スタッツでサッカー観が変わる②オフェンス&パス編
ゴールやアシストの数が全てではない!
攻撃的な選手を評価する場合、真っ先に思い浮かぶ数値はゴール、アシストでしょう。
アタッカーの場合、ゴールやアシストのような明確なゴールへの貢献は重要ですが、同時にこれらの数字には表れない選手の活躍があるのも確かです。例えば同じウイングでも、ドリブルで相手守備陣を混乱させられる選手、正確なクロスを武器にする選手、サイドに張らずストライカーのようにプレーする選手...と多種多様です。
今回紹介するスタッツを知れば、攻撃的な選手のプレースタイルを理解するのに役立ちます!ぜひ最後までご覧ください!
今回も次のサイトを参考にしています!WhoScored(https://www.whoscored.com/)
オフェンス編
以下はWhoscoredにおける選手のスタッツのOffensiveに記載されているものです!
Goals: 決めたゴールの数。
→最後に自らの身体にボールが当たってゴールラインを割った回数。当然ながらこの数値が高ければ高いほど優秀なアタッカーだ。
Assists:アシストをした回数。
→基本的には得点に直結するパスを示しているが、「アシスト」の定義は厳密に決められてはいない。ただ、この数値が高ければ高いほど得点に絡むプレーが多く、優れた選手と言える。
SpG:1試合あたりのシュート本数。
→シュートへの積極性が伺える数字。シュートを撃たなければ点は決まらないのでその母数は多いほうがいいが、闇雲にシュートを打つだけの選手よりも数少ないチャンスを正確に決めきる選手の方が価値が高いのは明らか。
KeyP:1試合あたりのキーパスの回数。
→キーパスとは味方のシュートに繋がったパスのこと。数字が大きいほどチャンスメイクに貢献しているという評価になる。
アシスト数はシュートを撃つ選手の決定力に左右される分、キーパス数はより公平なパスの出し手への評価だと言える。アシストにも共通することだが、パスを受けた味方が強引にシュートを撃った場合も、受け手がボールに触るだけでゴールできる完璧なパスを出した場合もスタッツでは同じ評価となる点にスタッツの不完全さが見える。
Drb:1試合あたりのドリブル突破数。
→ドリブルで相手を抜き去った回数。この数字が大きい選手はドリブルを好んでいると言えるが、この数字からは成功率は分からない。
Fouled:1試合あたりのファールを受けた回数。
→ボールを長く所持するドリブラーはタックルを受ける回数が多くなるため、この数値は高くなりやすい。しばしば「ファールでなければ止められない」と表現されることからも、ドリブルの名手はファールを受けやすいことが分かる。
Off:1試合あたりのオフサイドを取られた回数。
→裏抜けを狙う選手は、オフサイドライン付近でのセンチ単位のポジショニングが問われるため多くなりがち。VAR導入後は以前よりも厳密にチェックをされるようになった。
Disp:1試合あたりのボールロストの回数。
→タックルを受けてボールを失った回数。ドリブルで相手を抜こうとしている際のボールロストは除く。
(このサイトではドリブル突破でのボールロストはDetailed→Dribbles→Unsuccessfulにカウントされている。Offensiveのページには記載されていない。)
UnsTch:1試合あたりのコントロールミスの回数。
→ボールコントロールにおけるミスでボールを失った回数。
パス編
以下はWhoscoredにおける選手のスタッツのPassingに記載されているものです!
Assists:アシストをした回数。
KeyP:1試合あたりのキーパスの回数。
AvgP:1試合あたりの味方に渡ったパスの数。
→その選手にどれだけボールが回ってくるかが表れる数字。基本的にはチームのボール支配率と比例して多くなる。また、センターバックやボランチの選手は自陣でビルドアップを行うため、前線の選手と比較して多くなりがち。
PS%:パスの成功率。
→パスの正確さが表れる数字。当然高いに越したことはないが、チームの戦術や選手のプレー選択の特徴に影響を受けやすいので、必ずしも選手のパスのうまさが表れているとは言えない。
Crosses:1試合あたりの成功したクロスの本数。
→クロスはワイドポジションから中央のアタッキングエリアに放り込まれたパスと定義されている。このスタッツは味方への正確なクロスの本数をカウントしている。
LongB:1試合あたりのロングボール成功数。
→ロングボールの定義は、25ヤード(22.86メートル)以上のパスとされている。チームの戦術によってこの本数は大きく変化するので、この数字からは選手の優劣は測れない。
ThrB:1試合あたりのスルーパスの本数。
→スルーパスとは相手チームの選手の間を通して、ゴール方向へと走っている味方に通すパスのこと。スペースや味方選手の動きを把握してパスを出せる能力が表れる数字。
マネとサラーの比較
特にパスのスタッツはチームの戦術や強さの影響を大きく受けるので、今回は同一チームの選手を見ていきます!
プレミアリーグ初制覇が目前となったリヴァプールには欠かせない両ウイング、サディオ・マネとモハメド・サラーをオフェンスとパスのスタッツから比較します!
オフェンス編
・Apps:マネは24試合に先発、2試合に途中出場、サラーは26試合に先発出場。
・Mins:サラーの勝ち。先発出場数が2試合多いサラーが累計出場時間も165分上回る。
・Goals:サラーの勝ち。マネの14ゴールに対し、サラーは16ゴール。
・Assists:マネの勝ち。これも僅差ではあるが、サラーの6アシストに対してマネは7アシストを記録している。
・SpG:サラーが大きく上回る。マネを1.5本分上回る3.8本をサラーは記録している。
・KeyP:サラーの勝ち。アシスト数ではマネに軍配が上がった一方、キーパス数は意外にもサラーの方が多かった。
・Drb:1試合平均1.9回を記録したマネが僅差で上回る。
・Fouled:サラーの倍以上となる1試合平均1.3回のファールをマネは受けている。ドリブル突破数は僅差だっただけにこの数字は予想外だった。マネの方が相手にとって危険なドリブルをしている証だろうか。
・Off:オフサイドを取られる回数はサラーが大きく上回った。
・Disp:ボールロスト数はサラーの2.1回に対し、マネは1.7回と少ないことが分かった。
・UnsTch:ボールコントロールでのミスはマネの3.1回に対してサラーは2.8回と、こちらはサラーの方が少なかった。
・Rating:僅差ではあるが、0.05の差でマネが上回った。
パス編
オフェンス編と重複しているスタッツは省きます。
・AvgP:1試合あたりのパス成功数はマネが約3本分上回った。
・PS%:パス成功率もマネが約5%と大きな差をつけ上回っている。平均キーパス数では上回っていることから、サラーはマネよりもチャレンジングなパスを出す傾向があるという仮説を導ける。
・Crosses:平均クロス本数は両者少なめだが、僅差でサラーが上回った。
・LongB:平均ロングボール数はマネが大きく上回った。
・ThrB:スルーパスは2人ともあまり出していないことが分かる。
オフェンス編とパス編を振り返ると、ゴール・アシストの数は両者近い数字が出ている一方、シュートやキーパスの本数、オフサイドの多さからサラーはマネよりも思い切りのよさが見られる。
おまけ
現代サッカーでは、アタッカーにも守備での貢献が求められています。
そこで守備面でも2人を比較してみます。
・Tackles:サラーの3倍近い、1.4回のタックルを1試合あたり成功させている。
・Inter:僅差でマネが上回る。
・Fouls:マネがサラーの3倍となる1.5回のファールを1試合平均で取られている。タックルの回数が多いためファール数が増えるのは当然ではある。
・Offsides:互いに皆無。アタッカーが最終ラインにいることは基本ないため納得。
・Clear:こちらもマネが上回る。
・Drb:僅差だがマネが上回る。
・Blocks:互いに今シーズン0回。
・OwnG:互いに今シーズン0本。
この結果から、マネの守備面における貢献度はサラーを大きく上回ることが分かった。これだけ献身的な守備をしながら得点にも多く絡んでいるところが素晴らしいと感じた。
また、ディフェンスに関するスタッツについては以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください!
おわり
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!
リヴァプールの得点源である両翼を比較してみると、意外な発見がありました。
次回はチームのスタッツについて紹介していくので、そちらもぜひご覧ください!(WhoScoredではキーパーに関するスタッツ の記載が不十分なため、別の企画にて紹介いたします。)
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