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【カラヴァッジョ】瞑想の聖フランチェスコ

縦128cm、横97cmの大きさに、頭蓋骨が仄白く浮かび上がる、

強烈な明暗キアロ・スクーロ。

目を凝らしてみると、苦悩をにじませたような額と

慈しむような目で、その白い頭蓋骨を見るフランチェスコが印象的です。

ところどころ破れた祖末な衣装に、大きな襞がより、

そこへまた光が当たるように描かれています。

この作品はもともとローマ郊外のカルピネート・ロマーノという

小さな村にあるサン・ピエトロ教会にあったもので、

1967年頃に発見され、もしかするとカラヴァッジョの真筆かもしれない、

という事で研究が始まったようです。

現在はローマのバルベリーニ宮へ移され、展示されています。

聖フランチェスコが持つ頭蓋骨は、イエズス会が奨励した

精神修養としての「死の瞑想」を意味していて、

こうした頭蓋骨を「死」の象徴とするのは

中世に始まる見方です。

そして、このカラヴァッジョの絵のように

手に持った頭蓋骨を凝視したり、

それに対して祈ったりする聖人の姿が描かれたのは、

バロック時期の特徴でもあります。

これをアトリビュートとするのは、アッシジのフランチェスコ、

そしてヒエロニムスや悔悛するマグダラのマリアなどが有名。

イタリアのロマン主義の画家フランチェスコ・アイエツの

マグダラのマリアにも骸骨が描かれています。

実はこのカラヴァッジョ「瞑想の聖フランチェスコ」は

この世に2点存在します。

1点はバルベリーニ宮にある作品。

もう1点はカプチン派のサンタ・マリア・インマコラータ教会、

通称「ローマの骸骨寺」にあります。

数年前までは、こちらの教会にあるものがカラヴァッジョの真筆と

言われていたようですが、研究の結果、

バルベリーニ宮にあるのが真筆で、教会にあるほうは

カラヴァッジョの弟子(カラヴァッジェスキ)の誰かが

模写したものだろうとのことです。


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