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世界の終わり #3-2 ハンター

 もう限界やわ、この身体のベタベタなんとかしたくて堪らん思うた四日目の朝に、はいお二人ともご苦労さん、穴堀り&草抜きは今日が最終日。はりきって行きましょういうて、カンバヤシが黄ばんだ歯ァ見せて笑った。おぉおお。やったぁ。いうて喜ぶどころか、おれもウディもヘトヘトやったから、なんや今日も一日穴堀りせなあかんのか、草抜きもせなあかんのか、どうせなら今日の夕方、終わった時点でいうて欲しかったわ、とブルーさ倍増、顔にだして嘆いた。それでもおれらはスコップをもって、もとい、シャベルやったか。いやどっちでもええんやけど、掘った穴の中へ、足元に気ィつけながら入って行く。ガンガン掘れ、とは口にしないカンバヤシ。いわない代わりに、自身が穴へ入ってシャベルを振り回す。今日は手伝う気らしい。負けじとおれも穴を掘る。ウディも穴を掘る。男三人、人里離れた辺鄙な山奥で穴を掘る光景は、嫌やワ、不気味やワ、近寄りたくないワってな感じで傍目には映るんやろね。汗臭いし、土臭いし。そのクセ、シャベルにあたるのは石ばっかり。穴堀りなんか石の発掘作業なんかわからんくなってくる。ほんま堪らんわ。早く夕方になれ。って、それだけ願い続けてようやく正午。またまたおれらは貴重な水をわけて、お湯を沸かして、カップ麺に注いで汗だくの昼食。んで、吸いだめやと煙草を吸いまくる。そしたらカンバヤシが穴堀り終了、最後の草抜き頑張りましょういうて、軍手はめながら穴の中に煙草の吸い殻投げ入れた。おれもウディも煙草を投げ捨ててカンバヤシのあとを追う。頑張れおれ、もう一息。

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