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Vol.3 教師としての「芯」
今回は私が「講師」として働き始めた時の思いについてお話しします。
1.「教員」として大切にしていたこと
先生を「目指している」あなたへ
先生として「勤務している」あなたへ
先生として「大切なこと」は何ですか?
先生としてのあなたの「芯」になるものは何ですか?
私が13年間ずっと大切にしてきたのは
「生徒の心に寄り添うこと」
でした。
例えば一人でも、居場所や心の拠り所がなくて苦しんでいる生徒がいるなら、私はその生徒の隣にそっと寄り添って、止まり木になりたい。
「居場所はここにあるよ」
と言いたい。
ただ、それだけでした。
自分に出来ることは限られている。
初めて「先生」になる自分は、きっとちっぽけだ。
でも、そんな自分にも出来ることがあるはず。
かつての自分は孤独を感じても
「さみしい」と言えなかった。
「助けて」と言えなかった。
そんな中学生だったからこそ、同じように感じている生徒のそばに、そっと寄り添って生きていこう。
そう思ったことがきっかけでした。
2.「生徒に寄り添う」ということ
「寄り添う」というと、とても崇高な行いのような気がしてしまうけれど、教育書やカウンセリング論に載っているようなものとは違い、私がしていたことは「ただ、そばにいる」ということです。
話したい生徒がいるなら、ひたすら「聴く」
不安な生徒がいるなら、安心できるまで一緒にいる
絶賛反抗期で荒れている生徒がいるなら「そんな態度してても、私は気にしないよ」と落ち着くまで同じ空間にいる。
うまく言葉に出来ないけれど、伝えたい思いをたくさん抱えている生徒がいるなら、自分の言葉でありのままの想いを吐き出せるように、一緒に気持ちを探す。
私がしたことは、そんなことでした。
そして彼らが自分自身の想いを言葉にし、次の行動を起こそうとしたとき
「話してくれてありがとう。私はずっと応援してるよ」
と伝える。
13年間、ひたすら繰り返した事でした。
3.「心に寄り添う」ことで見えたこと
私が生徒たちと一緒にいて分かった事は
「どんな生徒も大小それぞれ、不安を抱えて一生懸命もがいている」
ということです。
もがいている時に、理解して受け止めてくれる家族や友達、先生、そんな「誰か」がいれば、解決までの時間は短くて済みます。
でもそんな「誰か」がいなかったら。
生徒はずっと一人でもがき続けることになります。
不安は大きくなり、得体の知れない不気味な存在になっていきます。
すると生徒は「反抗」し「問題行動」を起こすか、引きこもりや不登校になるか、ただ黙ってずっと教室の中で存在感を消してひっそり過ごすか…。
恐らくそうした行動になるでしょう。
自分の学年やクラス、部活の中に思い当る生徒の顏は浮かびますか?
もし浮かんだとしたら、あなたはきっと生徒たちと一生懸命向き合っている「心ある先生」のはず。
救われている生徒が必ずいるはずです。
生徒たちが抱えている不安。
それに気付けるのは、生徒の心に寄り添っている先生だけです。
そうした先生たちの存在が、生徒の心の拠り所になり、背中を押すきっかけになることもあります。
そして実は、それまで続いていた「問題行動」が、解消されていくこともあるのです。
ひたすら一緒にいて応援し続けることで、生徒が自信を持ち、自分の力で前に進んでいくことだってあります。
部活や勉強で、思いがけない進歩をみせることも珍しくありませんでした。
そして気が付くと、自分が苦しんでいるとき、生徒が助けてくれるのです。
それは言葉かもしれないし、行動かもしれない。
けれど確かに私たちの想いは届き、生徒はそれに応えてくれます。
生徒たちが、私たちの心に寄り添ってくれるのです。
実は「心に寄り添うこと」がお互いにとってより良い「生徒指導」への近道だと、私は実感していました。
更に嬉しいことは、生徒と心で繋がると、保護者からの理解もびっくりするほど得やすくなったことでした。
4.気を付けること
ここまで読んでくださった「あなた」に、気を付けてほしいことがあります。
「心に寄り添う」ことについて、勘違いしてほしくないことがあるのです。
「よし、寄り添うぞ!」と力んでしまうと、相手の反応が気になり「ああすればいいかな」「こうすればいいかな」「これはどうだろう?」と、あれこれ口出しや手出しをしたくなってしまいます。
でもストップ!それは「寄り添う」ではなく「押し付ける」です。
あくまでも生徒自身が自然と次のアクションを起こすことが大切だと思っています。
生徒からぽつりぽつりと、気持ちが言葉に出てくる。
それをひたすら一緒にいて、見守る。
何があっても味方でいる。
決して生徒をコントロールしようとしないでください。
生徒たちは私たちが思う数百倍の敏感さで、こちらの意思を感じ取ります。
だからこそ、私たちも嘘やごまかしで生徒と向き合ってはいけないんです。
私自身、ひたすら寄り添ってきましたが、いつも「にこにこ」穏やかで、全然怒らない先生…なんてことはありません。
時には本気で生徒を叱りました。
生徒の行動が悔しくて、指導しながら涙をこぼしたこともあります。
理不尽な思いをして落ち込んだこともあります。
行き詰って悩んだこともあります。
でも、それでも、伝えたい想いがある。
目の前の生徒と一緒にいたいし、成長していく姿を見守っていたい。
そして、その生徒の幸せを真剣に願っている。
だから私はここにいる。
それが私に出来ることでした。
どうかそのことを知っていてください。
そして「心ある先生」が、一人でも多くいてくれますように。
心からそう願っている私から「あなた」へのお願いです。
5.終わりに
さて、今回は執筆していてとても熱い思いを、改めて思い出すことができました。そのため、想いが先走ってしまい、読みやすい文章になっているか不安なところです。
実は「生徒の心に寄り添うこと」が次回の「プロの副担任になる」につながっていきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
質問やコメントなど、気軽にお寄せ下さい。
それでは、また次回。
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