善き羊飼いの教会 #4-3 木曜日
〈佐棟町・国道沿い〉
* * *
日が陰り、風が強くなってきた佐棟町の国道わきに車をとめたスルガは、近くに停車している緊急車両へ近づき、車内を覗きこんだ。運転席には刑事課の椎葉巡査部長が乗っていた。椎葉は目礼して歯を見せ、生い茂る木に挟まれた私道を指差した。どうも、と声にはださず唇のみを動かして右手をあげ、スルガは文倉家の廃屋へと繋がる私道を歩きはじめる。十メートルほど進んだところで、かさついた声に呼びとめられた。振り返って声の主を確認したスルガは、笑みをこぼ