私の「落ち着いてや」に餅つきジェスチャーで返してくる夫
私の夫は、お笑いコンビ・ナイツの塙さんを師匠として崇めている。ナイツの芸風の特徴は、独特な言葉遊びやダジャレを駆使した、ボケとツッコミの絶妙な掛け合いにある。
夫は、その「言葉遊び」がツボらしい。師匠と崇めているだけあって、彼らに少しでも近づくために、言葉遊びや連想ゲームを私で練習しようとしてくる。
たとえば、「腹立つわ〜」と私が言うと、間髪入れずに原辰徳さん(元プロ野球選手で昨年まで読売ジャイアンツの監督をされていた)のバッティングのモノマネをする。これが平成の若大将の風格や、とぶつぶつ言いながら。
私が「そら原辰徳やろ」と突っ込むのを待っている。飽きもせず毎回このやり取りを繰り返している。鉄板ネタだ。
野球ネタの代表格はまだある。
道端で犬を見かけて私が「ワンちゃんや」と言うと、すかさず、元プロ野球選手・監督の王貞治さんのバッティングのモノマネをする。これが一本足打法や、とぶつぶつ言いながら。
また、「あ、布団のシーツ洗うか」と私が言うと、すかさず阪神タイガースのアンディー・シーツ選手のバッティングのモノマネをする。少しバットを寝かせながら打つのがシーツ選手の特徴らしい。
そのほか、家でハイテンションにちょけている夫に「落ち着いてや」と言うと、すかさず餅つきのジェスチャーをするなど。鉄板ネタは野球シリーズ以外にもある。ほか、ちょいちょい新ネタを小出しにしてくることがある気がするが、覚えていない。ヒットを出すのは難しい(何様)。
ところで、夫がこんなネタ練習をするのは私に対してだけだ。というか、ちょけたりふざけたりするのも、私に対してだけで、友達や実家の家族に対しては、ブナンな奴を演じている。
私にだけ素顔を晒してくれているのね、きゅん
と感じなくもないけれど、そもそも私に対しても「演じて」きているのかもしれない。
「唯一のほんとの顔」なんてものはないのかもしれないな、私も、誰しも。
あの人やこの人も、私には見せていない、想像もできない顔をもっているんだろうか。
あれこれ想像を膨らませると、ちょっとおかしくて楽しい。
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