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大学の授業の作り方・パワポか板書か

今週は入学式があり、ガイダンスがあり、そしていよいよ授業が始まりました。

私が担当している科目は基礎科目が多いので、ほとんどは1年生が対象です。高校のときのように席が決まっているわけでもなく、好きなところに座っていいと言われて右往左往している1年生を見るのは何ともほほえましい。

初回の授業は「この授業はこの教科書を使ってこんな風にやりまーす。じゃまた来週。」といってアッサリ終わる先生が多いようですが、私は初回からガッツリやるタイプ。1コマ90分をきっちり90分使ったので、学生も「コイツやべー」と思ったことでしょう(笑)。

イマドキの大学のほとんどの先生はパワポでスライドを作って、それをスクリーンに映しながら授業をしています。いちいち板書せずに済むし、一回作れば次の年にも使えるし、図や写真も多用出来るし、いいことづくめのようですが問題もあります。

1つはどうしても授業スピードが速くなること。教員からすると説明すべきことが自分の思う通りにスライドに書いてあるわけですから、立て板に水のように話してしまいます。ですが学生からすると次から次へと説明されるので理解するための「咀嚼」の時間が短くなるし、そもそもスライドショーのスピードではとてもノートが取れません。さらに聴いている瞬間はなんとなくわかったつもりでも、理解が追い付いていないので後から考えると「あれ、なんでだっけ?」となってしまう。あるいは授業中にフッと気を抜いてしまうと、その瞬間に説明された内容が飛んでしまうのでそのあとの説明がわからなくなってしまう。

2つ目は部屋を暗くするのでノートを取りづらいこと。スライドを印刷したプリントを配布する先生もいらして、説明を聞きながら直接書き込めるのは効率が良いようですが、スライドを映写するために部屋を暗くしているので手元が見づらい。(あと、個人的にはスライドが印刷されたプリントが配布されると、どうせ同じものなのだからとスクリーンを見る気が失せる。)

3つ目はやはり眠くなること。薄暗い部屋で、スライドが次から次へと流れていくのをじっと見ていたらどうしたって眠くなります。もちろん話し方や説明のやり方を工夫して眠気を誘わない先生もいらっしゃるのですが、一方、単調に一枚一枚のスライドを説明するタイプの先生だと、部屋中に睡魔が・・・。

そんなわけで、私の授業はクラシックな方法、つまり板書をしています。板書、つまり私の「書く」という時間が発生するので、必然的に授業スピードは落ちます。加えて、板書し始めると高校までの刷り込みのおかげか、自然発生的にみんなノートを取り始めます。手を動かさなくちゃいけないので眠くなりにくいし、私語もほとんど起きません。

もっとも、「授業はライブ」というのが私の持論です。つまり観客(学生)あってのものなので、その日の観客(その年の学生)によって反応が違うわけです。なので私のこの方法はウチの大学の昨年の学生にはフィットしても、他の大学、あるいは今年のウチの学生にはそのまま通用しないかもしれません。大学の先生の中には全くおんなじ授業を何年もやっている人がいるそうですが、それならオンデマンドでいいじゃん、ということになってしまいます。ライブを成功させたいんなら、先生もアップグレードしていかないとね。

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