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2022年慶應義塾大(文)自己推薦_和文英訳解答例

【はじめに】
・英訳は教員歴10年以上の著者とアメリカ人教員と協力して作りました。公式に模範解答が公表されていない以上、あくまで解答例として受験生の学習の手助けになればと思っています。
・例年の受験生のWritingと合否を考えて受験生でも書けるラインを意識しています。難しすぎる表現を使い、立派すぎる解答を見ても受験生は自分の力に落とし込むことはできません。比較的平易な表現を使って、この解答なら真似できるというレベル感で合格ラインを超える解答例を意識しています。
・一方で、慶應の文学部ならここまではかけて欲しい表現や、繰り返し出題される表現もあります。過去問演習を通じて自分の英語力向上に努めましょう。
・また一度の添削で学習者が吸収できるのも10個と踏んで、あまり多くをポイントとしてあげていません。個別で受験生の添削や質疑応答を受けている時の指導ポイントに絞りこみました。記述問題では満点をとることは難しく、模範解答と自分の解答を見比べながら、吸収できるものを一つずつ積み上げていきましょう。粘り強く取り組めば必ず力が着くのがWritingです。

(1)生命の宿る物質としての身体は、自身を再生産するために、自分の外部に存在する物質を内部に取り込んだり、再びそれを排出したりしなければならない。身体であることによって、人間は空気を吸い、吐き、水で渇きを癒させなければならない。
【解答例】
The human body as a vessel for life must absorb external materials and release them to maintain itself. Because the body is alive, humans need to breathe in and out and water can release the body’s thirst.

①生命の宿る物質としての身体
日本語の通り直訳すれば、The body as a material with lifeですが「命の器としての身体」the body as a vessel for lifeにしました。意訳で難しい個所ですが、materialではネイティブは難色を示します。「命の器」の方が文意にはあっています。

②再生産するために
直訳するとreproduceだが、自分のコピーを作る意味なのでmaintainと思います。再生産と日本語が書いてあるので、難しいですが。

③取り込んだり、排出したり
absorbとreleaseが一般的。absorb~insideとinsideは不要。
releaseにagainは不要。日本語の「再びそれを排出する」にagainが付くと、「何度も何度も排出する」の意味になってしまうため、今回はagainを書かずに置いた。

④外部に存在する物質
日本語の「存在する」は冗長的な表現で直訳すると非常に英語としてくどいのでシンプルにexternal materialsとした複数形で書く方がよい。

⑤身体であることによって
日本語の意味は「身体が身体であるが故に」だが、英語にすると意味が通じないため「身体が生きているため」と意訳した。慶應義塾(文)では頻出の、日本語をそのまま英訳しても意味が通じない。

⑥人間
humanは可算名詞です。一般的にはhumansと複数形で使います。
同じ意味のhuman beingsも同様です。単数でa humanを使うことはあまりなく、大体はa personを使います。

⑦空気を吸い、吐き
breathe in and outとした。breathe自体が「息を吸う」の意味なのでthe airを書く必要はない。inhale and exhaleを使でもよい。

⑧水で渇きをいやす
渇きをいやすのは水で、人間ではない。そのため主語はwaterにした。release the body thirstかrelieve your thirstなど別解がある。

(1)一者が扶助したにもかかわらず、他者が扶助を返す事がない、ということも十分にありうる。例えば、ある人物が困窮する他者に扶助したが、それにもかかわらず、その他者が絶命してしまうといった事態は十分に想定しうる。

【解答例】
It is quite possible that others did not give some help back though you gave it to them. For example, you can easily imagine that others who were in poverty got some help but they died.

⑨十分ありうる
it is highly probableかquite possibleなどを使う。

⑩一者~他者・・・
ある者は一般論のyouとしたがoneでもよい。他者はothersと複数形にするか、単数のanother、the other。

⑪十分に想定しうる。
~することができるのcanの意味が入っていること。十分と強調されているのでit is easily imaginable that~とするかyou can eassily imagine that~とする。

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