時代に描かれた経典(お経)で、MOA美…

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2日前
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空海展【弘法大師 直筆の書】7年越しの聾瞽指帰‥風信帖の美しい訳文 奈良国立博物館

奈良国立博物館の特別展 「KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」で空海さんの直筆の書や触れたであろう物を間近で見ながら、会場の垂れ幕の言葉にグッときた 虚空尽き、…

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6日前
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【大元帥明王図像】俵屋宗達の風神雷神(風?!)鎌倉時代の“ほのぼの” 秘法の密教仏画

  鎌倉時代に描かれた、俵屋宗達(風)を感じずにはいられない大元帥明王図像という仏画の癒しな絵に出会った。秘法の仏画のため図像類の遺品は比較的少ない貴重なものら…

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2週間前
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【九曜星図】【弘法大師請来目録】空海の持ち帰った《宿曜経》が惑星や曜日の元‥陰陽師と共に活躍《宿曜師》とは

二つの展覧会で見たものが1200年前に空海が密教の一部として唐から持ち帰った占星術に関係していて興味深かったので背景について調べてみました 発端は、2022年11月にMOA…

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2週間前
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【勝林院】 法然380人論破の地2000人の僧で平和フェス‥創建は藤原道長の妻 倫子の弟《寂源》‥声明の聖地

東京国立博物館で特別展「法然と極楽浄土」が開催されているので、法然さんにまつわる大好きなエピソード、壇ノ浦の戦いの翌年鎌倉時代に入ったばかりというタイミングで数…

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1か月前
3

【三の丸尚蔵館 所蔵】皇室固有に限らず‥上流貴族と贈答品ネットワーク

先日参加したギャラリートーク冒頭で全く知らなかった歴史的な文化を知った。皇室に伝来する美術品は必ずしも天皇家固有のものとは限らず、その背景には皇室と上級貴族の間…

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2か月前
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雲紙本和漢朗詠集 伝藤原行成(国宝予定) 研究員さんギャラリートークで解像度200%@皇居三の丸尚蔵館

雲紙本和漢朗詠集、現物は1000年前の平安時代中期のものだということが終始現実とは思えない強烈な美しさ「どうしてこんなに美しい?」知りたい衝動にかられる中、研究者の…

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2か月前
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更級日記 藤原定家筆(国宝) 研究員さんギャラリートークで解像度200%@皇居三の丸尚蔵館

書跡担当の研究員さんから展示品の見どころなど詳しいお話を聞いてきました。ギャラリートーク後、個別に質問されてい方が多数いてマニアックで深い情報をさらに知ることが…

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2か月前
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【明月記】伝来図解 藤原定家72歳清書版 80歳最晩年6年の日記消滅..国宝修復に徳川家康の写本

現存する藤原定家 自筆の日記「明月記」は全て定家が晩年に清書した72歳当時の字で、日々定家が書いていた日記は清書後に消滅し残っていない。清書作業は定家だけでなく右…

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2か月前
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【藤原定家】【冷泉家 蔵】時系列 徳川家康・天皇のアシスト【ブラタモリ登場】現存唯一の公家邸宅

鎌倉時代に書かれた小倉百人一首の撰者 藤原定家の日記「明月記」の原本が現在まで伝わってきた経緯を調べると定家の子孫である冷泉家が守り伝える中で驚きの過程を経てい…

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2か月前
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【藤原定家の功績】古今和歌集 土佐日記 更級日記 源氏物語..現存最古写本 国宝多数 平安書物残す

教科書に載る平安時代の歴史的書物。古今和歌集、源氏物語、土佐日記、更級日記の作者原本は残っていなかった。知っているものは残っていると思い込んでいた。平安時代に書…

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3か月前
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【藤原道長 御堂関白記】【藤原定家 明月記】図解 貴族の日記原本残る背景‥天皇の勅撰和歌集は一つも残らず

1000年前の藤原道長の日記原本が現存し世界遺産で、 800年前に書かれた藤原定家の日記原本も現存し国宝であること。残っていないと思い込んでいたものの存在を知った時の驚…

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3か月前
10

【国宝 手鑑翰墨城】藤原行成 藤原公任 藤原佐理の書 光る君へサービス展示?!

MOA美術館で毎年この時期に開催されている名品展。今年は国宝【手鑑 「翰墨城」】が展示され、翰墨城に収められた311葉(枚)の書のうち、大河ドラマ「光る君へ」の登場人…

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3か月前
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【明月記】藤原定家の父「藤原俊成」91歳 臨終に食べた雪 (800年前の詳細な記録)

藤原俊成は、崇徳天皇、後白河天皇から愛され、後鳥羽天皇からは90歳を盛大に祝われるほどの人柄で、生涯現役で和歌の道に邁進し、亡くなる一週間前まで歌集の合点を行い、…

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4か月前
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生オーケストラ圧巻 ロック原曲大河ドラマ平清盛【タルカス】《吉松隆の「英雄」コンサート》

大河ドラマ平清盛きっかけで知ったタルカスを、原曲の作曲者キースエマーソンの命日、そして吉松隆さんの古希祝(70歳)の特別な日に、生オーケストラで聴いてきた。新たな…

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8か月前
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【藤原定家の字】本気とオフの落差 明月記の人間味 「かづらき」フォントは定家の書にヒント

東京国立博物館の特集展示(藤原定家「明月記とその書」2023/6/27 (火) ~8/6(日))へ行き、「ヘタウマ」と呼ばれていることを初めて知った。たまたま今まで、藤原定家の比較的綺麗に見える字を目にしてきていたのだった。明月記の原本はまさに私的な日記らしく「日常・人間味」が感じられるオフモード感あふれる字体だった 笑  悪筆(字が下手)能筆(字が上手)という単語も知り、 今回の展示のような「オフモード」の字 フォントになった「本気モード」の字 定家の字の違いを見る楽し

国宝【絵因果経】1300年前のお経 絵巻物原点‥フェノロサと岡倉天心 藝大最初の購入物

振りかぶりポーズに見えてなんだか面白いこの絵は、釈迦の前世と生涯を分かりやすく伝えるために文字と絵で描いた絵因果経という奈良時代に描かれた経典(お経)で、MOA美術館所蔵 重要文化財の絵因果経の一場面 この絵因果経を調べると、奈良時代に描かれた絵因果経は複数あり、東京藝術大学大学美術館所蔵 国宝の絵因果経は、フェロノサと岡倉天心が藝大最初の収集品として購入していた 醍醐寺所蔵(国宝)絵因果経の制作は奈良時代8世紀半ばで日本最古の絵巻。これ以降で現存する絵巻は平安時代12世

空海展【弘法大師 直筆の書】7年越しの聾瞽指帰‥風信帖の美しい訳文 奈良国立博物館

奈良国立博物館の特別展 「KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」で空海さんの直筆の書や触れたであろう物を間近で見ながら、会場の垂れ幕の言葉にグッときた 虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、 我が願いも尽きなん この世の全ての物が消滅し、仏法の世界が尽きるまで、 私は人々が救われることを願い続ける 開催概要    出品目録PDF掲載リンク 展示件数:115件(うち国宝28件、重要文化財59件) 前期と後期で大幅に違う 前期展示に行ってきたので 印象に残った展示について記

【大元帥明王図像】俵屋宗達の風神雷神(風?!)鎌倉時代の“ほのぼの” 秘法の密教仏画

  鎌倉時代に描かれた、俵屋宗達(風)を感じずにはいられない大元帥明王図像という仏画の癒しな絵に出会った。秘法の仏画のため図像類の遺品は比較的少ない貴重なものらしい。仏画はとっつきにくいイメージだったけれど見た瞬間お気に入りに。画像を何度見返しても飽きないクセになる絵。この画風はどういった背景のものなのか調べてみると、こんなに可愛いほのぼの絵とギャップ 大元帥法の本尊を描いた絵で、その大元帥法は宮中で極秘に行われた国家レベルのお取り扱い注意の祈祷(呪術)だった 大元帥明

【九曜星図】【弘法大師請来目録】空海の持ち帰った《宿曜経》が惑星や曜日の元‥陰陽師と共に活躍《宿曜師》とは

二つの展覧会で見たものが1200年前に空海が密教の一部として唐から持ち帰った占星術に関係していて興味深かったので背景について調べてみました 発端は、2022年11月にMOA美術館 開館40周年記念名品展 第3部で平安時代に描かれた九曜星図像(重要文化財)を見て、人物の横に曜日が書かれていて「この頃から曜日があったの!?」と印象に残っていた 空海生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」奈良国立博物館会期:令和6年(2024)4月13日(土)~

【勝林院】 法然380人論破の地2000人の僧で平和フェス‥創建は藤原道長の妻 倫子の弟《寂源》‥声明の聖地

東京国立博物館で特別展「法然と極楽浄土」が開催されているので、法然さんにまつわる大好きなエピソード、壇ノ浦の戦いの翌年鎌倉時代に入ったばかりというタイミングで数多の僧をその教えで無双論破したという伝説の【大原問答】という大きな出来事と、その伝説の地である京都大原の【勝林院】そして宗教音楽【声明】についてまとめ。 平安末期から鎌倉時代に入った頃、源平合戦で武士が戦っていた一方で、後の日本仏教界に大きな影響を与えた事件が起きていた しかも、その仏教界において伝説の地となった勝

【三の丸尚蔵館 所蔵】皇室固有に限らず‥上流貴族と贈答品ネットワーク

先日参加したギャラリートーク冒頭で全く知らなかった歴史的な文化を知った。皇室に伝来する美術品は必ずしも天皇家固有のものとは限らず、その背景には皇室と上級貴族の間で行われていた贈答品ネットワークの存在があった   これは、三の丸尚蔵館所蔵品以外も含めた中世から近世の名品と言われるような国宝・重要文化財などの伝来を理解するうえで基本となる部分ではないかと。この背景をふまえると《なるほど、だからこう伝わっていたのか》と点と点が繋がった 文化財の伝来を考えるときの重要事項、 しかし

雲紙本和漢朗詠集 伝藤原行成(国宝予定) 研究員さんギャラリートークで解像度200%@皇居三の丸尚蔵館

雲紙本和漢朗詠集、現物は1000年前の平安時代中期のものだということが終始現実とは思えない強烈な美しさ「どうしてこんなに美しい?」知りたい衝動にかられる中、研究者の方の説明を聞けるという神イベント。そして、驚きの綺麗さを目の当たりにした参加者の方々からあふれ出る「巻物細部・保管状況・原料って??」と、初めて聞く単語だらけのディープな質問の数々で理解度がとんでもなく上がりました 冒頭の写真 この類例を見ない貴重な斜めのデザインは4/7まで! 巻物前半 対角線(斜め)、 巻物後

更級日記 藤原定家筆(国宝) 研究員さんギャラリートークで解像度200%@皇居三の丸尚蔵館

書跡担当の研究員さんから展示品の見どころなど詳しいお話を聞いてきました。ギャラリートーク後、個別に質問されてい方が多数いてマニアックで深い情報をさらに知ることができるという。特に知りたかった藤原定家の更級日記写本の解像度が上がり過ぎて大興奮の機会。今回のイベントは三の丸尚蔵館会館30年以来初めての試みとのこと ギャラリートーク概要更級日記 (国宝)藤原定家筆 写本そもそも更級日記とは ▼高梨研究員の解説 この更級日記の写本はいつ頃書かれたものか鎌倉時代前期、藤原定家の晩

【明月記】伝来図解 藤原定家72歳清書版 80歳最晩年6年の日記消滅..国宝修復に徳川家康の写本

現存する藤原定家 自筆の日記「明月記」は全て定家が晩年に清書した72歳当時の字で、日々定家が書いていた日記は清書後に消滅し残っていない。清書作業は定家だけでなく右筆(書写能力に長けたもの)を動員して行っているため、定家以外の筆跡も含まれているものが残る 現存する明月記原本とは…  定家が日記を書いていた期間と現存する日記の期間との関係、定家72歳の出家時に編纂された後、どういった過程を経て伝わっているのか 昭和55年の冷泉家の調査開始時から調査に携わり、冷泉家時雨亭文庫の

【藤原定家】【冷泉家 蔵】時系列 徳川家康・天皇のアシスト【ブラタモリ登場】現存唯一の公家邸宅

鎌倉時代に書かれた小倉百人一首の撰者 藤原定家の日記「明月記」の原本が現在まで伝わってきた経緯を調べると定家の子孫である冷泉家が守り伝える中で驚きの過程を経ていた 書物を守るために尽力した意外な人物が! 徳川家康は藤原定家のファンで冷泉家に伝わる書物の価値を上げ、徳川秀忠は天皇を巻き込んで明月記を保管する冷泉家の蔵(御文庫)ごと封印し天皇の許可がない限り開けられない正倉院状態にして守っていた たとえ貴族の子孫の家であっても継承は容易ではなく、昭和55年には個人レベルでの家

【藤原定家の功績】古今和歌集 土佐日記 更級日記 源氏物語..現存最古写本 国宝多数 平安書物残す

教科書に載る平安時代の歴史的書物。古今和歌集、源氏物語、土佐日記、更級日記の作者原本は残っていなかった。知っているものは残っていると思い込んでいた。平安時代に書かれた古代文学の作者原本が伝わるのはごく稀で、残っていないのが当たり前、平安時代に作られた写本ですら伝わるのは困難だった… そんな中、平安末期から鎌倉時代前期を生きた藤原定家は平安時代の書物の写本を多数作り、後世で現存最古となる写本を残していた。その藤原定家の「書物を残した人」としての功績を調べてみた 【平安中期の

【藤原道長 御堂関白記】【藤原定家 明月記】図解 貴族の日記原本残る背景‥天皇の勅撰和歌集は一つも残らず

1000年前の藤原道長の日記原本が現存し世界遺産で、 800年前に書かれた藤原定家の日記原本も現存し国宝であること。残っていないと思い込んでいたものの存在を知った時の驚き。この二つは教科書に載っていなかったような記憶。では誰もが知る有名な日記は原本が残っているのか?興味が湧いて調べると、二つの日記が現存するその奇跡のレベルが分かった 【藤原道長の日記】東京国立博物館で貴重な展示! 『特別展 やまと絵―受け継がれる王朝の美―』 2023年10月11日~12月3日  道長の日記

【国宝 手鑑翰墨城】藤原行成 藤原公任 藤原佐理の書 光る君へサービス展示?!

MOA美術館で毎年この時期に開催されている名品展。今年は国宝【手鑑 「翰墨城」】が展示され、翰墨城に収められた311葉(枚)の書のうち、大河ドラマ「光る君へ」の登場人物 藤原行成と藤原公任の書を発見。数ある書の中からタイムリーなニーズを汲んで?!42葉(枚)展示のうち10葉(枚)がこの二人の書。配分多め。何も調べずに行ったのでテンション上がりました 今年は「光る君へ」の効果で、 古い時代に書かれた「書」を楽しめる年になりそう ———————— MOA美術館は、所蔵品ほぼ写

【明月記】藤原定家の父「藤原俊成」91歳 臨終に食べた雪 (800年前の詳細な記録)

藤原俊成は、崇徳天皇、後白河天皇から愛され、後鳥羽天皇からは90歳を盛大に祝われるほどの人柄で、生涯現役で和歌の道に邁進し、亡くなる一週間前まで歌集の合点を行い、三日前には息子の藤原定家と和歌の話をし、平安末期から鎌倉時代初期という恵まれない衛生環境の中、 91歳の大往生を遂げた 藤原定家の明月記を調べていく中で俊成のエピソードにたくさん触れ、その藤原俊成の生涯を書いた「臨終の雪」という本で、俊成は筆跡と同様に「麗しく」生きた人なのだと知った 藤原俊成の生きた時代 藤原

生オーケストラ圧巻 ロック原曲大河ドラマ平清盛【タルカス】《吉松隆の「英雄」コンサート》

大河ドラマ平清盛きっかけで知ったタルカスを、原曲の作曲者キースエマーソンの命日、そして吉松隆さんの古希祝(70歳)の特別な日に、生オーケストラで聴いてきた。新たな世界が広がる忘れられないコンサートの記録 吉松隆さんが語る今回のコンサートについて  当日のコンサート音盤 『吉松隆:交響曲第3番/タルカス』2023/6/21発売 music youtubeで聴くことができる 吉松隆の〈英雄〉コンサート 2023年3月11日(土)14:00 会場:東京芸術劇場コンサートホー