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シリコンバレーでの実践を通じて見えてきた、経営戦略としてリモートワークを検討すべき5つの理由

こんにちは。ランサーズのリモート社員の市川です。

前回の記事では、リモートワークを通じて、自分自身も一緒に働いているチームメンバーもビジネススキルが鍛えられたというお話をしましたが、他にもたくさんメリットがあるのでご紹介したいと思います。

その前にまず、あるリモート導入企業の方に言われて印象に残った一言を。

“リモートワークは、ルールではなく選択肢”

リモート制度を導入するからといって全員がやらないといけないわけでは全くない、ということ。
会社全体の制度をひっくり返すものでもなく、皆に強要されるものでもなく、単純に、オフィスには来ても良いし、来なくても良い、という選択肢が増えるだけ
そんなコンセプトだととらえたほうが正しいんじゃないか?と。言われてみれば当たり前なのですが、こう言い換えるだけでなんだかとてもしっくり。

そんなことを考えながら、企業がリモート制度を導入する5つのメリット...というより、リモート制度を検討しなければならないと思う理由を私なりにまとめてみました。

1. リモートワークは世界中でどんどん「普通」になってきている

現在の日本におけるリモートワーク導入率は11.5%ですが、世界平均は 2011年の時点ですでに59%(2006年の13%から急増)。米国や中国では9割近くの企業が導入しているという調査結果もあります。
また、"100 best places to work"に掲載されている企業のうち、フレキシブルな働き方を提供している企業は1999年にはたったの18社だったのが、2006年には79社に跳ね上がっています。
むしろ、シリコンバレーで働いている友人と話していると「なんでリモートを禁止する必要があるの?」と聞かれることすらあります。彼らの多くは「ボスは東海岸にいるからいつもチャットでやり取りしている」「社員がアメリカだけじゃなくてヨーロッパとアジアに散らばっている」という会社で働いています。

"リモートワークは新たなリテラシーになる"

そう指摘するのは社員が全員リモートだという日系企業の方。
近い将来は、リモートワークが大前提になってくるだろうという見方もあるのです。採用や、企業ブランドや、取引できるお客さんの幅など、色んな面において、リモートワークに対応できないことがリスクになる時代がすぐそこに来ているのかもしれない。そんな風にすら思えてきます。

↓ 今年上場して話題になったユニコーン企業のUpWork。
シリコンバレー本社では、なんと受付がリモート! ↓

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2. より多くの候補者のなかから、ほしい人材を採用・確保できる

例えば、活躍していた社員が地方や海外に行かざるを得なくなり、リモートができないなら辞めるしかないという場合。
採用したい人が、何らかの理由でリモートでないといけない場合など。
企業にとって喫緊の課題である採用・人材確保において、リモートワークを許容・推進することによる可能性の幅は大きく広がります。
競争率の激しい首都圏だけでなく全国・世界中から人材を見つけることができたり、
リモートワークOKの環境を求めている若い世代を取り込んだり、
社員の移住・出産育児・配偶者の転勤・介護などのライフイベントに柔軟に対応できたりするようになるのです。
シリコンバレーのある人材系ベンチャーのCEOが話していた一言:

"今の最重要課題は、自分たちのビジョンを実現するために最適なチームを作ること。そんな人材を、通勤範囲内で探すのと、世界中から探すのとでは可能性が圧倒的に違う"

反論できない・・とハッとした瞬間でした。

3.「リモートになるとサボる」という考え方は間違っている

And.Coのリモートワーク調査によると、「リモートワークについて他人にどう思われていると思いますか?」という質問に対し、
72%の人が「オフィスに毎日通うよりもリモートのほうが簡単だと思われている」と回答しています。
日本にもそんな風潮はありそうですよね。私自身も、「リモートだと楽そうー」「さぼっちゃいそうー」と言われることは多々あります・・・。

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では、実際はどうなのでしょうか?
米国では、週に40時間以上働いている人の割合はオフィス勤務者は28%なのに対して、リモートワーカーの場合は53%だそうです。
リモートワークをしてみて実感しているのですが、自分がしっかり成果を出さないといけないという責任意識が増すため、サボるのがなかなか難しいのです。
もちろん、そのためにはチームとの信頼関係や、自分の役割が明確になっていることなどが必要になってきますが、その話はまた後日。

4. 生産性アップ・コストダウンにつながる

移動時間が多い業務やミーティングが多い会社では、リモートを導入することで生産性が格段にあがります。
営業職の人は直接訪問するより何倍も商談の数をこなせるし、
対面会議だとなんとなく1時間枠をだらだらと使い切ってしまうのに対して、ビデオ会議だとアジェンダが終わったら30分残っていてもすぐに終了できます。

Remote Yearというデジタルノマド用のサービスを展開している企業で働いていた留学時代の友人はこんな風に話していました:

"The best thing about working remote is the efficiency and being able to optimize your day.
(リモートワークの一番良いところは、一日をもっとも最適に、効率的に過ごすことができるということ)”

また、オフィス賃料や移動費などのコスト削減にもなります。アメリカ企業では、リモート社員一人当たり年間平均$11,000のコスト削減が可能だそうです。従業員本人にとっても通勤の費用や時間コストなどが削減できます。

リモート制度はむしろ生産性をあげるための経営戦略としても検討されるべきなのです。

5. リモートワークの満足度は高い

前述した調査によると、リモートワーカーの80%が「なるべく長くこのスタイルを続けたい」と回答しています。

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一番のメリットとして挙げられているのは、「もっとも生産性の高い時間にあわせて働くことができる」こと。
東京出身の私としては、通勤ラッシュを避けられるというだけで、生産性や幸福度の観点で非常にメリットが大きいのではないかと感じます。
今の私の生活でいうと、朝やお昼ご飯のあとに運動をする時間を作ることでリフレッシュして、その分夜遅くまで働いたり。米国の祝日の日には思いっきりイベントを楽しんで、その分週末に働いたり。そのように工夫をすることでやる気UPにつながっていると感じています。

「週5日、朝から晩まで会社に物理的に出勤する」ということが誰にとっても最適なスタイルだなんてことは単純にあり得ないと思うんです。夜型の人もいれば朝型の人もいる。自宅派の人もいればオフィス派もいる。みんなでワイワイ作業したい派もいれば一人で静かに集中したい派もいる。リモート制度は、社員が自分にとって満足度および生産性が高い方法を自主的に考えるための素晴らしい機会だと思います。
従業員満足度も経営の重要な指標になっている今、リモート制度の効果は侮れないのではないでしょうか。


上記のとおり、企業がリモートを検討すべき理由はたくさんあると思います。
ランサーズもまだまだこれからですが、一緒に推進する仲間を募集中です!

つづく)
これまで、リモートのメリットについて話してきましたが、そうは言ってももちろんいろんな壁にぶつかってます。ぶつかりまくっています。
次回は、そんな課題に対して私たちがどう工夫してきたかについてお話ししたいと思います。


-----参考-----
Anywhere Workers, A Study by and Remote Year (https://www.and.co/anywhere-workers)
* Anne Fulton & Jo Mills. (2014). The Career Engagement Game, fuel50
* Meister, J.C. and Willyerd, K. (2010). The 2020 Workplace: How Innovative Companies Attract, Develop, and Keep Tomorrow's Employees Today. Harper Business
* 「リモートワークの導入率、日本は11.5%アメリカは50%」財形新聞(https://www.zaikei.co.jp/article/20180731/456878.html)
*「就活生『働き方』意識調査・2019年卒は「安定性」より「将来性」」Offerbox http://offerbox.jp/company/info/13856.html

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