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Vol.4 「プロ」の副担任になる
今回はタイトル通り、私が選んだ道についてお話しします。
1. 副担任って…
かつて、とあるドラマで「私は副担任です。お飾りみたいな存在なんです」というようなセリフがありました。私はそのセリフに、切なさというか、やるせなさというか、ある種憤りのようなものも感じました。
副担任=お飾り
傍から見たら、そんな風に、見えてるのかな。
逆に言うと、そんな風に思えてしまう働きしかしてない(ドラマ内のキャラクターが)、ってことかな。
色々考えてしまいました。
そこで私が考える「副担任」の役割とは。
そして私が「副担任」としてやってきたこととは。
今回はそんなお話です。
2.「副担任」の役割
私は12年間副担任でした。(うち2年は特別支援教室担任を兼任)
副担任として行ってきた仕事(一部分ですが)は
1.帳簿類の記入や押印(文章表記のみ担任が行う)
これは、通知表や指導要録の記号や数字で表されている部分をハンコを使って記入する、もしくはPC上でデータを入力する仕事です。
また、健康診断表の内容も同じく処理していきます。
ただし、この業務に関しては学校や学年主任の考え方によっても違ってきます。
責任をもって担任が行う、と言う場合もありますし「児童生徒のことを知っておくため」に担任が行う、という場合もあります。
生徒指導が多発する学校や学年の場合は、副担任がまとめて行うところがおおいかもしれません。実際私が勤務していた学校では、1校目(生徒指導困難校)と2校目(落ち着いているけど勘違い「教員」が数名いる)は、副担任の仕事として、年度初めから年度終わりまで、文章表記以外を全て記入・入力していました。そしてこれらの帳簿のデータが、中3を担当した時に、進路事務に繋がっていきます。
2.教室外にいる生徒の第一次指導
教室にいられなくなった、教室から飛び出した、喧嘩が勃発した、問題行動の証拠を見つけた…等々、学校ではひとくくりに出来ないほど多種多様な生徒指導・支援が発生します。
そんな時、担任はまずクラス全体に話をしたり、指示を出したり、場合によっては授業に行かなければならなかったり…もちろん副担任も授業がありますから、授業を優先しますが、それまでの間、担任に代わって教室外にいる生徒のそばにいます。
生徒のそばにいることが支援になる場合はまだいいのですが、反社会的行動と呼ばれる問題行動を起こしてしまう生徒の場合は、まず追いかけて探し出して、別室に連れていき、事情聴取をしてから生徒に何がいけなかったのか、どうすればいいのかなど、指導をしていきます。
もちろん素直に話が出来る状態の生徒ばかりではありませんから、一筋縄ではいきません。また、同時進行で学年主任へ連携し、担任にも連携し、生徒指導主事に連携し、教頭(もしくは教務主任)へ連携…と「ホウレンソウ」も欠かせません。
もちろん、学年主任→生徒指導主事→教頭(教務主任)→校長と、それぞれが自主的にしっかり報告をあげてくれれば問題はありません。スムーズな生徒指導が行えます。
ところが…これが出来ない学校や学年も残念ながら存在します。そんな時はとにかく学年内の人出が一気に不足することになり、生徒指導が難しくなってしまう、というケースも少なくありません。
生徒指導に関しては、別の記事で改めてお話ししようと思っていますが、こうして書いていても、当時のことがありありと蘇ってきて、遠い目をしたくなってしまうほどです。
とにかく、副担任は問題を抱えている児童生徒と一緒に過ごす時間がおおくなります。これを「生徒を理解するチャンス」と思えるか「面倒」と思ってしまうかで、教員という仕事に対する想いも変わってくるでしょう。
3.「プロ」の副担任になる
私は副担任だからこそ、クラス関係なく学年の生徒たちとたくさん一緒にいられる、触れあえる、そのことを「生徒を理解するチャンス」と思ったし、喜びでもあり、やりがいを感じている事でもありました。
私にとって生徒指導の基礎をがっつり学べたのは、やはり1校目に勤務できたおかげです。
その学校で、私は3人の「道しるべ」となる先生方に出会いました。
1人目は、とにかく生徒指導も教科指導も心に響く、これからどんどんえらい立場になっていくんだろうな、と当時から思っていたカリスマ的な先生。
2人目は、とにかく最前線で生徒と関わる私たち学年スタッフが指導しやすいように、と日々考えて行動してくださった先生。毎日起こる、大変すぎる生徒指導もいつの間にか笑い話に変えてくれる、という胸に熱さを秘め、管理職と闘ってくれる先生。
3人目は、生徒たちにとって「おかあさん」のように温かな指導を行う先生。生徒たちを優しく見守り、諭すように叱る。そして心から生徒のことを想い、正面から向き合う、ひたむきな先生。
私はこの3人の先生方の姿勢や指導を、目に焼き付け、心に刻んできました。(実は2校目では、3人の先生方を足したようなスーパー先生に出会いました。私にとって「道しるべ」となる先生は4人います)
そして、毎日の生徒指導を通して、生徒と心が通じはじめ、生徒の心に寄り添えるようになれたかな、と思えた時、私は「プロの副担任になろう」と決意しました。
それは冒頭にもあるように、クラスの垣根無しに学年内の生徒なら誰とでも接することができ、その時間を誰よりも多く持つことができたからです。
また、担任はとにかく細々とした業務が多く、保護者対応も多くなります。
私はそんな担任の先生方をサポートしたい、という想いが強く「縁の下の力持ち」が自分には合っていると思ったからでもありました。
「エレ先生なら、安心して頼める」
そう思ってもらえることが嬉しかったこともあります。そうして学年にかかってくる負担を少しでも減らせたらいいな、と思っていたのです。
学校や学年の流れが分かったら、事務処理はどの程度やっていいのか学年主任に確認し、進められるものはどんどん進める。
担任や学年主任にバトンタッチするまで、生徒に寄り添う。
他にも色々あるけれど、とにかく副担任としてやれることは一生懸命どんどんやろう、そう決めて「副担任」の道を究めようと決意したのでした。
4.「やりたいこと」や「やりがい(喜び)」は何か
ここまで「副担任」について話してきましたが
・最初は副担任から経験を積んだ方がいい
・講師なら副担任をした方がいい
…というわけではありません。
人には向き不向きや、目指す方向、やりたいことややりがいなどもそれぞれです。その中で私には副担任がしっくりきていた、というだけ。
ただし、やると決めたらとことん追求してみよう、と若さゆえに燃えていた…あの頃(笑)
でも、担任に向いている人もいます。また、クラスをもって学級の子供たちとたくさん思い出を作りたい、各行事を一緒になって取り組んでいきたいなど、大変でも担任の仕事の方がやりがいがある、と感じる場合はどんどんクラスをもって担任をしてください。
担任だからこそ味わえる感情や、伝えられる・伝わる想いもあります。
13年間やってきてわかったことは「副担任がヒマ」な学校や学年は、一度本当に「やることがない」「生徒に手がかからない」「生徒指導が少ない」のか、見直してみる必要があるかもしれません。
どんなに素晴らしい学校・学年でも、子供たちは多かれ少なかれ、心に抱えている不安や焦り、苛立ちなどがあります。それが目立たないように淘汰されているだけ、という可能性もあります。
そこに気付く事が出来るのも「副担任」として、学年全体を観ることができるからかもしれません。
副担任は決して「お飾り」ではありません。
でも、担任の「召使」でもありません。
副担任には「副担任」としての役割や存在意義があるのです。
少しでも「副担任」の仕事に興味を持っていただけたら、そして自信を持っていただけたら嬉しいです。
5.終わりに
先生という職業は「何でも屋」に近い所があると思っています。
でもそう思えるのは、自分に出来ることはなんでもやってみる、というスタンスで仕事をしてきたから。
「何でも屋」になると、それこそ都合よく使われてしまうこともあるのですが(残念なことに)、代わりに生徒との関係において、メリットになることが山ほどあります。
毎日、学年の生徒とはほぼ全員と言葉を交わしていたあの頃。
日頃から関係が築けていると、生徒の様子がほんの少し違うことにも気付けたし、思いもよらない生徒が問題を抱え指導・支援する時も「本当にそれでいいの?」という一言で、生徒が心を開いてくれたということもあります。
毎日問題行動を起こす生徒たちも、追いかけているこちらが呼吸困難になり始めると「休憩する?」と言い出して、一緒に並んで腰かけたり。
思い返すと本当に笑い話のような生徒指導が山ほどありました(それはまた別の機会に)。
たった1年間だけれど、担任をしたこともあり、私は副担任としての喜びも、担任としての喜びも味わうことができました。
もちろん、喜びよりも大変な事の方が日常茶飯事ですが(笑)
とにかく、どんな役割であろうと「先生」という仕事は大変「刺激的」。
その仕事で感じる「喜び」や「幸せ」、「やりがい」や「充実感」がかけがえのないものだと思えるなら、ぜひ「先生」として生徒たちとひたむきに向き合ってみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次回。
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