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【連作短編】世界の終わり

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【完結】群像劇。― end of the world 01 ― 連作短編小説です。
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#グール

世界の終わり #0 -Overview-

— end of the world 01 ― 生物を〈生ける屍・グール〉へ変化させる感染症発生によって封鎖…

世界の終わり #1-9 プレミア

          *  言葉を交わせば交わすほど、互いの距離は縮まるものだと実感。意気…

世界の終わり #2-2 ギフト

「やぁ。おはよう」  福岡市内の動物園跡地を拠点としている、人権擁護を目的とした市民団体…

世界の終わり #2-4 ギフト

          *  陽が西に傾きはじめたころ、三枝という名の女性メンバーが、羽鳥の…

世界の終わり #2-5 ギフト

          *  西から移動してきた雲が空を覆い、雨が降りだした。陽が沈んで周囲…

世界の終わり #2-6 ギフト

          *  感染者はグール――屍食鬼と呼ばれているが、実際に人肉を好んで食…

世界の終わり #2-7 ギフト

「どこへ運びましょう」ガサゴソ動く拘束シートを載せた台車のハンドルを握る利塚が、声を震わせながら尋ねた。  髪はまだ寝癖で撥ねている。 「当然、小獣舎です」感情を押し殺した声で掛橋は答えた。グール化した西条を安全に閉じこめておける場所は、メンテナンスの行き届いている小獣舎以外に考えられなかった。 「どのくらいで……あの、本当に死ぬんでしょうか」利塚が問う。  掛橋は視線をそらした。  通常、感染者は生きたままグール化するが、感染状態で絶命した者も情報伝達が再開された脳の働きに

世界の終わり #3-8 ハンター

          *  真冬でも勘弁して欲しい、蒸し暑い防護服を着てトラックを走らせと…

世界の終わり #3-9 ハンター

          *  施設までの帰りのドライブも、怖いくらい順調やった。陽が落ちる前…

世界の終わり #3-10 ハンター

          *  二日経過。  店舗内に閉じこめた不法入国者どもは、はじめのうち…

世界の終わり #3-11 ハンター

          *  さらに二日経過。  おれとウディは相変わらず扉の前に並んで座っ…

世界の終わり #3-12 ハンター

 前回、ツアーの仕事をやったとき、おれと組んだ男は髪を茶色く染めて前歯の欠けた二〇代後半…

世界の終わり #3-14 ハンター

          *  カンバヤシは、大きい鞄を大事そうに抱えたイーダさんと、四〇代と…

世界の終わり #4-1 メタフィクション

 自衛軍西部方面隊第八師団の皆藤(かいどう)が運転する73式中型トラックに同乗していた広域捜査庁捜査官・二宮駿(にのみやはやお)は、瀬高駅に近い二〇九号線の路上にて、二台並んで駐車している不審車両を発見した。  脇につけた銃に手を添える。  路駐しているのは、黒のSUVと、くすんだ色のワゴン車で、ワゴン車はやや斜めになってとまっていた。 「車の横に男性が立っていますね。感染者――いや、不法入国者でしょうか」  アクセルを緩めた皆藤が問い、問いながら身体を拘束しているシートベル