見出し画像

イギリス生活 こち亀で日本のことを学んだ子供たち


海外に暮らしている日本人の子供が直面する問題は、現地での言葉と日本語の勉強です。特に日本人学校のない土地で生活する日本人家庭にとって子供の日本語学習は深刻な悩みです。


我が家の子どもたちは平日はイギリスの現地校に通い、土曜日は日本人学校補習校に通って国語算数を学んでいました。日本と同じ教科書を使用して勉強するのですが、たった週に1回の授業で日本と同じカリキュラムをこなすのですから、超特急で授業は進みます。

また、補習校では、日本に帰っても困らないように行事も大切に行ってくれていました。毎週の全体集会をはじめ、入学式、卒業式、運動会、遠足、バザーやもちつき大会まで親も総出で協力しました。

それでも、うちの子供達の日本語力はだんだん英語に取って代わられていくようになっていきました。とはいえ英語力がイギリス人の子供並みかといえばそのレベルでもなく。


そこで毎月定期購読していたにもかかわらずあまり読んでいない教育雑誌を止めて、もともと私が好きだった少年マンガ雑誌に切り替えてみました。すると子供たちはむさぼるようにマンガ雑誌を読み始めたのです。

その中でも、こち亀が大のお気に入りになり、両さんや中川やレイコの活躍に大笑いし、部長の言葉にうなずいたり、私自身もかなりはまって単行本も取り寄せるようになりました。

こち亀には日本の伝統行事もたくさん登場し、また、その時その時の日本のトレンドを詳しく描いていたため、大人の私が読んでも参考になるトピックが多数ありました。そしてストーリーの中にいつもさりげなく【教え】が潜んでいて、ただ面白いだけでなく、心に沁みる話が多かったです。

実際にイギリスに住んでいる子供たちにとって、こち亀はバーチャルな日本にすぎないかもしれません。けれども、大げさな表現になりますが、自分の母国を誇れる気持ちを育てられる良い機会になったと私は思っています。

主人公の両さんの言葉で一番印象に残ったものは以下の『生きるモード』でした:

両さん「何か悩むとすぐ生きるべきか、死ぬべきかだからな!」
   「目の前がすぐ真っ暗になり二者択一だ!」
   「悩んだらまず【生きる】モードに切り換えてからスタートだ!」
        図々しく生きる
        しぶとく生きる
        マイペースで生きる
        他人のために生きる
   「それから、どう生きるかを探せばいい」            


こうして、こち亀から始まり、銀魂、デスノート、鋼の錬金術師、銀の匙、進撃の巨人等々、さまざまなマンガにはまっていったおかげで、子供達の日本語はかなり上達しました。それだけではなく、人間の情というものも吸収したように思えます。

そうして、子供達が中学生になると、今度はイギリス人の友人の多くが上記のマンガを英語訳で読んで感動したとクラスで騒ぎ始め、すぐさまみんなで回し読みになったそうです。今ではどこの本屋さんにもMANGAコーナーがあり、英訳されたMANGAがずらりと並んでいてその人気ぶりが伺えます。


マンガ、というと、それは勉強ではないから無駄、と考える親御さんももしかしたらいるかもしれませんが、健全な内容のマンガは子供達に夢や希望や勇気を与えてくれると私は考えています。読書というカテゴリーには属さないかもしれませんが、マンガも子供の心を育ててくれる学びの大事なツールになることができると思いました。


今日も読んで下さり、ありがとうございました。

トモキリ




この記事が参加している募集

マンガ感想文

サポートどうもありがとうございます!励みになります!