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実録!誘発分娩 出産5日間レポ

妊娠してからおおよそ40週すると、自然に陣痛が来て赤ちゃんとの対面が待っている…
私もそういうものだと思っていました。
なぜ誘発分娩を行うに至ったのか、自然な出産とどう違うのか、実際の出産はどうだったかをまとめていきます。

1.赤ちゃん、5日間かけて産みました

私が分娩にかかった時間は、母子手帳には30時間と書いてあります。
しかし、その時間は自然陣痛が始まってからの時間です。
実際には30時間の前に3日間の誘発を行った時間がありました。
すなわち、実質5日間かけて出産したことになります。
なお、お産は十人十色であり、産院ごとの方向性もあるため、本記事は一例として捉えていただければ幸いです。

2.赤ちゃんが予定日に産まれてこない!?誘発分娩決定

私は初めての子を自然妊娠し、母子ともに健康で赤ちゃんの発育状況も良く、まさに「超・順調」な妊婦生活を満喫していました。

予定日は10月上旬でしたが9月中旬には2,800グラムにまで成長しており、医師からも「いつ産まれてもおかしくないね」「9月生まれになるかもね」と言われていました。

しかし、予定日が近づくにつれ順調さが違和感へと変わっていきます。
「赤ちゃんが生まれてくる気配がない」のです。
そこで、予定日前日の39週6日目の妊婦健診で、誘発分娩を打診されました。

  • 予定日前日になっても子宮口が開くどころか産道が3センチ以上あり、産まれてくる気配がない

  • 現時点で3,000グラムを超えており、このまま待っていると経腟分娩するには大きくなりすぎる可能性がある

  • 前駆陣痛が2週間続き、体力消耗が激しい

  • 42週を超えると胎盤機能が低下し、赤ちゃんへのリスクが高くなる

「陣痛が来る→入院→出産」という想定で過ごしていたため、「入院→陣痛を起こす→出産」という順番が逆転することに正直戸惑いもありました。
「赤ちゃんなりのタイミングがあるのに、自然に出産してあげられない」と葛藤があったことも正直なところです。

しかし「いつ産まれるかわからないのが怖い」「長引く妊婦生活へのストレス」「早く赤ちゃんと会いたい」という気持ちで誘発分娩の提案を承諾しました。
そこで私は自分が思い描いていた出産とは全く違う道を辿ることになるのです。


アプリのサービスも40週で終了……。
入院前日。既に予定日を超え、3,000グラムも超えていました

3.入院開始・誘発1日目

誘発1日目は、まず投薬での子宮収縮を行いました。
新型コロナウイルスの抗原検査や入院説明などを経て11時頃から誘発を開始。
お腹にセンサーを付け、2〜3時間ごとに薬を飲んでいきます。
この時点ではまだ子宮収縮も緩やかなことから「誘発分娩ってこんなに楽なの!?」と思いながら、友人とLINEをしたり、電子書籍を読んだりしていました。

夕方20時頃に終わり、まだ体力に余裕があったため
「本でも持ってくれば良かった」
「パックでも持ってくれば良かった」
など考えており、少々これからのことを甘く見ていたことを明日以降後悔することになるのです。
この時点では産道はほとんど縮まらず、まだ陣痛は来なさそうでした。

4.誘発2日目・決断を迫られる

誘発2日目は、朝食を摂った後朝9時頃から投薬での誘発を開始しました。
1時間おきの投薬になったため、子宮収縮が昨日よりきつくなり、腹痛を感じながら昼食を取ったり、休んだりしながら過ごします。

投薬終了の18時ごろには、さすがにお腹の張りが頻繁になり、産道も2ミリほど縮まり、少しですが前進したようです。
そこで医師から「明日もこのまま投薬で誘発するか、膣内にバルーンを入れて陣痛促進剤を使うか」と問われました。
私が選んだ決断は「バルーンを入れて陣痛促進剤を使う」ことでした。
バルーンを入れ、違和感に耐えながら一晩を過ごしたのでした。

5.誘発3日目・陣痛促進剤で疲労困憊

誘発3日目、バルーンを入れた状態で迎えた朝。
パッドに粘り気のある血がついていたため、助産師さんに伝えたところ、パッドを見て「おしるしですね」と一言。
「いよいよ来た!? 今日が誕生日になるのかな!?」と思いつつ、陣痛促進剤の点滴での誘発がスタートしました。
電気機械から自動的に陣痛促進剤が入ってくる点滴であり、数時間ごとに濃度が濃くなっていきます。
最初は2日目の最終段階程度のお腹の張りでしたが、濃度が濃くなるにつれて痛みが強くなり、昼食も休み休みしか食べられなくなるほどでした。

夕方には痛みで脂汗が浮くほどになり、「このままでは体力の消耗が激しすぎる」という医師の判断で、予定より早く陣痛促進剤での誘発をストップすることになりました。
この段階で、バルーンが外れ、子宮口も少し広がり、医師の指を入れれば赤ちゃんの頭が辛うじて見える状態でした。
息切れしながら夕食を摂り、翌日・翌々日は土日で誘発ができないため、体力を温存するよう言われ、早めに眠りにつきました。
気分は長距離走の後。
明日は陣痛促進剤の点滴がないかと思うと少々気が楽でした。

6.治療お休み日・陣痛開始

「今日はお休みなので。しっかり体力温存してくださいね」
助産師さんに言われ、「これだけ疲れたならとことんゴロゴロしてやる!」と開き直り、好きなスマホゲームを開いたり、SNSをチェックしたり、のんびり過ごしていました。

売店がオアシス。ゲン担ぎのためにオロナミンCも毎日飲んでいました(笑)

15時頃に気晴らしに売店で買ったおやつを食べた直後、異変が起きました。「あれ、痛みが定期的になってきてる…?」助産師さんに言ってモニターをつけてもらい、様子を見てもらいながら、自分でもアプリで陣痛感覚の記録をつけていると、おおよそ10分ほどまで感覚が縮まってきました。「陣痛がきましたね」いよいよ来た…! という気持ちだったことを覚えています。
その日は病室ではなく陣痛室で寝泊り。助産師さんに呼吸法を教えてもらい、痛みを逃し、あまりにも痛みが強いときには麻酔を打ってもらいながらほとんど眠らずに一晩を過ごしました。

7.出産当日・壮絶な痛みとの闘い

激しい陣痛と共に夜を過ごし、翌朝6時ごろ、内診がありました。
診察室へ行く前、付き添いの助産師さんが「今日が誕生日になるかもしれないですね」と声を掛けてくれました。

しかし、まだ破水も来ておらず、陣痛も弱くなってしまっていました。
この時点で子宮口は7センチほど開いていましたが、「陣痛促進剤を使おう」という判断に。
この時点で激痛なのに、更に陣痛促進剤を打つの!? 勘弁してよ!」
と、内心思ったのが正直なところです。

ここからはもう時間の感覚がありません。
痛みの間隔が短くなり、傍に誰もいなければ叫んでいました。
陣痛の痛みは人それぞれですが、私の場合は「お腹に焼けた石を入れて転がされる」「胃腸を焼いて引きずり出される」という感じでした。

昼頃にやっと破水があると同時に、便意に似た感覚を感じるようになりました。
そのことを伝えると
「便意だと感じているのは、赤ちゃんが下がってきているからだよ」
と説明を受けましたが、お腹が破裂しそうな感覚に耐えることは大変でした。
夕方ごろに内診をしてもらうといよいよ子宮口全開まで来て、呻きながら夫へ電話し、よろめきながら分娩室へ。
ここからが本番…と思いきや、ラストスパートは一気に駆け抜けていくのでした。

8.やっと産まれてくれたBig Baby

この時間には助産師さんのシフトも代わっていたためベテランの方がついてくださり、いきみ方を詳しく教えてもらいながら分娩に挑みました。
「声を出すと体力消耗するよ」
「一気に息を止めて、力を入れて」
など、具体的にどうすればいいかがわかったことが良かったのかもしれません。
途中から立ち会い予定だった夫も加わり、「せーの!」と声を掛け合いながらいきむことの繰り返し。
例えるならば「超・重力のあるところで逆上がり」でした。

これを2時間ほど繰り返し、最後には会陰切開と吸引を行うことになりました。
私自身も体力の消耗が激しかったため、酸素マスクをつけられ、いきむ合間に助産師さんがゼリー飲料を飲ませてくれました。
酸素マスクで呼吸をしながら、いきむコツを掴めてきた頃、「頭が見えたよ」という次の瞬間には「生まれました!」という医師の声と「ちゃんと泣いてるぞ!」という半泣きの夫の声が聞こえてきました。
どうやらかなり勢いよく生まれてきた模様です。
予定日を8日間過ぎて、やっと対面できました。
3,400グラムの大きな男の子です。
生まれて早々大きなあくびやくしゃみ、おしっこをして、生命力の塊のような息子の誕生です。
達成感と疲労感で頭がボーッとしていましたが「親になったんだなぁ」という嬉しさや緊張で胸が一杯になり、翌日からの授乳指導に向けて眠りにつきました。

9.産後・体力回復がカギ

ここからは、これから誘発分娩を行う方へ私が伝えたいことです。
誘発分娩後は、とにかく体力回復を重要視してください。
誘発分娩は人工的に子宮収縮を起こしてから陣痛がやって来るため、「痛い」の前段階に「痛い」があり、長丁場となる場合が多いです。
また、誘発分娩で生まれてこない場合は帝王切開になるパターンもあります。
(夫曰く、私自身もお産の傍ら帝王切開の準備をされていたようでした)

とにかく長時間体力が削がれるため、大変なのは産後の体力回復でした。
出産後、体力的に授乳がきつかったり、夜間に起きられなかったり、貧血を起こすこともありました。
授乳指導を受けることは大切ですが、とにかく入院中は体力回復に努めることがおすすめです。
「他の産婦さんはちゃんとやっているから」「甘えちゃいけない」と思う方もいるかもしれませんが、授乳指導は退院後に訪問助産師さんの力を借りることもできます。
体の不調や異変は正直に伝え、貧血や発熱があった場合は入院中に受けられる治療を受けてしまいましょう。

産後3日目くらいに出たお祝い膳。とにかく食事が嬉しかった!
しかし、病院食だけでは足りず、クリーム玄米ブランも合間に食べていました

10.まとめ・お産は十人十色

ここまで、私が実際に経験した誘発分娩での出産をまとめてきました。
5日間という短くはない時間をかけて出産したことは大変でしたが、「誘発中に出産のための心の準備ができる」「助産師さんへの頼り方を覚えられた」という点では良かったこともありました。
どうやって誘発するかは妊婦や赤ちゃんの状態によって異なり、また産院の意向によって行い方も変わってきます。
中にはできるだけ誘発をしない・陣痛促進剤を打たないなどの方針がある産院もあるようです。
バースプランを立てていても、出産直前にしかどういった出産になるかはわかりません。
そのため、「誘発分娩をする」ことが決まった方が「こんな治療があるかもしれない」「自分のお産と少し被る部分があるかもしれない」など、少しでも心の準備に役立てられたら幸いです。


生後3週間ごろ。おてては小さくても一人前。
たった5ヶ月前の出来事なのに、だいぶ遠くに感じます…


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