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(19)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~気づいた事編~

  つづきです。
 
 そして私は、「本好きの視点」と「リアルな子育ての視点」、両方を合わせて考えてみた時、ある重大な事実に気づいてしまったのです。
 
 …って、すみません。大げさなのは自覚しています!
 

〈メディアには本情報が満載…でも、そもそも壁がある!〉

 
 新聞を読めば(私が愛読しているものは日曜版に特に)おもしろい本、人気の本の広告や書評が載っていて、それはもう大いに本選びの参考になります。
 
 そして書店へ足を運ぶと、これまたおもしろそうな本ばかりで目移りします。
 「おもしろい本」を紹介した本…も世の中にはけっこうあり、そういうものを一冊手にするだけで「どうしよう! 読む時間が足りない」とワクワクしたり、焦ったりします。
 
 テレビやネットのニュースでも「〇〇賞受賞」とか、人気の本をいろいろ紹介していますし、読書の世界に一度足を踏み入れ、アンテナを張れば、もう抜け出せないくらいの「読書沼」が広がっている…
 
 ―と、思っていたのです。
 思っていたのですが、リアルに子育てをしているパパ・ママ達で、しかももともと本をあまり読まない方たちは、そもそも本の情報自体に触れていない…ということがわかりました。
 
 私の周囲には、新聞をとっている人が少ないです。読む暇がない…とみんな口を揃えて言います。わかります。わかります。私も仕事柄読んでいて、その習慣の名残で今も読んでいるだけです。
 
 そして本に親しみのない人は、そもそも書店にあまり行きません。行っても、「膨大すぎてよくわからない」と言います。
 ましてや「おもしろい本を紹介する本」も本ですから、そもそもそれをなかなか手に取りません。
 
 だから、ニュースで本について取り上げていても、「あまり詳しくない分野」なので、流してしまうと言います。
 
 だから、「子どもに本を読ませたい」…となんとなく思っていても、日々を忙しく過ごすうちに、デジタルに触れる機会がどんどん訪れ、気が付けば子どもはゲームや動画にハマっている…。
 
 そういうことなんだ…。
 子どもを育てながら、数年かけていろんな人と話をするうちに、思いました。
 
 私は、リアルな子育てをする親の一人として、上記のことはよく理解できます。 
 自分も出版の世界にいなかったら、たぶん同じだったと思うからです。
 
 でも一方で、「出版物に携わってきた人間」「本好きな人間」として「これは見過ごせない、重大な事実だ…」と感じました。
 
 もしも私が出産後すぐ仕事に復帰していたら、きっと「子育て世代へお勧めの本」…のような本を一生懸命作ったり、書いたりしていたと思います。
 でも、それだけじゃ足りない…本を読まない人に、本を勧めるのは、難しいのです。
 それで思いました。

〈子ども本人が「おもしろい本」を見つけることが大切〉

 
 「自分はあまり読まないけど、子どもには読んでほしい」と願う人と、「読書」をつなげる、その「かすがい」「糊」「架け橋」…ええい何でもいいのですが、それになり得る存在があるとしたら、それは
「まっさらな気持ちで、『この本おもしろい!』とワクワクする子どもの心」しかないだろう…と。
 
 良書もベストセラーも〇〇賞も関係ない(とは言わないけど)、子どもが自分の心そのもので、自分にとっての「おもしろい本」に出会うこと。

 親はその機会をつくればいい。

 そのために、まずは図書館で「勘やインスピレーション」でいいからたくさんの本と出会い、本と一緒に生活をしてみること、そのなかで「どれがおもしかったか」か、親子で「ワクワク」を見つけること…。
 
 これなら、リアルな子育てをするパパ・ママの、もともとの本の知識はほとんど必要ありません。

  それぞれの「おもしろい本」は子どもの心の中に。

 どうか図書館でたくさんの本を借りて、子どもに「どれがおもしろかったか」を優しく楽しくインタビューしてみてください。
 そこから子どもの「好きなジャンル・傾向」を見つけて、そういう本にたくさん出会わせて、本を読む素晴らしさを体験させてあげてください。

 自転車にスイスイ乗れるように、スイスイ本を読めるように…きっとなります。


 つづきます。

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