デザイン現場のロゴ制作の流れ。
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デザイン現場のロゴ制作の流れ。

サンポノ / Sunpono

みなさんこんにちは。デザインと写真の事務所サンポノの江口です。前回はロゴが必要な理由を記事にしましたが、今回は、ブランディングにおけるロゴ制作の進め方について書きます。デザイン事務所によって進め方は色々あると思うので、参考程度に読んでみてください。

ちなみに今回の事例は、通常よりも予算が少ない場合です。予算の多寡によってやれることは変わってきますが、多い少ないに関わらず、クライアントの方から「ここまでやるのか」と言っていただくことが多いので、記事として書いてみることにしました。

ご依頼いただいた会社様は、廃棄予定だった作物や製造過程で発生する廃材を再利用して製品にするアップサイクルと呼ばれる事業をしています。とは言っても、起業したばかりなので、事業はこれからという段階です。その段階で、ロゴ制作のお声が掛かりました。

納品されたロゴ。


1:ヒアリング

ご依頼いただいたら、まずはヒアリングをして、クライアントが考えているキーワードを探っていきます。今回は起業のタイミングだったので、事業実績はありません。そのため「どういう事業にしたいのか」や「個人の実績として、どんなことを今までしてきたのか」、「どんなことを普段考えているか」などを質問して、事業以外の人柄についても知識を深めます。同じぐらい重要なのが、サンポノでのデザインの進め方や費用感についても、ちゃんと説明することです。例えば、サンポノでは修正には費用がかかることなども説明します。これを疎かにすると、クライアントは自分達の都合のいいように解釈してしまうので、後々のトラブルに発展しかねません。クライアントのことを知るとともに、自分達のことも知ってもらうのがヒアリングで行うことです。

ヒアリングで出たキーワードから洞察を深め、本質を探ります。


2:洞察

ヒアリングが終わったら、その中で出たキーワードを深掘りする洞察を行います。ヒアリング中、クライアントが嘘をついている訳ではありませんが、マイナスの部分も含めて自分達(クライアント自身)のことをしっかりと把握しているかというと、必ずしもそうではありません。そのため、クライアントが話していないことも含めて、事業について見通しを立て、考えをまとめる必要があります。

サンポノでは思考整理法として、マッピングを用います。マッピングとは、いわば「連想ゲーム」です。はじまりの単語を決めて、その単語から連想される単語を繋げて、思考の地図を作っていきます。マッピングには地図ではなく、一本の大きな木を作っていくような方法もあり、各社からもツールが出されていますが、サンポノでは手書きで思考の地図を作ります。その理由は、通知などの邪魔が入りにくいからと、手書きが一番素早く行えるからです。検証は時間をおいて何度も行えますが、書く時は思いついたワードを取りこぼさないように、集中して素早く行う必要があります。そのためには、集中の妨げになるものを排除しておきます。例えば、ネットワーク環境やPCのパワーなど、自分以外の外部に依存しやすいものは、集中する時に関わらせないようにしておきます(今では、通知しない「集中モード」などもありますが、スクリーンを見た時に自分自身の興味の対象が移り変わってしまうことも考慮して、紙とペンを使った手書きで実施しています)。マッピングをすると、クライアントが話していた以上のことが見つかり、これがブランディングにおける本質的なキーワードになります。手書きの資料は、その後、提案時に清書されます。

清書されたマッピング。予算が多いと5枚以上になることも。
マッピングによって洞察をしたことで、ヒアリングでは出てこなかった本質の部分がわかる。


3:制作

マッピングによって洞察が完了したら、ようやく制作に入ります。この時も、最初からパソコンで制作するのではなく、手書きでラフスケッチを描きます。スケッチ画を見て、完成図や展開例を思い浮かべて、ロゴとして使えるかどうかを判断します。どんなに些細な案でも、一度は手書きで書き起こします。

ラフスケッチが終わったら、スキャンをしてパソコンに読み込みます。今では「Adobe Scan」というアプリがあるので、スマホからでもスキャンができます。

制作をしたら、印刷をして、チェックをします。モニター上で見たら良いと思ったロゴでも、印刷して見ると詰めが甘いものもあるので、必ず印刷をしてチェックをします。これも一回見ただけで修正するものもあれば、時間をおいて何度か見てから修正をするものもあります。検証と考察を繰り返して、提案するロゴ案が絞り込まれます。

サンポノではロゴタイプ(名称の部分)も一から作ることが多いので、シンボルマークとロゴタイプ、それぞれに対して、検証と考察を行なっています。

手書きのラフスケッチ。決定案のアルファベット版も検証されていた。
ロゴ制作の一部。検証と考察を繰り返しながら制作される。
決定したロゴ案のコンセプト。提案したロゴ案はそれぞれ違ったコンセプトから設計されている。
提案したロゴ案。数はその時々で異なり、サンポノで必要と思った案だけを提案している。予算が多いからと言って、案の数が増えるとは限らない。


4:展開

ロゴを制作したら、予算に合わせて、いくつかの展開例を作ります。ロゴと併せて展開例をクライアントに見せることで、実際にロゴが使われる場面を想像しやすくなります。

決定案となったロゴの展開例。展開例は提案したロゴ案すべてで制作される。予算が多いと、展開例の作り込みや検証項目が増える。


5:調整

ロゴを提案して、クライアントの方でロゴの案が決定、もしくは絞り込んだら、修正やブラッシュアップをします。ここではクライアントから要望のあった修正内容の他に、素人目にはわからないブラッシュアップまで、様々なことが行われ、完成へと至ります。他のデザイン事務所では、複数回の修正を無料にしているところもありますが、それだと損得が発生してしまうので、サンポノでは修正にも費用を頂戴しています(修正の見積もりをとって確認をしています)。ブラッシュアップは素人目には分からず、専門家のこだわりとも受け取られかねないので、無料にしています。修正とブラッシュアップの違いを明確にしておくことも、トラブル回避に繋がります。

残った案の調整とさらなる検証。
完成し、納品されたロゴ。


まとめ

いかがでしょうか? 一口にロゴ制作と言っても、いくつかの工程を経て、制作されることがお分かりいただけたでしょうか? 特に企業ブランディングのロゴとなると、その後十年以上使用されるケースも多いので、推敲の回数は多いです。しかし、デザインの現場を知らないクライアントからは、「こんなにやるんですね!」と驚かれることが多いので、今回、記事にしてみました。ヒアリングでクライアントが話してくれたこと以上のことを深掘りし、それを形にしなければ、ロゴを提案する意味はあまりないでしょう。予算が多ければ、洞察、検証、考察、調整という推敲の回数が増えて、精度の高いロゴが制作できます。提案する内容や方法が変わってくる部分もあります(ロゴの持つストーリーと併せて提案するなど)。しかし、基本的な部分は同じなので、今回の事例を参考にしていただけたら嬉しいです。

サンポノではこのようなブランディング案件の他に、デザインにまつわる多くのことをご依頼いただいております(社名を考えたり、アプリなどのプロダクトデザインも)。気になった方は是非、ホームページをご覧ください。ご依頼いただけるととても嬉しいです。
サンポノホームページ:https://www.eguchimasaru.com/

それでは、また次回会いましょう。

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