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ジムに行ったらマーティンがいた話

 先週、豪雪のさなか、パーソナルジムの体験に行ってきた。こんな寒い日にジムに来る人なんて自分だけなのではないか、不安もしんしんと降り積もるようだった。辿り着いた場所はごく普通のマンションの一室で、勝手ながら自分の想像したジムのイメージと遥かに異なっていた。場所を間違えたのか?何度も確かめながらピンポンを押す。
 「はい」。出て来たのは半袖の男性だった。低い声がとても通る人だ。大柄な体格と声の相乗効果で、凄みに包まれている。よく見たら先客の女性がいて、バーベルをうんうん言いながら上げ下げしていた。思ったより部屋は広い。
 程なくして目の前に現れたのは、出迎えてくれた人とは別の男性だった。自己紹介をしてくださったのだが、初見の衝撃で名前を憶えていない。(絶対誰かに似ている…誰だっけ…)そればかり私は考えていたのだ。いくつかのやり取りを終え、はっとした。


マーティン…?!


 
 朝の情報番組ZIP!の「日本全国うまいもんジャーニーおかわり!」に出演しているマーティンかと思った。彫りの深い目が非常に似ている。おかわり!しなかった世界線の、体脂肪率を極限まで絞ったマーティンなのだ。ここからひたすら本人?と思いながらレクチャーを受けることになる。
 ものの10分で、マーティンは私の悩んでいる原因が掴めたらしい。骨の位置がかなりずれているそうだ。ヨガマットの上で、対策としてのトレーニングを教わり、自宅でできることも教えて頂いた。「骨の位置は元に戻ります」。力強いマーティンの言葉に妙に安心させられる。悩んでいる時の優しい言葉は、例え嘘であっても魂を剥いた芯まで染み入り、永遠に忘れないものなのだ。こういう感じで、いつかアムウェイの商品とか水素水買っちゃうのかな。しかしながら、ジムでは栄養面や姿勢や体の柔軟性を見たのち、原因を掘り当てる過程があった。根拠が明白であれば、どうしても信頼したくなる。極限の緊張の中、行って良かった。短時間で流れるように語られた、濃密な知識に脱帽する。
 
 「今日、傘忘れて豪雪の中自転車で来ました」と言ったら、笑った目がますます似通ってマーティンの完全体になった。

やはり、まちがいない…

喉のつかえが取れた感覚。もう一回マーティンの真似してほしい(失礼過ぎ)。持ちネタにできるのではないかとすら思う。次回も試しに予約した。マーティンと声に出して殺されないようにしたい。

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