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コロナ禍で卒業を迎える君たちへ。高校生のうちに見てほしい映画~後編~ 【映画.comシネマStyle】

 毎週テーマにそったおすすめ映画をご紹介する【映画.comシネマStyle】

 今回のテーマは前回に引き続き、卒業シーズンを迎えた高校生の皆さんにむけて映画.comスタッフが選んだ「高校生のうちに見てほしい映画」です。

 緊急事態宣言も延長され、まだまだ”普通の毎日”には戻れなく悶々とする時間も多いと思います。大人以上に悔しい思い、悲しい思いを抱えながらも、誰かの命を守るため我慢をしてくれているのが、学生の皆さんだと思います。

 さらに、もうすぐ卒業を迎える高校3年生には、学生生活への心残りもたくさんあるはずです。そんな学生たちに映画を通じて、学生生活を振り返ったり、不安な思いを少しでも晴らせたりできる作品を選びました。

 今回の後編では、日本の作品を4本リストアップしました。どれか1作でも誰かの心に響き、新しいスタートを切る力になりますように


選ばれなくたって、人生の主人公は君だ

「ひゃくはち」(2008年/森義隆監督)

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(C)2008「ひゃくはち」製作委員会

 甲子園出場を目指す野球の名門校で、上級生が引退して虎視眈々とレギュラーを狙う雅人(斎藤嘉樹)とノブ(中村蒼だが、有望な新入生が入学したことで、ふたりは高校生活最後の大会のベンチ入りをめぐり争うことになる。

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(C)2008「ひゃくはち」製作委員会

 コロナ禍により今年の高校野球もまだ先行きが見えないが、どんなに必死に練習してもグランドの土さえ踏めない補欠部員たちが現実に存在する。今作は、選ばれた人たちではなく、補欠部員たちの奮闘を爽やかに描いた異色の青春映画。選ばれなかった人たちにだって輝かしい青春があることを教えてくれる。

 野球部員に高良健吾、コーチに桐谷健太、さらに「湘南乃風」のRED RICE、「m-flo」のVERBALも特別出演している。

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伝えたい言葉がある、伝えられない思いがある

「心が叫びたがってるんだ。」(2017年/熊澤尚人監督)

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(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

 オリジナルのアニメ版も最高なのですが、今回はアニメをもとにした実写版を推させてください。物語の軸となるのは、他人と本音で向き合うことができない高校3年生の坂上拓実と、あるトラウマが原因で、言葉を発することができない成瀬順。やがて順は、歌にのせれば言葉を伝えられるとわかり、ふたりは実行委員を務める学校のイベントで、ミュージカルに挑戦することに。

 黒崎くんの言いなりになんてならない」「ニセコイなどマンガ原作の映画で、強烈なキャラクターを華やかに輝かせてきた「Sexy Zone」の中島健人が、様々な思いを胸に秘めた拓実を繊細に演じています。ささやくような声でも、瞳に強い意志を宿らせる演技が素晴らしく、中島自身の特技でもあるピアノ演奏にも注目。また順役の芳根京子も、声を発せないながらも思いを爆発させる難しい場面で、圧巻の表現力を見せています。

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(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

 高校生たちが触れる「口に出してしまった言葉」と「口に出せなかった言葉」。そんな言葉にまつわる後悔や葛藤を抱えながらも、クライマックスとなるミュージカルシーンで、本当の思いが歌として形になります。筆者にも、青春期にかけられた言葉のなかに、大人になっても心の拠り所になってくれるものがあります。友人や大切な人と、卒業して離ればなれになってしまう前に――伝え忘れた言葉はないか、考えさせてくれる1本です。

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音楽で悩みだって吹き飛ばせ!

「リンダ リンダ リンダ」(2005年/山下敦弘監督)

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(C)「リンダリンダリンダ」パートナーズ

 高校最後の夏。バンドからギタリストが脱け、3日後に迫る文化祭で何を演奏するか困った響子(前田亜季)、恵(香椎由宇)、望(関根史織)の3人は、ブルーハーツのコピーをすることに。韓国人留学生のソン(ぺ・ドゥナ)をボーカルとして加えて、練習を開始する。

 15年以上前の作品ですが、この年頃特有の心の揺れは、年齢の近い人が見たらもっとリアルに感じるはず。個人的には、「ソンさん」から呼び方が変化していく過程、若き松山ケンイチさんの告白シーン夜の学校で練習する場面が好きです。すごく大きな事件が起きるわけじゃないところも、実際の青春っぽい。悩みを吹き飛ばしてくれるようなブルーハーツの楽曲にも注目してください。

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いつか「あの頃」と笑い飛ばせるように

「あの頃。」(2021年/今泉力哉監督)※劇場公開中(2021/3/12現在)

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(C)2020「あの頃。」製作委員会

 高校の友達、3年間楽しいことも、苦しいこともともに過ごしてきた中で培われた絆は、何物にも代えがたいものです。これ以上の友達、これ以上に最高の時間は二度とこないんじゃないか。そんなことすら思うかもしれません。「あの頃。」はきっと皆さんに、大丈夫このあともきっと素敵な友達、時間があなたに訪れることを教えてくれます。

 大学院受験に失敗し、彼女もお金もなくどん底の生活を送る劔(松坂桃李は友人の勧めで松浦亜弥のミュージックビデオをみて心が満たされる。そこから「ハロー!プロジェクト」のアイドルに夢中になった彼は、イベントで知り合ったコズミン(仲野太賀)ら個性的な仲間たちとともに、くだらなくも愛おしい青春の日々を謳歌する。しかし時は流れ、仲間たちはアイドルよりも大切なものを見つけて離れ離れになっていく。そんなある日、コズミンがガンに冒されていることを知った劔は、かつての仲間たちと再会を果たすが……。

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(C)2020「あの頃。」製作委員会

 卒業した後、どういう日々が待っているか不安な人もいると思います。いい仲間に出会えるか、楽しいことが起こるのか。でも、大丈夫。きっとあなたも生きていく中で、劔やコズミンたちのような素敵な仲間たちと出会い、最高の「あの頃」を過ごすことができると思います。そして、今この瞬間横にいる仲間とともに、今のこの瞬間を「あの頃」と懐かしがりながら、「あの頃も最高だったけれど、今も最高だね」って笑いあえる瞬間を迎えてください。

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 いかがでしたか? 前編では、海外作品3本も紹介していますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

 早くこの日々も「あの頃は」といって笑いあえる世界がきますように。

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