見出し画像

2013慶應義塾大(文)自己推薦_和文英訳解答例

【はじめに】
・英訳は教員歴10年以上の著者とアメリカ人教員と協力して作りました。公式に模範解答が公表されていない以上、あくまで解答例として受験生の学習の手助けになればと思っています。
・例年の受験生のWritingと合否を考えて受験生でも書けるラインを意識しています。難しすぎる表現を使い、立派すぎる解答を見ても受験生は自分の力に落とし込むことはできません。比較的平易な表現を使って、この解答なら真似できるというレベル感で合格ラインを超える解答例を意識しています。
・一方で、慶應の文学部ならここまではかけて欲しい表現や、繰り返し出題される表現もあります。過去問演習を通じて自分の英語力向上に努めましょう。
・また一度の添削で学習者が吸収できるのも10個と踏んで、あまり多くをポイントとしてあげていません。個別で受験生の添削や質疑応答を受けている時の指導ポイントに絞りこみました。記述問題では満点をとることは難しく、模範解答と自分の解答を見比べながら、吸収できるものを一つずつ積み上げていきましょう。粘り強く取り組めば必ず力が着くのがWritingです。

【課題文】(a)私の家の近くに自然公園があり、自転車やオートバイの立ち入りを防ぐために、車輪のあるものの立ち入りをすべて禁じていました。幼児を乗せていく乳母車も車輪がついているので、入ってはなりませんでした。妻はそのころまだ日本語の注意書きが読めず、知らずに入り注意されました。
Anything with wheels was banned from entering the nature park near my house to prevent bicycles and automobiles from entering the park.
Even strollers cannot enter, but because my wife could not read the warning signs in Japanese, she entered the park by mistake and was warned not to do that.
※難解な日本語はSV構造がたくさんある。そのまま英語で処理すると英語にも複雑なSV構造が多用されるため、読みにくい英語になる。そこで、英訳の際にSVを省いた表現にする。例えば「家の近くに自然公園があり」の日本語のSVはnature park near my houseとすれば英語では名詞句として処理できる。英文全体の構造がSVの少ないシンプルな英文で読みやすくなる。
※「禁じていました」は日本語の肯定文に合わせる必要はない。主語に合わせて動詞の選択も変わり、否定文肯定文を変える。
受動態、肯定文was banned from doingやwas prohibited from doing。
能動態、否定文We cannot~など主語Weを補う。
受動態、否定文was not allowed to doも可。
能動態、肯定文の場合、禁止しているのが誰かわからない。
※車輪のあるものvehicle乗り物としてシンプルに訳した
※幼児の乗っている乳母車もstrollers としてシンプルに訳した。

(b)自由と、勝手や気儘や恣意は全然違います。自由とは、自らに拠って行動することです。自分に責任を持つ事がなければ、自由はあり得ません。自由とは、責任をもって行動しなければならない事で、その前提として、倫理を弁えている人しか持ってはならないものです。
Freedom and selfishness are completely different. Freedom means you can decide what you do on your own will. If you do not take any responsibility for your actions, freedom does not follow. In this context, only people who can take responsibility can enjoy their freedom.
※自由をfreeedomとして勝手をselfishnessとするなら、気儘や恣意などはもはや高校生のボキャブラリーを超えており、この類義語のニュアンスまでは英訳しきれない判断でよい。機械翻訳でもselfishnessが複数回登場する。
英語の場合、類義語の並列は2つくらいが適当で3つも4つも並列することは稀なので、こういったことが起きると考える。
※「全然違います」など強調表現はしっかり英訳に落としこむ。
※「責任を持つ」haveよりも「責任を取る」takeの方が英語では一般的な表現なので、自然さを優先してtake any responsibilityとした。英語表現の自然さを一番に考える。
※「自由はありえません」は自由が伴わないの意味でfollowを使った。このように英語は動詞が発達しているので、動詞を多様に使えると英語表現の幅が広がる。
※「その前提として」その文脈においてと訳しかえてin this cntextとした。
※「自由とは~持ってはならないものです。」~な人々のみが自由を享受できると訳しかえた。ちなみにenjoy~「~を享受する」は難関大学では頻出。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?