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WEEKLY CINTERTOTTING NOTES : 3/2/2020

体調管理にはいつもより気をつけて映画館へと通っている日々です。

2/26「スキャンダル」TOHOシネマズ渋谷 (2020年17本目)
原題はBombshell、爆弾ニュースという感じの意味です。メディア界の帝王、FOXニュースCEOロジャー・エイルズが女性キャスターたちからセクハラにより提訴されるという騒動について把握していたとしても、なかなか私の生活圏からはFOXニュースというテレビ局とは、というところには馴染みがありませんでした。

しかしそこは架空の人物であるマーゴット・ロビー演じる新人キャスターのケイラのキャラクターによってより深く見えてくるものがあり、面白い伝え方だなと感じました。「私はテレビに出たいんじゃない、FOXニュースに出たいの、私の周りはみんな見てるの」と訴える姿や、いい味出してるケイト・マッキンノン演じる同僚と交わす会話など新しい角度から知れるFOXニュースの実像がひどいこと。それにしてもケイラがシャーリーズ・セロン演じるメーガン・ケリーをとある事で責めるシーン、なんと言っていいのか…。

ニコール・キッドマン演じるグレッチェン・カールソンが実に素晴らしい立ち振る舞いでしたね。一番最初に彼女が弁護士たちに相談するところから色々あっての最後に娘の宿題を見ているところまでの一連の流れがスマートすぎました。

会話劇は大好きなのですが、今作はやや、交わされた言葉たちの莫大な量に対して会話のマジックをキャッチしきれず。しかし私が一番気になったところはロジャーの妻の心の内です。グレッチェンの告発から始まり、ずーっと夫に寄り添う形でいたのですが、あんなものなのでしょうか。不思議だ。

・2/26「ミッドサマー」ヒューマントラストシネマ渋谷 (18)
平日にも関わらず、満員でした。学生や若い観客がとても目立っていました。アリ・アスター監督作、若者の心を掴むカリスマ性というのでしょうか、そういうものを感じます。

公開前から文字通り話題沸騰だった「ミッドサマー」、見れば見るほど見所が見つかるというか、何もかも見逃せない。ほれぼれするほど美しいショットやオモシロシーンも満載なので、不思議と何度も楽しめるというテンションの作品だと思います。見返してみるほどにあの場面にはアレがあったとか、ゲームのように面白い発見があると思います。とにかく作品のファンを喜ばせたいというサービス精神に富んだ作りでした。

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しかしなんといってもウィル・ポールター演じるマークが面白く、映画のもつ不穏な空気の中でスーパー場違いな彼が言うことやることが実に楽しく、いつまでも見ていられるような気分でした。キャスリン・ビグロー監督作「デトロイト」で最悪に恐ろしい警官役を演じたことが記憶に新しい彼ですが、この作品での彼はあまりに恐くて実際の彼のことが心配になり、インタビュー動画をわざわざ見て気持ちを落ち着かせなきゃいけないほどでした。そこで美しいブリティッシュアクセントで話す彼を見て彼がイギリス出身であることを初めて知りました。今作の彼もアメリカのアホアホ学生にしか見えなくて、本当最高です。

ホルガ村に到着する前の、ダニーとクリスチャンの別れる数秒前のカップルの噛み合わない会話もすごいリアリティでした。監督の次作が学園コメディとかだったらものすごく観てみたいです。

それにしてもネットではこの作品の様々な考察が溢れており、どれもとても面白くて、ペレが実は〜みたいなやつなど読んでて心底ゾっとしちゃいました。観客の想像力を掻き立てる余白作りが上手ですよね。私が観て思ったことは、ダニーはそもそも自分の妹に同化している真っ最中だったように思います。そして結果的にあの祝祭に参加し、ああいうひとつの結果を得たのかな、など考えたりもしました。

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