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【連作短編】世界の終わり

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【完結】群像劇。― end of the world 01 ― 連作短編小説です。
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2021年2月の記事一覧

世界の終わり #2-10 ギフト

「どういう……ことでしょう」  不安げな声で利塚が尋ねた。小獣舎は七番目の檻で再度途切れ…

世界の終わり #2-11 ギフト

          *  正門前に郡部代表の姿はなく、訪ねてきた〈九州復興フロンティア〉…

世界の終わり #2-12 ギフト

          *  科学館。西会議室。  室内にいるのは掛橋と小野、それに山岡の三…

世界の終わり #2-13 ギフト

 小野が手を伸ばし、テーブルのうえに置かれた白い柄のナイフを手に取った。 「掛橋さん――…

世界の終わり #2-14 ギフト

「……!」  言葉を失っている掛橋へ向けて、どこからか不快なノイズ音と人の声とが発せられ…

世界の終わり #2-15 ギフト

          *  掛橋は扉の前にいる。ルルカをはじめとする五体のグールが入った、…

世界の終わり #3-1 ハンター

 ガンガン掘れ。いうて、見た目、おれの一・五倍はあるカンバヤシは、図体でかいくせして、長いこと携帯端末弄りながら煙草吸いまくりで、働く意志がまったく感じられへん。なんやんねんこいつ。偉そうに指示して、そのクセ端末に夢中で、おれらには目ェ向けようともせん。大体、どこで端末充電しとるんや。バッテリーを大量にもってきたとかそういうこと? っていうか、端末使ったら電波を辿られてここにおることばれるんやないんかって心配してまうけど、いまのところ軍も警察も捕まえにきてへん。そういうのって

世界の終わり #3-2 ハンター

 もう限界やわ、この身体のベタベタなんとかしたくて堪らん思うた四日目の朝に、はいお二人と…

世界の終わり #3-3 ハンター

 っていうか、ここ、なんやねん。なんでこんな場所やねんって、心の底から思うわ。福岡と熊本…

世界の終わり #3-4 ハンター

「おい、ファン! ぼさっとしてねぇで草抜けや!」と怒鳴られて、慌てて軍手をはめ、雑草をつ…

世界の終わり #3-5 ハンター

「明日はいよいよ商品搬入だ。といっても、港に到着するのは深夜だろうし、正確な時間はわから…

世界の終わり #3-6 ハンター

          *  四日かけてようやく終えた穴掘り&施設のメンテナンス。駐車場を含…

世界の終わり #3-7 ハンター

 港に着いたら午後六時をすぎとった。四時間で着くはずが、思いのほか時間がかかってもうた。…

世界の終わり #3-8 ハンター

          *  真冬でも勘弁して欲しい、蒸し暑い防護服を着てトラックを走らせとる。運転免許をもってへんウディは助手席。おれが運転席。立場的に逆やろいいたいけど、こればかりは仕様がない。っていうか、おれがウディに運転を教えてやるべきやないか、なんてハンドル握りつつ考えとる。教えとけば後々、楽ができるやろうし。それにしても蒸す。めっちゃ蒸す。防護服は頭の部分まですっぽり包むタイプの仰々しいもので、色はド派手な黄色。グエムルで見たわ、こんな防護服着たオッサンの画。  エ