療育について、今、母として感じていること
3歳手前の息子は、現在週2回の療育と、月1~2回病院での作業療法を受けている。
下の娘もいる中で、療育に通うことはなかなか大変だ。
娘が1歳になり、やっと昼寝の時間が同時になってきたけれど、子どもたちそれぞれの生活リズムを保持しながら、「眠たい」「お腹すいた」などの基本的欲求が療育時間の妨げにならないように(それらの理由でどちらかがぐずり出すと、なだめるだけで療育の時間が過ぎてしまう)時間調整をする。
また、息子は一旦イライラのループに入るとありとあらゆることに癇癪を起こし出すため、想定できるイライラの原因は排除して、療育に行くまでの時間をなるべく穏やかに過ごせるよう心掛けている。
息子と私が一緒に参加する親子療育の時は娘を一時保育に預けていて、その準備や送迎もひと手間だ。そんなことを言ってしまえば、育児のほとんどがそのようなひと手間の積み重ねなのだけど。
まあ、どれだけ調整してみても、乳幼児が二人もいれば想定外の事態はいくらでも起こる。
何とかスムーズにいった日はホッと胸を撫で下ろし、ハプニング続きの日はぐったりして1日が終わる、そんな毎日だ。
療育施設の先生方、病院の作業療法士さん、それぞれとても優しく熱心で、息子へのサポートはもちろん、親である私へのアドバイスや温かい声かけも欠かさずにしてくださる。
リズムに慣れるまではしんどかった療育も、最近少しずつ先生たちの顔を見ると、私のほうが息子以上にほっとしているなと思う。
ただでさえコロナ禍のワンオペ、孤独な育児の中「これでいいのだろうか?」と迷う場面はたくさんある。そんな時、肯定的な言葉で認めてもらったり、違う視点からアドバイスをしてもらえることは本当に心強く有難い。
親である私の心もサポートしてただいていることに、いつも感謝の思いがこみ上げる。
これは、療育に通っている大きなメリットだと感じている。
ただ一方、疑問も出てくる。
結局のところ、療育の目指すところってなんだ?と。
「息子くんの得意分野を伸ばし、苦手分野は少しずつ克服していきましょう」と声をかけられることがある。
また、「幼稚園のような集団に入った時や就学時に本人が困らないようにサポートしていきましょうね」とも。
身辺自立は、本人が今後社会に羽ばたいていく中で必要だろう。だから、私も習得してほしいと思っている。
ただそれは、“息子の自立のため”であって、“周りと同じことができないのはよくないこと”だからではないはずだ。
私には先生たちの言葉が、“集団に入った時、周りができていることができずに浮いてしまったり、怒られて本人が自信を失ってしまわないように援助していきましょう”。そんなニュアンスで言われているような気がして、時にモヤモヤすることがあるのだ。
社会で生きていくために、周りと協調することは大切。でもそれは決して、一人で何でもできることが必要なのではないよね?
できること、できないこと、それぞれの個性やペースを尊重して、互いに認め合う。
大人だって得手不得手ある。
苦手なことは、周りに「助けて」って言える、得意な人がそれを助けてくれる、そんなサポートをお互いにやっていく。そういう社会が健全な社会じゃないのかな?
そもそも「できないこと」がたくさんあることで自信を失わないようにって、なんて後ろ向きな考え方なんだろう。
できるようになる過程もスピードも、そもそもできるかどうかも、それぞれでいいはずだ。
全てを無難にこなせなくていいし、それぞれの凸凹こそ、人と人とが助け合い、一緒に生きていく醍醐味なのでは?と思ったりする。
こんなに小さい時から、“周りと同じようにできる”ということに、軸を置かなければならない?
それこそ「できない」ということが悪になり、劣等感につながる関わり・教育なのではないの?
そんな疑問がちらほら浮かんでは、思考がとっ散らかってまとまらない。
まとまらないからうまく言葉にできなくて、何とも言い難いモヤモヤだけが胸の奥にひっそりと積み上がっていく。
先生方の熱心さと温かさに感謝でいっぱいだからこそ、余計に向かっている方向に混乱することがあるのだ。
話が逸れてきてしまった。
とにかく、療育に通うことが息子の自立の助けになるのなら、それは望ましいことだ。本人が苦痛に思うことがあるならば、少しでも緩和したい。自信が持てることが増えて、もっともっと人生が豊かになればいいなと思う。
ただ前提として、それぞれの「個」が、それぞれの成長のスピードが、尊重され保障された社会で生きていきたいし、そんな社会であってほしいと思うのだ。もっともっと社会全体が、大らかになったらいいな。
息子を通して関わり始めた「療育」。
その捉え方や向き合い方は、今後どう変化していくだろうか。色んな知識を得たり経験を積む中で、ぼんやりとしたその輪郭ははっきりとしたものになるだろうか。
我がことながら興味深いと感じる今日この頃です。
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