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(8)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~物語にハマる編~

 私がこうして「子どもと本」に関して自分の考えや体験を伝えたいと思うようになったのは、ママ友さん達との出会いが大きなきっかけとなったからです。
 

〈子どもに本好きになってほしい…というママ達の声〉

 それは主に長女を育てている時。
 子育てサロンで初めて出会ったママ友さん、何かと助け合っていた同じマンションのママ友さん、子ども同士が同じ幼稚園に通っていたママ友さん…たくさんの方達と子育ての苦労や喜びについて、いろんな話をしました。
 
 そのなかで、実に何人もの人が「自分はあまり本を読まないんだけど…子どもには本好きになってほしい」と話していたのです。
 
 「子どもに本好きになってほしい―でも、具体的にどうしたらいいかわからない」
 「良いと思われる本を勧めるだけじゃダメなの?」
 「(既に小中学生の)上の子を書店に誘ってもちっとも喜ばないか、漫画しか買おうとしない」
「図書館に行こうか…と言うと『なんで?』と言われた」
 
 …というような話が盛りだくさんでした。
 (この体験 ―自分は読まないけど、子どもには読ませたい親心を知ったこと― については、後程またお話します)。
 
 私が本好きだと話すと「どうすればいいと思う?」と聞かれたのですが、その時は「親が本好きで、家に本がたくさんあれば…読むようになるのでは?」というくらいしか頭が働きませんでした。
 私自身、手探りの子育ての真っただ中にいたからです。
 
 …けれど今なら少しだけ伝えられるような気がして、この「本好き大作戦」を書いています。
 

〈図書館通い以降、読書の筋力を鍛える2つのポイント〉



 さて、(7)で
〇書店や図書館で本を選ぶこと
〇自分に合ったシリーズ本を見つけること
 …の2点が今後の「読書の筋力」を鍛えるうえで重要…と書きましたが、もう少し詳しくお話すると以下のようになります。
 
〇子どもにとって「書店や図書館は楽しい場所」でなければ、継続的な本好きにはならない。そして「そびえたつ本棚を目の前にして、ひるむことなくワクワクしながら自分で本選びできること」が血肉になる。それは心の柔らかい子ども時代に体得するのがベスト。
 
…ということ。
 
 また、シリーズものが読書の筋力を鍛える理由は、「これはおもしろい」と感覚に合う一冊を見つければ、少なくともシリーズもの全巻は楽しめるから。しばらくの間本選びに苦労せずにすみますし、同じ作者、同じ世界観である以上子どもにとって既に「これが好き」というハードルは超えていますから、知らず知らずのうちに読書の筋力が鍛えられる可能性が上がります。
 
 ーさて、ここで物語というジャンルについて、少し深掘りしてお話しますね。

〈「物語」というジャンルにハマると読書習慣が確実に〉

 
 本(出版物)にはさまざまなジャンルがありますが、その中でも王者のように君臨するのが「物語」「小説」―ではないでしょうか。
 
 物語・小説の魅力が体に染み込むようになると、人生のうちでなかなか本を手放すことはできません
 本好きな人間は魅力的な小説を読んで達成感、充実感が得られると「もっとおもしろいもの!」と本探しに精を出すようになります。
 
 基本的には書き手の作り話(フィクション)であっても、人が書くものである以上その時代の生き方や出来事が反映されています。よくできた物語ほどリアルな人間の感情がそこにありますし、行ったことのない場所や架空の人間がまるでそこに存在しているかのように感じることも。
 
 なぜ人は物語を求めるのか・・・それは「本能のようなものである」と何かで読んだ記憶がありますが、本当にそうなのだろうと思います。
 だからこそ、過去を遡っても読み切れないほどの物語が世界に溢れ、これほど毎年、新しい小説が生まれ、さまざまな文学賞に注目が集まり、本好きの間では新しい感動が日々湧いているのだと思います。
 
 なにを言いたいのかというと…つまり、子どもが読書の筋力を鍛えるうえで魅力的な物語に出合うことは重要な条件のひとつ、ということ。
 
 夢中で読む・・・これを繰り返すことで、言葉によって表現された場面や状況を自分なりにイメージできるようになっていきます。脳が慣れるのでしょう。
 
 また、簡単な文章や文脈をパッと見て理解できるようになると、次はもう少し堅い文章や複雑な文脈を理解する方向に頭がおよび、それもパッと見て理解できるようになると、さらにその先へ・・・と読む内容が自然とステップアップしていくもの。
 だからだんだん「絵」がなくても長い物語・小説が読めるようになり、続けていけば必ずいつか幼児向けの本や児童書に「物足りなさ」を感じるようになって、自分から「次の本」を探すようになると思います。
 
 成長って「積み重ねる」こと。・・・人間の脳って素晴らしいですよね。
 
 

〈「物語」は本好きへの近道!でも違うジャンルも大切に〉

 
 物語・小説は本の王道ジャンル。
  ・・・とはいえ「何度図書館に通っても、さりげなく物語をすすめても、自分から選ぶのは迷路やクイズの本ばかり」とか「やっぱり図鑑のような本ばかり」・・・という子もいるでしょう。
 
 それでもいいと思います。大丈夫!
 私は「物語を好きになると読書にハマりやすい」ことを熱くお話はしましたが、どんなジャンルでも本が好きなのは素晴らしいことですし、あくまで好みの問題であって能力差でもなんでもないと思います
 知識欲を満たしてくれる本、世の中のあらゆる事象を楽しく伝えてくれる本を読む子も素敵です。
 もし、親の当初の思惑通りにいかなかったとしても、「そういう本が大好き」になってくれたらそれが本人の財産であり、図書館通いは成功。
 好きなジャンルの本をたくさん買ってあげて、家で常に楽しめるようにしてあげたらいいなと思います。
 
 子育てにおいて、「子どもを見る」だけでなく、「子どもの見ているものを見る」ことが大切だと…何かで読んだ記憶がありますが、本もそうだと思います。
 どうか「子どもが熱心に読んでいる本」を見つめてあげてくださいね。
 
 ただ、研究本、図鑑タイプの本で少し気がかりなのは、本に情報提供だけを求めるのなら、そのうち子どもの興味がネット検索へ向かって行く可能性もあるのでは・・・ということ。
 それはそれとして、「ひとつの形として完成されている物としての本」に愛着を抱いてくれたらいいなと思います。
 そのためにも、本を一緒に選ぶことを楽しんだり、気に入った一冊は借りるだけでなく買ってあげたらいいかもしれませんね。
 
 ちなみに以前もお話しましたが一般的な漫画、コミックについては別物と考えています。
 漫画は素晴らしい文化ですし、情緒面ではプラスになることも多々あると思いますが、絵がメインで語られる以上、文章を読解するチカラを育むことはあまり期待できません。
 それに、漫画にハマるのは何歳になってからでもできるので、読書の筋力を鍛えるうえでは時間のある子ども時代に「できるだけ多くの文章を読む」のがベストだと思います。
 それに漫画、コミック一冊はすぐに読み終わってしまいますから、何冊もないと外出先での時間つぶしには不向きかなと思います。
 
 我が家にももちろん漫画はありますし、長女も小学1~2年生からある程度読んではいますが、「文章をメインで読む」方の本を中心に一緒に選んでいたので、子ども自身が「絶対漫画のほうがいい」という強い興味を持ちませんでした。
 
 今は普通に読んでいますよ!
 
 つづきます。
 
 

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