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使命に気づいたこれからの人生。「わたしの豊かで幸せな生き方」はライフコーチだった〜フィンランドのミッラ・クンプライネンさん〜

ライフコーチという言葉に耳なじみはありますか?

わたしがこの言葉を初めて知ったのはエラマプロジェクト創設者の1人であるミッラ・クンプライネンさんのオンライン講座に参加したときです。

ミッラさんはオンラインサロン「エラマの森」の講座にフィンランドから登場しています。

今回、日本でもライフコーチとして活動するミッラさんに「人生のミッションだと思える仕事に出会えた」というその経緯などをうかがいました。

ミッラ・クンプライネン
フィンランド出身。エラマ創設メンバー/登録講師。
2017年、石原侑美(エラマプロジェクト代表)と共にエラマプロジェクトを立ち上げる。
日本へ興味を持つ最初のきっかけとなったものは子どもの頃に見た「となりのトトロ」。
日本に留学経験のあった友人から話を聞き、一緒に日本のホストファミリー宅へ行ったことも。
そのときの経験から留学先として日本を選び1年間留学。一度帰国するも後に再来日。
2015年に日本人と結婚し、出産と子育てのため2018年にフィンランドに帰国。フィンランドと日本の両国でライフコーチの活動を行う。

模索の時代

ミッラさんは日本語が話せることを活かし、フィンランド国内だけでなく日本人に向けてもライフコーチの活動をしていく予定だそうです。

しかしライフコーチングに出会うまでは、模索の時代がありました。

ご自身の出身校(日本でいう中学校と高校がひとつになった学校)で臨時教員として働くなど教育関係の仕事に関わったこともありましたが、それが自分には合っていないとミッラさんは感じたそうです。

(ミッラさん)
生徒は大好きだったんですが、大好きな科目というのはないし、ずっとたくさんの人たちと過ごしていると私は疲れてしまうので、もう少しゆっくりと一対一で人とつながりたいという強い気持ちに気づきました。
1人で振り返る、分析する、勉強する時間を持つことが自分には必要なんだということもわかりました。もちろん、先生を経験できたのはすごく良かったと思っています。

その後日本で働いていたときも仕事や自分自身について模索していたと言うミッラさん。やりたいことを知人に話したのがきっかけとなり、ある出会いにつながりました。

(ミッラさん)
当時は日本で主に教育関連のイベントやワークショップに出てフリーランスとして働いていましたが、自分の働くアイデンティティや何にフォーカスしたいかというのをずっと探していました。みなさんフィンランド教育に興味を持っていたのでその概念や価値観を紹介できましたけど、私自身は具体的な学校についての情報よりももっと深い本質的な、根本的な人間の在り方や生き方に興味がありました。
そんなとき、私がやってみたいことを知人に話したら石原侑美さんと引き合わせてくれたんです。
出会ってすぐ、そもそも生きるために必要なのは何かとか、自分や人生に関して探究する深い話をしていました。
それをきっかけにエラマプロジェクトを一緒に立ち上げることになりました。

私が本当にやりたいのはこれだ!

そもそもライフコーチとはどういうものなのか、そしてその仕事にたどり着いた過程などを教えていただきました。

(ミッラさん)
ライフコーチに関しては、大学時代にも聞いたことがなかった分野なので前から知っていた言葉ではありませんでした。
もともと小さい頃からとにかく人の成長や学習、なぜそういう在り方に至ったのか、なぜそういう生き方をするのかなど、人のプロセスに興味がありました。
最初に出会ったのは心理学と教育学だったんですね。ただ、心理学は私にとって「重い」と感じました。カウンセリングではなく、もう少し早い段階で色々な人たちを支援したいと考えるようになりました。
じゃあ教育かな?と思っていろいろ探ってみたんですけど、「この科目を教えたい」という強い思いもなくて。
自分がやりたいことをどう表したらいいか、どういうプロフェッショナルが自分に合っているのかを探していました。
そんな中でインターネットでライフコーチに関する広告を何度か見て、こういうのもあるんだといろいろ調べ始めたんです。すると「これは私がやっていることじゃないか」「私が本当にやりたいのはこれだ!」と気づいたんです。

ミッラさんは2019年に長女を出産。その後、科学に基づいたしっかりしたカリキュラムのあるライフコーチの学校に入学しました。

その学校ではコーチングのスキルはもちろん、健康、睡眠、食事、ストレス、心に関すること、パーソナリティ(人間のタイプ)やコミュニケーションなど幅広く学ばれたそうです。また、そういった課題をどのようにコーチングでサポートできるかについて考える時間もあったそう。

ほかにも、クリエイティビティやキャリアと経済などについても学ぶ時間があり、幅広い面でクライアントのサポートが可能になるカリキュラムで構成されていました。

ライフコーチとはどんな存在か?ミッラさんは「クライアントの目標達成をサポートする人」と説明します。

(ミッラさん)
いろんな人たちが自分の人生や自分と向き合って、より豊かで幸せに生きられるようサポートしたいので、そのためにライフコーチングの個人セッションとグループセッションを提供したいと考えています。
言い換えれば、「自分らしい豊かで幸せな生き方の実現を支援する」役割を持っている人がライフコーチ、そのプロセスのことをライフコーチングと呼んでもいいと思います。

または、パートナーシップという表現も使えると思います。上下関係ではなくパートナーとしてクライアントが相談したい内容を出す、そして目標もクライアントが決める。コーチの役割は目標までのプロセスを担当すること、あとは応援することです。

具体的に何をするかというと、メインは「対話」です。質問はコーチから行います。その質問を通してクライアントの中からすでにある答えを引き出すのですが、これを「コーチングダイアローグ」と言います。

また、クライアントのニーズに合わせて様々なワークも活用します。自分がいる状況を整理するためにリストや図を作ったり、言葉で表現できないことを色で表現したり、本音に気づくために瞑想やイメージワークを行ったりします。こういったワークから得た気づきが「今の自分」から「将来の自分」への道を照らしていきます。

体を鍛えるためのパーソナルトレーナーがいるように心や頭のパーソナルトレーナーがいてもいい


日本人はみんな真面目で、誰かや何かに頼ることは恥と思うような風潮があります。同じようにフィンランドにも誰かや何かに頼ることが当たり前ではなかった時代があり、そこから徐々に、「完全にダメな状態になっていなくても助けをもらっていい」という考え方に変化してきたとミッラさんは言います。

これからの時代、ライフコーチが果たす役割はどんどん大きくなっていきそうです。

(ミッラさん)
昔はセラピストやコーチングのような仕事に対しての理解はなかなかありませんでした。そういう空気の中では相談したい人も足を運びづらかったと思います。
今の時代は体を鍛えたかったらパーソナルトレーナーを雇うように、自分の頭や心に向き合いたいときはライフコーチの元に行きます。そういう風に変化してきました。

頭や心を鍛えることは「意識する」から始まります。ライフコーチとして私は何をやるかというと、まずはクライアントがありのままいても良い空間を作ります。そしてクライアントの人生を客観視します。私は個人的に「器を提供する」とイメージしています。
クライアントに提供した器にその人が出したいものを出します。ポケットの中からものを出すように、話して話してその器に入れます。第三者がいるから出すことができると思うんです。そして私が器にあるものを一緒に見ると、クライアント自身も自分の人生をより客観視できるようになります。
現実を観察してクライアントが何をどうしたいのかを一緒に考えていきます。本当の原因や一番奥にあるものがまだ見えてこないときは私が質問を通して引き出します。言葉とか感情とか思考とかを。

ここで大事なのは、どれとどれがつながっているんだろうと意識しながら俯瞰で見ることです。クライアントによっては自分ですぐわかる人もいますし、よくわからない場合はこのへんについてどう思います?とか、これはどういうことだろう?と一緒に見ていきながら質問します。こうしてクライアントの自己理解が少しずつ深くなっていきます。

そこで向かいたいところはこれだとクライアントがわかったら、出した情報や選択肢から一番適切なものを選んでアクションプランを立てます。
このときに大事なのは思考と感情と行動という「認知トライアングル」で、それを意識して向かいたい方向に進めるようにアクションプランを考えていきます。
自分にとって大切なことは何か、自分はどう生きたいか、そのためにどうすればいいかを一緒に考えていく、そういう仕事ですね。

また、重要なのは解決の主体はあくまでもクライアント本人であるということです。
自分の人生をどうするかの責任はクライアントにあります。何をしたいか、何を実際にするか、結局それはクライアント次第です。そこに大事な一線があるんですね。

日本人はやさしい。だからこそ自分にやさしくしてほしい

日本との関わりが深いミッラさんからみても日本人は頑張りすぎなのではないかという印象があるようです。

(ミッラさん)
日本人は頑張るのがすごく得意だと思います。小さい頃から何かのために努力することを繰り返していると思うので成果も出せるかと。
ただ問題が起きるのはなんのために頑張っているのか分からないとき。それで疲れてしまうことも多いのではないかと思います。

自分の価値観と合っていないことに時間と力を割いて頑張っているときは、いろいろモヤモヤが起きると思うんですね。なのでそういうときはもっと意識して自分と対話してから本当に頑張りたいことを見つけて、それから頑張る能力を活かすと良いのではないかと感じています。

そして日本での留学や仕事を経験する中で強く印象に残ったのは「日本人はやさしい」ということ。
だからこそ自分自身に対してもぜひやさしくなってほしいです。

最後に「ミッラさんにとって幸せとは何ですか?」と究極の質問を。「すごいことを聞きますね」と面食らいながらも微笑んで、じっくり考えたのちにこんな返答をくださいました。

(ミッラさん)
今の瞬間をありのまま受け入れるってことではないでしょうか。それは自分の外にあるものや状況と関係なくて、今こうなっている、私も世の中もこうなっている、それでいいんだって思えるときを「幸せ」って呼んでもいいと思います。

(インタビューここまで)

ミッラさんのように使命だと思える仕事に気づけた人たちを知ると、ちょっとうらやましいという気持ちも入り混じりつつ尊敬の念を抱くことはないですか?私はそんな気分に一瞬なりました。同時に、人それぞれの豊かで幸せな生き方があることを忘れてはいけないとも思いました。

「ライフコーチ」という言葉の印象はとても頼もしさを感じます。

それでも私はもともと1人で抱え込むタイプで誰にでもなんでも話せる人間ではありません。

ミッラさんの声と話し方には穏やかな気持ちや安心感を覚えます。それだけでも十分、抱えているものを相談しやすい方だなという印象があります。そして今回のインタビューでミッラさんの過去を知り、国や人種が違っても同じような悩みを持ったり人生に迷ったりするんだとあらためて感じる機会になりました。

「どうして他の人のように人生をうまく生きれないんだろう」
「苦しいけどこんな悩みは相談するレベルにもなっていない気がする」
「こんな悩みを抱える自分は社会ではうまくやれない人間なんだろうな」

などなど、相談すること自体にためらいを感じてしまうタイプの私でもミッラさんには抵抗感なく相談できそうだと感じさせてくれました。

また、ライフコーチという仕事に使命を感じているミッラさんの笑顔を見たとき、画面越しでも幸せなエネルギーが伝わってきてこちらの力もみなぎる感覚になりました。

何を大切にして生きていきたいのか、自分の奥底にある本当の思いに気づけば、現実的なことや一般論や社会の当たり前とされてきたことにグラつかない芯を得られるんじゃないか。そうすれば迷いも少なくなるのではないか。…そんなふうに思っています。

自分自身や人生に向き合うことに行き詰まりを感じたとき、誰かの力を借りたいと思ったときには、ライフコーチという仕事をされている方がいらっしゃることを思い出してみてください。

また、ミッラさんに会いたくなった、話を聞いてみたいと思った方、日本に住んでいても大丈夫!エラマプロジェクトのオンラインサロン「エラマの森」でミッラさんに会えます。

言葉の心配も必要ありません。なめらかに日本語を話す姿、語彙の豊富さ、それらに驚く暇もないくらいにきっとミッラさんの日本語へのなじみ方に引き込まれると思います。

過去に開催していた「フィンランド式生き方キャリアデザイン講座」も、ライフコーチとしての専門性を活かして内容がバージョンアップする予定です!
こちらからぜひ参加してみてくださいね!

Interview & Text by  nakagawa momo(フリーライター)





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