見出し画像

【Webデザイン】 “第5回” 「認知心理学」でデザインをより効果的に!ユーザーを惹きつけるデザインの秘訣 

「人はなぜ、そのデザインに惹かれるのか?」

Webデザインは、単なる見た目ではありません。それは、ユーザーの心を捉え、行動を促すための仕掛けが重要になってきます。その鍵となるのが、人間の心理を読み解く科学、「認知心理学」です。
「認知心理学」の知見をWebデザインに活かすことで、ユーザーの心理に働きかけ、驚くべき結果を生み出すことができます。
具体的な事例を交えながら、ユーザーの心理を理解したWebデザインの重要性と、その秘訣を解き明かしましょう。


■前回の記事はこちら



認知心理学とは

視覚認知、記憶、思考、判断、行動など、ユーザーが瞬時に感じ取り、判断する無意識の領域を解き明かすことで、直感的に使いやすい心に響くデザインを実現することができます。ユーザーがどのようにデザインを認識理解操作するのかを把握し、心に響くデザインへと繋げていきましょう。

地域年齢時代文化経験などによって、ユーザーの心理は大きく異なってきます。多様な視点を忘れずに、デザインを構築することが重要です。

認知心理学をデザインに活かすことで、ユーザー満足度利用率を向上させることができます。より効果的なWebデザインUIを生み出すための、強力な武器となるでしょう。


錯覚を効果的に!「シャルパンティエ効果」で心理抵抗を抑え、印象を操る

シャルパンティエ効果」とは、同じ重さ体積の異なる2つのものを比較した時、体積が大きい方を軽く感じてしまう心理効果を言います。
例えば、発泡スチロール10kgと鉄アレイ10kgが目の前にあった場合、鉄アレイ10kgの方が重そうだと思ってしまいませんか?この錯覚は、脳が視覚情報と触覚情報を統合して重さを判断するため起こります。

「シャルパンティエ効果」は、重さだけではなく、様々な対象に効果を与えます。例えば、サプリメントのビタミンC含有量を「1,000mg」と表記するよりも「レモン50個分」と表現することで、具体的なイメージが付きやすくなり、より多くのビタミンCを摂取できるという印象を与えることができます。

また、価格を表現する際にも、「シャルパンティエ効果」を活用することができます。例えば、月額10,000円のサービスを「1日あたり約330円」と表現することで、より安く感じさせ、購入を促すことにつながります。

ただし、「シャルパンティエ効果」を活用する際には、注意が必要です。一般的にイメージできないものや、そのイメージに適していない例えを用いると、効果が得られなかったり、逆効果になったりする可能性があります。

「シャルパンティエ効果」を理解し、適切に活用することで、ユーザー心理を戦略的に操り、魅力的なWebサイトを構築することができます。

内容は同じでも、数字の大きさで印象を変える


「もったいない」を資産に!「コンコルド効果」でユーザーを釘付け

コンコルド効果」とは、ある物に対して時間・金銭・努力などを投資している時、このまま続けると損失が出ると分かっているのに、それまでの投資を惜しいと感じて、投資を継続してしまう心理現象です。これは、超音速旅客機「コンコルド」の開発にまつわる逸話から名付けられました。別名「サンクコスト効果」とも呼ばれます。

「コンコルド効果」を活用したWebデザインは、ユーザーの心理に巧みに働きかけ、会員登録、購入、継続利用など、Webサイト運営者にとって望ましい行動を促すことができます。会員登録特典、ポイント制度、ステップ式登録、サンクコストの強調など、さまざまな方法を組み合わせることで、より効果的なWebデザインを構築することができます。

ユーザーにとって価値のある特典やコンテンツを提供し、負担をかけすぎないように注意しながら、倫理的な観点から問題のない施策を行うことが重要になります。

会員ランク制度は、ユーザーが時間や労力をかけて獲得した「行動の対価」となり、獲得したランクは、ユーザーにとって「貴重な資産」であり、失いたくないという心理が働く



類似性で認知負荷を軽減!「プロトタイプ理論」でユーザーを迷わせない

プロトタイプ理論」とは、人が新しい情報を理解する際に、すでに知っている典型的な事例類似性によって理解しようとする心理的なメカニズムです。
例えば、「犬」というカテゴリーを想像したとき、私たちは柴犬やゴールデンレトリバーなど、具体的な犬のイメージが浮かぶのではないでしょうか?これがまさに「プロトタイプ」と呼ばれる典型的な例です。

Webデザインでも、この「プロトタイプ理論」を活用することで、ユーザーの理解を促進し、より使いやすいサイトを作ることができます。

例えば、「よくある質問ページ」の場合
A. よくある質問
・商品について
・会社について
B. 商品情報
・商品の利用方法
・よくある質問

一見すると、どちらの分け方も正解に思えます。しかし、「プロトタイプ理論」に基づいて考えると、より適切な分類が見えてきます。

A. よくある質問:ユーザーはまず、自分が解決したい問題に関連する質問を探します。そのため、「商品について」や「会社について」といった、解決したい問題を直接表すカテゴリーの方が、ユーザーにとってわかりやすい分類と言えます。
B. 商品情報: ユーザーはまず、自分が購入しようとしている商品に興味を持ちます。そのため、「商品の利用方法」や「よくある質問」といった、商品に関する情報をまとめたカテゴリーの方が、ユーザーにとってわかりやすい分類と言えます。

結論:ケースバイケースで判断
重要なのは、ユーザーが求めている情報を、できるだけわかりやすく情報を見つけやすい分類を選ぶことです。そのためには、「プロトタイプ理論」を理解し、ユーザーのニーズを常に意識することが大切です。

しかし、「プロトタイプ理論」はあくまで一つの考え方であり、必ずしも全てのケースに当てはまるわけではありません。最終的には、サイトの目的ユーザーの行動を考慮した上で、最適なカテゴリー分けを選択することが重要になってきます。

ユーザーのニーズや目的をしっかりと理解することが重要



記憶のクセを味方に!「系列位置効果」でユーザーの心を掴む

「人は最初の印象と最後の印象を強く覚えている」
これが、「系列位置効果」と呼ばれる心理法則です。Webデザインにおいても、この効果を巧みに活用することで、ユーザーの心を掴み、行動を促すことができます。

「系列位置効果」は、大きく2つの効果に分けられます。

「初頭効果」
ユーザーは最初に目にした情報を最も注意を向け、2番目の情報よりも重要度が高いと考えます。大切なメッセージや魅力的なコンテンツ、重要な情報を最初に配置することで、ユーザーの興味を惹きつけ、記憶に刻み込むことができます。

「新近効果(終末効果)」
ユーザーは最後に見た情報を短期記憶に保持し、思い出しやすい状態にあると言えます。ユーザーに行動を促す重要な要素であるCTAボタンや、商品やサービスの信頼性を高めるお客様の声などは、ページの最後に配置することで、購入意欲を高めたり、クリック率を高めることにつながります。

「系列位置効果」は、Webデザインにおいて非常に有効な心理法則です。最初の印象、最後の印象の両方に気を配り、ユーザーの記憶に残るデザインを構築することで、コンバージョン率や売上の向上につなげることができます。

フッターなど、最後まで気配りを忘れない

エイトビー株式会社


つながりを重視! 「フォールス・コンセンサス」で共感と行動を促す

共通意識を持つ人同士は、互いを理解しやすく、協調しやすい傾向があります。この心理的な傾向を「フォールス・コンセンサス」といいます。この効果は、「自分の意見や行動が、周りの人々と一致している」という共感に基づいています。人は、周囲の人々と一致している行動を取ることで、安心感承認欲求を満たすことができます。

この効果を応用し、「多くの人が利用している」という事実を伝えることで、ユーザーの購買意欲やコンバージョン率を高めることにつながります。例えば、ECサイトなどでのお客様の声は、商品やサービスの信頼性を高める重要な要素です。多くのユーザーからの良い口コミを掲載することで、ユーザーは「人気商品だから間違いない」という心理になり、カートへの追加を促せるかもしれません。

他にも、利用者数やダウンロード数などの情報を目立つように表示したり、ランキング上位であることをアピールすることで、ユーザーに安心感を与え、購入を促したり、コンバージョン率の向上につなげることができます。

ポイントは、ユーザーの気持ちに寄り添い、共感を生み出すことで、ユーザーとの信頼関係を築くとです。

お客様との対談など、第三者評価で客観的な安心感を与える

エイトビー株式会社


まとめ

デザインには奥深い世界があり、常に学び続けることが重要になってきます。今回の記事を通して、デザインを論理的に考えるということの楽しさ、そしてユーザーの心を動かすデザインの重要性について少しでも理解を深めていただけたでしょうか。今回までに紹介していない中にも、Webデザインに認知心理学を応用した事例は、まだまだ様々なものがありますので、また、ご紹介していきたいと思います。

Webデザインは、論理的に考えつつ試行錯誤しながら作られています。しかし、ユーザーは細部にまで目を向けることは少なく、無意識的に何かを感じ取ったり、瞬時に判断したりしています。ユーザーの無意識の部分、人の心理を理解することができれば、さらにユーザーの心に響くようなデザインに繋がります。

私たちエイトビーは、Webデザインの際に論理的思考と無意識の心理効果を共に考慮してデザインしています。そのため、ユーザーが使いやすく、より納得感のあるご提案ができるのではないかと思っています。サイトの改善のお悩みや、新規にサイトを立ち上げたいなどと思われている方、弊社に興味を持たれた方など、ぜひご相談ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



■過去の記事はこちら


■お仕事のご依頼やご相談はお気軽に
エイトビーは、Web制作会社としてテクノロジーとクリエイティブの融合で最適なコミュニケーションを提案・創造し、お客さまやユーザーの皆さま、すべての人が幸せになれることを目指しています。


■採用募集はこちら
エイトビーでは、新しい仲間を募集しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?