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どんな育児本より私が心で感じた言葉を子どもに伝えたら


2024年3月現在。

長女は12歳、今年中学生になる。
次女は8歳。

さすがにもう、まるきりの子どもとは言えない。
心もからだもどんどん成長し、あたりまえだけど日々、
親とは違う人間になっていくのを実感している。

――思えば、

長女が生まれてから10年くらい、子育て以外にもいろんなことがあり、
私には自分の時間というものが、ほぼなかった。

本が読めない。
せめて1日10分でも・・・と古い小説を手にしてみたが、
まったく頭に入らない。

それでも活字を見ていたい。
では子育ての本ならどうだろう・・・と何冊か身近においてみたところ、 
ふしぎなもので、なんとか読めた。


きっと、そういうモードでしか頭がはたらかない状態だったんだろうな。

そしてそれは、思いかえせば有意義な読書時間だった。


書かれているすべてを自分の育児に取り入れたわけではないけれど、

「おなじことでも書き手によって目線がちがうんだなぁ」とか
「この人は理系のデータ、この人は自分の体験をもとに書いていて、
どれも面白いなぁ」とか、
「でも突き詰めると結局、おなじことを言っている気がする」とか。

目の前の我が子と交互に見るぶんには、興味深い体験でもあった。


なかには「子どももってそういうものなの?」
という気づきと発見から、
自分の生き方を見直したくなるような深い理解を
もたらしてくれた一冊もある――いつか詳しく紹介したい。


興味深い本ばかりでした



*******************

子どもの褒め方
効果的な叱り方
子どもの心理
自己肯定感の育み方

いろいろあるのだろうと思ったけれど、

――でも私には、親と子の具体的な行動に対してどう、
という育児本のアドバイスとは方向性がちょっとちがう、
子どもに日々つたえたい言葉が、心の根っこにいつもある。

 

それは、

――あなたと一緒にいる時が、ママはいちばん幸せ。

  

というもので。


・・・たぶん、育児本としては「これ絶対に言ってね」
と推奨する言葉ではないのだろうと思う。

 
だってそれは、親が心で感じて、わきあがる言葉だから。

 

――でも、思っているのなら、言ったほうがいい。

自分の気持ちを相手に伝えることが苦手・・・
という人は、けっこう多いのかもしれないけれど、
「わたしの気持ち」=「I (アイ)メッセージ」は、とても大切。

 

*******************

私は姉を亡くしている。

姉は病気になり、本当にいろいろあって、
小学生の子どもをひとり残して、旅立った。

子どもと引き離されて、会いたい会いたい、
抱きしめたい・・・と泣いていたけど、かなわなかった。

そして、とても後悔していた。

大好きだって、あなたと会えたことがママの人生で
いちばん幸せなことだったって、伝わっていたのかな、って。

――だから、


死を前にした親にとって、子どもを抱きしめること以外に
したいことなんかないって、私にはわかるんだ。

だから私は、自分の子どもに言う。


どんなに照れくさくても、伝えられる時に伝えておくんだ。


 *******************

――あなたと一緒にいるときが、ママはいちばん幸せ。

――だから、ギュッとさせて、においをかがせて、髪をさわらせて。

 

たまに、ふとした時に伝えると、
あなたはなんとも言えない嬉しそうな顔をする。

一瞬おどろいたような、ちょっと恥ずかしそうな、でも
からだの底からキラキラが溢れ出るような、
そんな顔をするよね。

どんなに「すごい」「じょうず」と褒めた時よりも、
「かわいいね」「だいすき」と伝えた時よりも、
いい顔をするよね。

だから時折、伝えておきます。

 
――あなたと一緒にいると、ママはとっても幸せ。

  
もちろん、2人ともにね。

3人いたら、きっと3人だったのでしょう。


 *******************


――そんなわけで、育児本は、また懐かしくなったら
いろいろ読み返そうと思う。

けれど日々、子どもたちが「子ども」じゃなくなっていく今、
私の心がいちばん近いのは、もしかしたら・・・
この本かもしれないな。

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「ぼくは、ぼくの花のあのバラに水もやったし、
ついたてで囲って、ガラスのケースもかぶせてあげた。
ぐちも自慢話も、嘘だってわかっててきいてあげた。
だから、ぼくだけのバラだったんだ、あれは・・・」
   ーーーーーーーーーーーーーーーーー


――そう、『星の王子さま』。


「ぼくだけのバラ」、
結局はここに行きつくのかもしれない。

今は「わたしが子どもを育てるため」というより、
「一緒に育つため」に時折、子どもと読んでいる。
 

――いずれにしても、本はいいなぁ。
いつでも、わたしの心を見つけようとしてくれる。


この先、子どもが子どもでなくなっていく過程も、
楽しみながら、たくさんの本と一緒に
成長させてもらえたら・・・と願っている今日このごろ。



ーー長女よ、小学校卒業おめでとう。



■『星の王子さま』の、とくに大好きな文章を一部抜粋

 王子さまは、バラ園のたくさんのバラを見に行って、あっそうか、と思った。ここにある、たくさんのバラと王子さまの心とは、まだ見えないひもで結びあわされてなかったんだね。だからバラといっても、ただの花だった。知らない花は、知らない人と同じさ。
「ぼくは、ぼくの花のあのバラに水もやったし、ついたてで囲って、ガラスのケースもかぶせてあげた。ぐちも自慢話も、嘘だってわかっててきいてあげた。だから、ぼくだけのバラだったんだ、あれは・・・」
 王子さまは、キツネのところにもどって、もう一度、別れをつげた。
「さよなら・・・」
「さよなら、じゃ秘密を教えてあげる。とってもかんたんさ。心で見るんだよ。大切なものは目に見えないんだ」
「・・・大切なものは目に見えない・・・」
 王子さまは、忘れないように、キツネのことばをくりかえした。
「時間をかけて世話してあげたからこそ、きみのバラは、きみだけの特別なバラになったんだ」
「・・・時間をかけて世話したからこそ・・・」
「忘れちゃだめだぜ、自分が大切にしてやった相手に対して、きみはいつまでも責任があるんだ。あのバラに、きみは責任があるんだ・・・」

(『星の王子さま』/サン=テグジュペリ原作、奥本大三郎・文/白泉社/p36-38より)


※私が持っているのは上記の仕様。『星の王子さま』は多くの出版社から多彩な仕様で出版されています)


よく育ったね

 


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