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大学の授業の作り方・事前準備

前回、前々回と、授業をどう進めるかという話を書きました。

今日は事前の準備の話。

「授業はライブ」と書いたように、授業は観客(学生)あってのものです。学生の反応を見ながらスピードや説明の内容を微調整していきます。特に私は板書派なので、何をどういう順番で書いていくか、またどこを強調したらいいかなども毎回試行錯誤しています。

かっこいい先生なら何も持たずにすらすらと板書するのでしょうが、私は自分用のノート(アンチョコ)を作っています。アンチョコなしでも出来なくはないでしょうが、授業後に「あっ、あそこの説明するの忘れた」となると困ります。それに学生の多くはホワイトボードに書かれたことを素直にそのまま書き写そうとするので、思い付きで説明してしまうと見にくいノートになってしまいます。

毎年同じ授業をしているなら授業ノートも同じで良さそうなものですが、学生の反応を見ながら微調整するため毎年作り直しています。また、授業後に「ここの説明をするときにこの資料を見せればよかった」とか、「このペースでやると時間がかかりすぎる」とか、気がついたことはどんどんノートに書き留めておいて、次の年に準備するときの参考にします。

大事なのは、脳内で模擬授業をしながら準備をすること。脳内授業の対象者は「かつて大学生だった時の自分」です。知識の乏しかった大学生のときの自分(今も大して変わってないけれども!)が、こういう説明だったらわかってくれるのではないかと考えながら説明の方法を考えます。脳内の「大学生の自分」は結構手厳しいので容赦ないです。もっとも、学生のときから極めて優秀な方はこの方法は無理かもしれませんね。(脳内に出てくるのが物わかりの良い学生ってことになっちゃいますからね。)

それともう一つ大事なのは、この事前準備は前日にすること。あんまり日をあけると、脳内模擬講義で試行錯誤したあれこれを忘れちゃうんですよ。そういう意味では当日に準備してもいいのかもしれませんが、私は微妙に小心者で間に合わなかったらどうしようと不安になるので前日には終わらせておきます。

以前は色も多用していたのですが、昨年担当したクラスで色覚異常の学生がいて「黒と赤の違いがわからない」と言われてからは、あまり色分けしないようにしています。今まで赤で書いていたような重要語句は枠で囲むなどして強調したり、あるいは青を使ったりします。

この学生みたいにはっきりと不満を言ってくれるのはおそらく少数で、悩みを抱えてる学生は案外多いのではないかと思います。困っていても困っていると言いづらくて、うやむやにして結果的に苦労している学生は結構いるんじゃないのかなあ。

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