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「記事のトンマナくらい、自分で調べてよ」編集者が絶対に言ってはいけない言葉

「なんでこんなことも分からないの?」
「自分で考えてよ」

そんなことを人から言われたり、自分で思ったり。心当たりがある人もいるのではないだろうか。

私が編集の仕事を始めて、もう4、5年は経とうとしている。

たくさんのライターさんと一緒にお仕事をする中で意識しているのが、「期待したアウトプットが出てこないのは、編集者(自分)の責任」だと思うようにすること。


「このくらい、言わなくてもわかるだろう」という"エゴ"

そもそも私と相手は別の人間だ。他人の頭の中なんて100%理解できない。

だけど、仕事になると人は「このくらい言われなくてもわかるだろう」と、なぜか人に期待をしてしまうことがある。

でも、そもそも生きてきた環境が違えば物の捉え方も価値観も前提条件を代わってくる。だから、仕事をするうえで前提知識も違うことがある。

当たり前のことだけど、意外とやってしまいがちなのではないだろうか。

ここで、前職の会社員時代にした大きな失敗の話をしたい。

あるとき、同僚に資料作成を依頼したのだが、数日後上がってきた資料は必要な内容が不足していて、かつ使う画像素材もちょっとダサい。

当時は「この内容が必要なのは言われなくてもわかるでしょ」と思っていた。

でも、今だったら思う。私が100% 悪い。

なぜなら、依頼した時に「お客さんにサービスを説明するのための資料を作ってね」とだけしか伝えていなかった。どんな項目を必須で盛り込みたいのか、デザインや構図のイメージはどんなものかをまったく伝えてなかったのだ。

(私の会社員時代を思い返すと本当に未熟で今でも恥ずかしくなるのだが、いろんな失敗をしつつ、大きな学びがたくさんあったのも事実なので、当時の自分、本当にクソだなと思いつつ、時々のせてみる。)

そんな失敗の経験がフリーランスになってからの編集としての仕事にも活きている。

記事のトンマナが合っていないのは、ライターが悪いの?

この記事を読んでくれてる人にも、思い当たることがあるのではないか。

たとえば、記事の話。ライターさんに「〇〇の執筆をお願いします」と依頼をした時に、レギュレーションやトンマナが他の記事と違うことがある

「トンマナくらい、自分で調べて合わせてよ」
「メディアのこと、ちゃんと理解してる?」

なんて思うことがあるかもしれない。実際にそういう言葉を言われたライターさんもいるかもしれない。

実際、仕事ができるライターさんは、メディアを理解してトンマナを合わせて書いてくれることも多い。

でもそれは、ライターさんに求めすぎだと思っているし、編集部側のエゴもあると常々思っている。

決まっているルールがあるなら共有すべきだし、記事に目的や意図があるなら伝えるべきだ。

依頼をするときの"最低限の共通認識"

正直に言うと、私もそこまで丁寧に依頼をするほうではない。

でも、編集者ないしディレクターとして、ライターさんに依頼するうえで"最低限必要な共通認識"として、以下の情報は伝えるようにしている。

  • 記事の目的やターゲット

  • ざっくりとした構成

  • 完成イメージと近い記事

  • 同メディアの記事(トンマナやリード確認)

  • 取材者の事前情報

  • レギュレーション(あれば) etc.

実際にここ数年は、上記の共有をすることで、ある程度期待していたとおりの初稿を提出いただけて、大きくずれていたり、大幅な修正が必要な記事はほとんどない。(もちろん、いつもステキなライターさんたちと一緒にお仕事できてるがゆえ!)

編集者とライターは別の人間。だから、"ギャップ"をできるだけ減らすのが、依頼のカギになる。

自責思考のほうが、何事もうまくいく

今回の話は編集者とライターの関係だけではなく、他の仕事でも必要な考えだと思っている。

以前、「怒らないために、人に期待をしないようにしている」という話をnoteに書いた。

この話にも通ずるが、つまるところ「対人関係においても"自責思考"が大事」ということだ。

なにかトラブルがあるとき、うまくいかないときは、相手に理由を探すのではなく、うまくいかなかった原因を自分の行動から探す。

他人の行動や思考を変えることは難しいし、コントロールしようなんてエゴでしかない。それよりも、自分の行動をふりかえって、自分を変えていったほうが、何倍も良い結果になると思う。

今日は、そんな編集者の心得のお話。

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