世界の終わり #2-7 ギフト
「どこへ運びましょう」ガサゴソ動く拘束シートを載せた台車のハンドルを握る利塚が、声を震わせながら尋ねた。
髪はまだ寝癖で撥ねている。
「当然、小獣舎です」感情を押し殺した声で掛橋は答えた。グール化した西条を安全に閉じこめておける場所は、メンテナンスの行き届いている小獣舎以外に考えられなかった。
「どのくらいで……あの、本当に死ぬんでしょうか」利塚が問う。
掛橋は視線をそらした。
通常、感染者は生きたままグール化するが、感染状態で絶命した者も情報伝達が再開された脳の働きに