見出し画像

WEEKLY CINTERTOTTING NOTES : 1/24/2020

この週はいろいろと締め切りが重なって、バタバタしていた中で楽しみにしていた1本だけ。

1/22「リチャード・ジュエル」109シネマズ (2020年6本目)
ポール・ウォルター・ハウザーが満を辞しての主演。彼という役者が持っているあらゆる性質がこの作品へのフィット感を超タイトにしていました。しかもイーストウッド映画で、という夢みたいな大舞台。

画像1

彼が演じるリチャード・ジュエルという男、とにかく別の意味で目が離せません。自分の好みを覚えてくれるのは嬉しいけどゴミから推測するなんてギリギリすぎる!しかもなんでそれを申告して問題ないと思えるんだ!何よりもなんで黙ってろって言ってるのにいっこも黙ってくれないんだ!と見ていて本当にイライラ楽しい。犬でいうところのマズルがお肉ではちきれそうなほどにぱつぱつ。

ここはジョージア州なので…とベッドに並べる銃の数々、母親のため息、弁護士の「この依頼を引き受けたのは間違いだったかも」というような表情、これは本当にあったことなのでしょうか。全く笑える状況じゃないけど笑っちゃいますよね…。

私はリチャードに良く似たクラスメイトが小学生低学年のときにいたのですが、みなさんはどうでしょうか。あの当たり前のことをするあまりに疎ましがられるという図式を、そういった場面で私はどうしてたっけ、と苦さを感じながら思い出していました。そういう引き金をひいてくれるほどの、実在感。本当に見応えのあるキャスティングだと思います。

また今作のサム・ロックウェル演じるワトソン弁護士という人物の表現が素晴らしく、映画は電話越しの相手に喧嘩を売りまくっている彼の様子から始まるのですがそこから劇中途切れることなくほとばしる彼らしい強さがたまらなかったです。

ワトソンは、キラキラおめめに反してお口は大変悪いのですが、そのまっすぐな言葉で本当に優しく相手を褒め称えます。まだヒーロー扱いをされている時にニュースのインタビューを受けるリチャードをテレビ画面越しに見ながら、Good for you Radar. そして、あの美しいラストシーンでのLook at you. そういった言葉たちを聞きながら、こちらも大変胸が熱くなる思いでした。

リチャードもそうなのですが、ワトソンも、何を守り、何のために戦い、何を手を差し伸べるか、そういうことがよくわかっていて、手段の難しさとは別に心を決めることについてはとても簡単にできていることに驚くばかりでした。サム・ロックウェルは出演するにあたって本人と会ったそうなのですが、きっと彼のそういった人柄を直に感じたのでしょう。

おこがましいながらも、自分もこの世界でどういう人間でいたいか、そういうことを一番小さなスケールで考えることの大きな意味をこの映画を観てからずっと考えています。イーストウッドの映画はいつもそういう鑑賞後の余韻を与えてくえrますね。

アトランタジャーナルの女性記者においての脚色について。難しいですね。映画を観ている中でもなんて古臭い女性像だろうとは感じていましたが、映画を見終えてから調べてるうちに初めてこの問題について知りました。今作という映画において、ストーリーテリングの名の下にとった選択肢としては本当に良くないと思います。難しいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?